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「私たちが中学生の時には秘密基地なんて作ったことがないからです。」
その美佐の答えに警官は少し困った表情を見せた。
「うーむ・・・わかった。あとは警察に任せて君たちはもう帰りなさい。」
「はい」
昌介はそう言い警官から背を向けた。
皆も背を向ける。
「あ、そうだ」
警官は止めた。
昌介は再びふりかえる。
「なんですか?」
その反応に警官は少し微笑んだ。
「自己紹介まだだったな。私は菊池太郎だ。」
「・・・はい」
昌介たちはそんなことで呼び止めたのかとあきれてしまった。
警官はまた微笑んだ。
「ほらもっと元気出せ!よしじゃあな!」
元気出せるかよ、こんな時に。
美佐たちはとりあえず今日はもう家に帰ることにした。
途中でみんなにわかれ、あのおんぼろバスに乗り家に帰った。
なんだかものすごく時間が長く感じられた。
少し疲れているのだろうか。
家に着くなり美佐はそのままベッドに倒れこみ寝てしまった。
夢の中で美佐は道を歩いていた。
周りには何もないただの道だ。
前に誰かがいる。
離れすぎているせいでよく見えない。
美佐は少しずつその人に近づいた。
相手が見えたとたん美佐はぎょっとなって逃げた。
相手が弓矢をこっちに構えていたからだ。
男の人か女の人かもまだ分からない。
美佐は全力で走ったが矢が勢いよく飛んできて、背中にブスリと刺さった。
バタリ
美佐は倒れこんだ。
「わぁ!!」
美佐は眼を覚まし、飛び起きた。
そして自分の家だと確認すると安堵の息を漏らした。
麻衣は夜道を犬と散歩していた。
まだ裕也が死んだことが信じられなく眠れなかったからだ。
なので、気分転換に外で犬と散歩していたのだ。
犬はチワワのメスで名前はチャッピーだ。
「キャンキャン!!」
突然チャッピーが吠えだした。
チャッピーはめったに大きな声で吠えることがあまりないのにやけにうるさい。
まるでこの先に行くなとでも言っているようだ。
「どうしたのチャッピー?」
「キャンキャン!!キャンキャン!!」
麻衣は目の前を見てみた。
誰かがこっちに向かってくる。
よく見えない。
「だれ?」
「ふふふ・・・」
不気味だ。
麻衣はいつも持参しているライトを取り出し相手に光をあてた。
その途端、麻衣は震えあがった。
「あ、あなたは!」
そう言った時にはもう遅かった。
矢が脳天に突き刺さり麻衣は倒れた。
血があたりいっぱいに降り注いだ。