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白碌章功記  作者: トモブロシエン
1/1

白碌章前章

 「今は、えーっと……ちょっと待ってろ。」



 ーー少し経ってーー



「あったあった、これだこれだ、んふぅ、っとこのソファー座るとケツが痛えな。」


 まあいい、今は22:12/14/8/27c.d.c、別のとこでは安年30年の8月14日の

 何時かだったりあと・・・・・何だっけか……ハハ……こんな生活してたから

 スッカリ忘れちまったなぁ、あぁ〜。ん?」


「…………………………。」


「すまねぇな、早く話そうか、それとだが、少し長くなるの覚悟しろよ。」


「今から話すことは、俺がまだ24歳の訓練兵上がりの人間としても兵士と してもヒヨッコだった頃の話だな」


「コーヒーは飲むか?」


「………!!」


「わかったって………続けるぞ」


 〜〜過去〜〜


 さっきも言ったが当時の俺は、であります!!とか されますか?、みてぇ

 なカチカチに固まった軍式敬語だとか、

 上官にお茶を誘われた時の礼儀作法とかをみっちり教え込まされていただけで


 本物の戦場がどんなものかを知る方法は戦争経験のある教官に話を聞くか、

 座学を通して観る資料映像とかしかなかった、だから訓練してれば死ななくて済むと思ってたんだ。


 とはいってもだが、私、訓練期を卒業後は私自身大変驚きでありますが、戦いとは縁遠い地への配属となりまして………へぁ?…ひひひ。


「・・・。」


 そうだ、卒業したはいいものの俺の配属は前線とは程遠い無縁と言っても過言じゃない場所で使ったことのない軍用端末を使った事務作業で


 昔よくしていたアルバイトでよくした様なデータの整理とか、装備生産の注文とかを淡々とこなして、爆撃がある訳じゃなくサイバー攻撃もあるわけじゃない平穏な仕事をしててだな。


 何年かはその状態で、仕事終わりのコーヒーの一杯が習慣づいた頃には、仕事もそそくさとこなせるようになってて、あの頃なんの為に必死で

訓練してたんだって思い始めてて前線よりこっちの方が良いと思えるようになってたな。


 そうなってくると前線に居るよりも後方のほうが、全体を俯瞰して見れるようになってるって気付いて、それからは先の流れが分かってくるようになったな。


 当時の戦局は昨日の友は明日の敵、 

政治家の結ぶ条約次第で昨日までの味方が敵にもなる、家族とは引き離され兄弟は互いに殺し合う


 こんな事が日常茶飯事で綺麗な草原には馬鹿でかい足跡や履帯の地を耕した線や、何もかもが焦げ落ちた焼跡……勿論俺はそんなのとは無縁だったが

 当時の各国は何処もこんな感じだったそうだ。


 何処もかしこも難民で溢れかえっては戦争の為に訓練をして、人を殺す方法を学び、政治連中の命令に従って政治家連中の敵と戦い、街を燃やして破壊の限りを尽くして、また難民で溢れ、戦争の為に訓練を受け、人を殺すために戦うんだ、家族、友人、恋人、兄弟の仇を打つために、そうして憎しみを増幅させ合い終わらない憎しみの連鎖の中で悲劇の戦争を更に激化させる。


 人を殺すための技術は日々進化をし続け、長い年月の中でそれらは人類のあり方や進歩を歪なものへと変貌を遂げた、これらはもう変えようのないもので

今の俺達にはどうしようもないものだ。


 当たりはこんくらいでいいか?


 「………………。」


 どうだ?俺だって伊達に義務教育を受けてきたわけじゃまいか・・・・・・

戻そうか・・・


 俺が初めて人を殺めたのは……今でも覚えているさ

俺がこの手で握った銃で撃ったのはデモ隊の一員だった男だ、夢かと思ったぜ


でも瞬間匂う火薬の匂いと腕に伝わる鈍い衝撃と、何より奴から流れ出た血が足を濡らしていたのが夢じゃないと俺に、

奴を撃ち致命傷を与えたのはお前だってよ、って現実を突きつけてきたんだ。


暫く奴の顔から目が離せなかった、血が流れれば流れるほど顔が真っ青になってやつが死人になって行く様を、目が離せなかった。


 人間なんてものはあっけない事ですぐ死ぬんだ、足を滑らせ床に強く頭打ちゃ死ぬし、溝に顔埋められちゃ溺死だ、体に数センチ穴が空いただけで崩れた人形みたいに崩れ落ちる、あっけないもんさ、悲しむ暇もない。

 

 その当時の勤務先の街では反正規軍派のデモが起きてて、暴徒と化した連中が街を破壊しまわってた、奴ら軍隊相手にバールやらバットで勝てると思ってたのか?あのバカ共は鎮圧に駆られた俺たちを攻撃しやがった、部隊の後退に遅れた仲間が一人リンチにあった 


撃てねぇだろ、やつは相手が軍人だったら撃てたはずだが、実際の相手は棒持った市民だ 


でも誰かが撃った 撃ったんだその後はお前でも知ってるギレニア虐殺事件のとおりだ、戦争とは無縁だった平和な田舎で起こった自国軍の行った大虐殺・・


 その後は外部、内部共に敵を作った我らがナスカ中由国はは今に至るって訳だがこの裏には実は裏があってある一人の男のスパイが関係してる。


 そいつは今じゃどの機関も行方を追えてねぇやつで、そいつが何をしたのか、どこの手のものか、何者か、はすべてトップシークレット扱いって野郎だが俺はそいつを知ってるし、軍の知らねえ秘密も知ってる、、、最終的に残ったのは俺だけだが。

 

 お前に話す理由はその時が来たからだ。


 俺と、俺達とそいつとの馴れ初めは、前線からの負傷兵をこっちの方に引き取る時にそいつはいた、負傷兵の中で一際誰より傷付いて今にも虫の息の奴を、今思うとあの時奴の息の根を止めておけば良かった、奴はテルの捕虜だったんだからな。


 だけどあいつはテル内の機密情報と引き換えに亡命してきた軍にとっては貴重な情報源だったから、当時の俺達もそいつを優先して対応してた。


 そいつの名前はダイラル・ウラルでウラルって呼ばせてもらってた、ウラルとの情報のやり取りは禁止されてたけど上司のツェッペル副所長の説得のお陰で制限時間付きの限られた人間の面会がウラルの回復後許された


 ウラルはテル北東に位置するクミン区生まれで代代錦織の家系で、2人兄妹がいてその真ん中だったらしい写真も見せてくれた、でもナスカとの全面衝突後


 跡取りのウラジミールとウラルは軍政府へ徴収され兵士として戦う事となったが兄は戦死、クミン区は多国籍から爆撃を受け家族の安否も不明、戦争は不幸しか産まない


 ウラルはダイスカ進行作戦の防衛拠点でも戦った事かあるらしい、その時にバッジ勲章を貰ったと


 やつは胸ポケットからバッジを誇らしげに見せてきた、その指は後方で命の危険に晒されることなくぬくぬくと過ごしてた俺達とは余りにも積んだ生死をかけた戦い、仲間の屍を乗り越えた証がバッジを包み込む指にはたしかにあった。


 ウラルは眠いと言ってきたから面会はそこで終了となった、その後、ウラルの扱いを同僚のチャンとツェッペル副所長に聞きに行ったら暫くうちで身柄を引き取るって返答が返ってきた


だから帰り際チャンと内緒でウラルの病室に行って少し話をして帰ったんだ


奴は敵国の兵士だが話はわかる奴だったし、悪いやつでもなさそうだったからな、それに最後のが良かったのか次の面会時にはだいぶ打ち解けて話を聞き出せるようになった。


 それでも立場上は相手は敵国亡命者だ、馴れ馴れしい話はできない、会話内容は全部上層部に報告されるからな、慎重に言葉は選ばないといけない 

 

でも、禁止事項かなんかは何故か何回か面会したあとに送られてきた、正直おそすぎると思った


もういくつか禁止事項に触れてしまっていたし送るとしてもこっちで保護する前に予め送ってくるのが正しいやり方だ


でも上は意外とこういうところの詰めが甘いところがあったから特には気にしなかったがそれでも不審な点はいくつかあった


 3回目の面会でウラルに兄のウラジミールについて聞かせてもらった


 「兄は何時も優柔不断で慎重すぎるところがあったね、だからなのかな、また兄に会いたい」


 「ウラジミールは勇敢な最後だったと聞いている」 


  「一人だけ規格外の強さだったって噂になってた」


 「兄が?」 チャンと二人揃えて首を振った、チャンと息が合ったのはあれ

           が最初で最後だったな。 


 「実際、そのとき物凄い被害をこおむってさ、全滅でもしたのかって思う程忙しかったよ、でもそれがまさか一人の仕業って聞いた時は溜まったもんじゃないなって舌を巻いたよ」


 「同じく、嘘かと思ったが本当だった」


 「そうか、兄が、、、ありがとう」


 ウラジミールの最後が兵士として誇りに思うべき事だと聞いて安心したのか、少し目を閉じると程なくして寝息をたてはじめた、緊張してたんだろう















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