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負けヒロインのハッピーエンド  作者: 睡眠が足りない人
13/14

昼休憩


 美術の授業を終えた俺は有馬と二人で駄弁りながら購買に向かっていた。


「なぁ、ミナ今日は何食う?」


「クリームパンとチョコチップドーナツがあったらそれとポテトだな」


「うへぇ、カロリーの暴力みたいな構成してんな」


そう言って有馬は俺に羨ましそうな視線を送ってくる。有馬が何故そんな目で俺を見てくるかというと、実はコイツ今カロリー制限をしているのだ。理由は簡単で冬休みの間にお餅を爆食いし、運動もせず家でゴロゴロしていたため体重が三キロも増えたらしい。太っている男性はモテないという記事を一昨日見たらしく、単純なコイツはその日から食事制限を開始した。

どうせ、三日坊主で終わると思ったが意外とこの様子なら続きそうだ。


「対して塩おにぎり二つ。キツい!だが、モテるためだ。俺はやるぞミナ!」


「筋トレとかした方が絶対楽だろ?それ」


「めんどい!」


自信満々に面倒くさい宣言をする有馬に、コイツの価値観は分かんねぇなと思いつつ呆れた目を向ける。


「そっすか。すいません、クリームパンとチョコチップドーナツとポテト、後唐揚げ弁当下さい」


「何か増えてるぞ!ミナ」


購買についた俺は頭幼稚園児との会話を適当に終わらせ、欲しいものを購入した。


その後、有馬も塩おにぎりを買い教室に戻った。水瀬は昼休憩まで囲まれているのだろうか?と気になり彼女の席に目を向けると、黒瀬と坂柳の二人と仲良くお弁当を食べていた。


まだ、昼休憩は始まったばかりなので人が来ていないだけかもしれないが、その時はさっきみたいにフォローすれば良いし、それで足りないなら黒瀬や坂柳と協力すればいいだろう。

視線を水瀬から外し、自分の席に座りポテトを摘んでいると後ろから声がかかり振り向く。


「よう、湊川、有馬俺も一緒に食べていいか?」


「いつも思ってるんだけどさ、毎日一緒に食べてるのに毎回それする意味あるか?加藤」


「ない。が、これは癖みたいなものだと割り切ってくれ」


そう言って爽やかに微笑む知的メガネイケメンが俺と良くつるむメンバーの一人である 加藤かとう 疾風はやてだ。身長が180と高身長でモデル体型。スポーツ万能頭脳明晰なハイスペック野郎だ。性格は見た目の雰囲気的にとっつき難いと思われがちだが意外とフレンドリーだしテレビやゲーム、漫画、ラノベなど様々な趣味を持っているので話題が尽きることはないのでこいつ以上に話しやすい奴を俺は知らない。が、休憩時間はほとんど一人で読書をしており話しかけづらいため今だに友人は俺と有馬くらいしかいない。

俺の後ろの席から椅子を持ってきて近くに来ると弁当を袋から取り出したところで有馬の方を向き、驚愕していた。


「有馬、お前本当に食事制限してるのか。メッセが来た時はどうせ三日坊主で終わると思っていたが意外だな」


「まだ三日経ってないぞー加藤」


「そうだったか?なら明日にはいつも通り爆食いしてそうだな」


「お前ら俺のこと信用してなさ過ぎだろ!絶対俺は明日も続けるからな!覚悟しとけよ」


有馬は心底心外だみたいな表情を浮かべ三日坊主回避宣言をしているが、普段の行いから加藤はあまり信用していなさそうだ。


「ハイハイ、期待してる期待してる。それより湊川お前さっから他クラスのやつに睨まれてたけど大丈夫か?」


加藤はそう言えばと言った感じで、俺が何かやらかしたんじゃないか聞いてきた。

別に悪いことをしたわけでもないので、俺は素直に水瀬の話をほとんど聞かずに話を勝手に進めてたから止めたから中断させたと伝えた。


「あぁ、なるほど水瀬がフリーになったから。そういうこともあるのか。まぁ、でもそれで湊川のことを睨むというのは随分馬鹿な奴らだな」


「ミナ、危なくなったら俺らを頼れよ。加藤が合成写真を作ってばら撒いて社会的にそいつのこと殺してやるからな?」


「過激過ぎんだろお前ら。でも、そうだな。何か頼ることもあるかもしれないからそん時は頼むわ」


そう言って俺はヒソヒソと水瀬達のことを見ながら何か会話をしている奴らに視線を飛ばしそう呟いた。





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