第2話 卒業式
大学センター試験を先月に終えたタケシは、自分の目指す第一志望の大学を千葉県にある千葉大学とした。勿論、学費の件もあり、両親からは進路先を国立の大学にするよう言われて居たのだ。
本来なら僕は、大学センター試験を受けた北海道大学に入学するよう両親から勧められて居たのだが、センター試験の結果から合格は厳しいと言う判断と、家を出て都会に住んでみたいと言う憧れもあった。
そして今日、僕は高校に登校し進路指導の先生と面談する事となっていた。僕が学校に到着すると、同じクラスメイトのケンジが話し掛けてきた。
「よっ、タケシ! お前は内地から出るかと?」
同じ道民としてこの言葉は、一番投げ掛けて欲しく無い言葉だった。しかしケンジを無視する訳にも行かず、僕はこう答えたのだ。
「ケンジ! お前は家の家業を継ぐんだったよなぁ?」
そう言うとケンジは僕に対してこう言った。
「仕方ないっしょ! 俺の代で豆腐屋の看板おろす訳にも行かないし… お前が羨ましいよ!」
こんな会話をケンジと交わし、同じ立場の僕だけが自分の夢を追い掛けるのに、同じ道民として罪悪感を覚えたのだった。
つづく…