表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はお嬢様に仕えます。  作者: ポテフレ
3/3

侍女は決意し、

侍女side


私はエリッサと言う、カラバルト家に仕える一介の侍女です。このお屋敷では奥様が家事を好んでなされるので仕事などあって無いようなものですが。

そんな事よりも、ここ最近の怒涛の日々を語らせて頂けませんか。誰かに話さないとどうにかなってしまいそうなのです。


事の起こりはちょうど一ヶ月前、旦那様が一人の女の子を連れ帰ってきた事から始まりました。旦那様は騎士としてご活躍なされている方で、今回は大規模な盗賊団討伐の任務に当たられていました。

そこで旦那様はその少女を見つけ、保護する事をお決めになられたのだとか。他にも奴隷らしき子供は居たようですが、生きていたのは彼女だけだったようです。

ですがそれだけでは驚きませんよ。私も同じクチですし。問題はその後です。旦那様は開口一番にモーガン先生をお呼びしろと仰ったのです。

モーガン先生とは旦那様の古くからのご友人であり、高ランクの鑑定魔法を扱う医師でもあります。その先生をお呼びするという事は、よほどの怪我か、病気という事になります。

私は慌てて先生の部屋を尋ね、その少女が運ばれた部屋へ案内しました。ベッドに寝かされたぼろぼろの少女を見るなり、先生は[鑑定]を唱えました。そして顔を顰めながら鞄の中の薬を服用させ、鑑定結果をまとめたものを旦那様に差し出しました。

部屋に戻る途中で私に、世話をする際は気を付けろ。性的な暴行を受けていた跡もある。とおっしゃいました。

振り返った時には先生は外に出ており、私は旦那様に声を掛けられて我に返りました。

ですが私は、旦那様に渡された鑑定結果を見た時の気持ちが忘れられません。腹の底から怒りが込み上げるようなあの感覚は。


鑑定結果でまず目に入ったのは名前。空欄のそこは親にすら名前を与えられなかったことを示しているのです。

次に目に付いたのは種族。わざわざ書かれるという事は人間では無いことは想像が付きます。しかし、彼女は竜人でした。龍狩り時代に共に滅んだとされる種族。自然の力を操り、人の身で竜と成る存在。まさかまだ生きている者が居たとは。

そしてスキル欄でした。ここには彼女が受けてきた仕打ちの証拠とも言える数々の耐性スキル。忍耐を代表とする精神的スキル。そして対人恐怖症、卑屈、虚弱といった負のスキル。

たった14年だけでは到底取得出来ない筈の量と質。どれほどの扱いを受けたのか、私には想像も付きません。


旦那様は彼女の世話を私に一任するとおっしゃいました。彼女が人並みの体と心を取り戻すまで、私と共に過ごして行けるようにと部屋を与えて下さりました。

私はその時、彼女の姉になろうと決意しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ