エピローグ
菊池はチャッピーの散歩をしていた。麻衣が死んでしまい、代わりに飼うことになったのだ。
それにしても、あの5人はどこへ行ったのか。昨日から連絡がつかない。
チャッピーが突然走りだした。
「キャンキャン!!」
「どうしたんだ。」
チワワなのにすごい力だ。大型犬よりも強いのではないか。
チャッピーはぐいぐい、菊池を引っ張り、どんどん進んでいく。
「どうしたんだ。チャッピー。」
しかし、チャッピーは走る。菊池もチャッピーがあまりにも必死だったので、一緒に走ることにした。
突然どうしたんだろうか。
チャッピーが止まった。それと同時に菊池も止まる。
ここは、中学校だ。もう廃校になっている。W中学校というらしい。
「W中学校?」
とりあえず、菊池は中に入ってみることにした。
吸い込まれるように、菊池は中に入った。
校庭に誰かいる。目が悪いせいか、よく見えない。
チャッピーはそれに向かって、走り出した。
菊池もあとを追う。
5mぐらいになると誰だかわかった。
「工藤!」
そう叫ぶと、昌介ははっとなって、こっちを向いた。
泣き崩れていた。それを思いっきり手で拭いていた。
「どうしたんだ?みんなは?」
・・・。
それに、昌介は答えない。答えられないようにも見える。
「ボロボロじゃないか。」
「みんな、おれが殺した。」
「え?」
「犯人は俺だ。」
菊池は戸惑ってしまった。
「それは本当なのか?」
昌介は少し戸惑った表情を見せながら、ゆっくりとうなずく。
昌介は嘘をついた。
「みんな、おれが殺した。」
「え?」
「犯人は俺だ。」
「それは本当なのか?」
昌介はゆっくりとうなずいた。
「・・・。わかった。警察署まで来るんだ。」
「はい。」
菊池はケータイを取り出し、誰かに電話をしていた。
「・・・はい、もしもし?菊池です。・・・今犯人を捕まえました。・・・車を用意してください。・・・さようなら。」
そして、ケータイを切った。
しばらくするとパトカーが来た。
それに、菊池と昌介は乗り込む。
パトカーに乗り込んだ昌介は、あの時のことを思い返していた。
「さてと。」
昌介は今度は自分の頭に、銃口を近づけた。
「俺も殺したんだ。その罪滅ぼしをしなきゃな。」
昌介は誰もいない前を見ながら、そう言った。
「・・・。」
一滴の涙がこぼれた。
バンッ
2度目の銃声が鳴り響いた。しかし、弾が貫いたのは、昌介の頭じゃなかった。
4444と刻まれている扉だった。結局死ねなかった。
死ぬ勇気が足りなすぎていた。
塔はいつの間にかなくなっており、いつの間にか校庭にいた。
自分は助かったのだ。いや、助かってしまったと言ったほうが正解だろう。
自分だけ助かってしまった。
そう思うと、涙が止まらなくなっていた。
昌介は思い返すのをやめて、疲労がたまっていたのかいつの間にか寝てしまっていた。
俺は、おまえたちの分も頑張って生きていくと、誓いながら。
寝ている時の昌介の顔は少し戸惑った表情のようにも見えた。