表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
負けヒロインのハッピーエンド  作者: 睡眠が足りない人
6/14

初詣に負けヒロインは何を願う

三本目!


 クリスマスに水瀬と会ってから何日が経ち、大晦日の夜。

俺は現在親に連れられ遠くにある学業の神様が祀られている神社に来ていた。

いつもは家で年を越し、朝になったら近くの初詣に行くのだが、今年俺は受験生なため神様に合格できるようにお祈りするべきだと両親に言われ連れてこられた。

前世の親も似たようなことを言って大きめの神社に連れてこられたなと思い出しながら新鮮な空気を早く吸いたくて俺は着いた瞬間ドアの扉を開けて外に出た。


「うぇっぷ、気持ち悪い」


そう言って、俺は顔を青白くしながら口を押さえ近くにあったベンチに座る。

端的に俺の今の状態を表すなら車酔いだ。

俺は車に乗ると必ずと言って酔う。前世含めて。

車内で窓も開けず5分もいれば確実と言っていいほどに俺は車に弱い。

一応酔い止めを飲んでおいたが効果は無かったようだ。


「奏は相変わらず車に弱いな、一体誰に似たんだ?」


「アナタでしょ?運転していない時のアナタっていつもこんな感じじゃない」


「ハッハッハー、そうだったな。悪いな奏俺の悪いとこ受け継がせてしまって」


親父はそう言って背中を乱暴に叩いてくる


「大声出すな、背中叩くな親父、マジで吐くから。母さん、俺ここで少し休憩しとくから先行ってくれ。このバカ親父が居たら治るもん治らなさそうだ」


「分かったわ。母さん達は先に行くけど年越しまでには何とかこっちに来なさいよ」


「……りょーかい」


俺は母さん達が先に行ったのを確認した後、しばらくぼーっとしていたが、急に喉が渇いたので自販機で飲み物を買うことにした。


(さっぱりしたフルーツジュースがあればいいけど大抵コーラとスポドリしかないからなぁ。無かったら緑茶買うか)


そんなことを考えながら、俺は駐車場を横切り自販機に向かった。


そして、俺の予想通りフルーツジュースは無くコーラとスポドリしかなかったので温かいお茶を買い少し離れた場所で一息つく。


まだ大晦日の夜のため比較的人は少なめだが、俺と同い年くらいの奴らを何人か見かけみんな合格祈願しに来たんだろうなと思った。


(同じ高校の奴らは見かけないな。まぁ、高校からかなり遠く離れてるから当然ちゃ当然か。しかも、クラスの奴らは他の神社に行くって言ってたし、尚更知り合いに会うことはないか)


ポッケから取り出したスマホを操作し、みんなが何をしているのかを◯ンスタやツイッチーなどで見て、俺みたいに年を越す前に神社に行くような奴はいないことを知る。


ふと、何となく水瀬は何をしてるんだろうと思い、Limeを開き


湊川:今何してる?俺は今山中の神社にいて寒い思いしてる


と送った。どうせ反応なんてこないだろうと思っていたが、予想に反してすぐに既読がつき、水瀬から返信が返って来た。


小鳥:奇遇だね。私も今家族で神社に来てるよ。


そのメッセージの後に神社の写真が貼られた。


俺はこの神社なんか見覚えあるなと思いながら、じっくり見ると今俺がいる神社だと気付いた。


湊川:偶然だな、俺もそこいるわ


小鳥:本当!?すっごい偶然だね。今どの辺にいるの?


湊川:駐車場の側にある自販機


小鳥:へぇ、じゃあ目の前にいるのが湊川君?


「……は?」


俺は水瀬から送られたメッセージを見た瞬間、間抜けな声を漏らした。

そして恐る恐る後ろを振り向くと、そこには白いもふもふのコートと青いジーパンに身を包み、茶色い厚底ブーツを履いた水瀬がいた。


「やっぱり湊川くんだ。こんばんは」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ