22
扉が突然、がたりと開いた。大きな音をたてる。
それと同時に笑い声も消える。
「だれだ。」
低い声で仮面をかぶった人は言った。
「おれだよ。」
昌介が階段からのぼってきたようだ。
「な!?おまえ」
「そうさ。俺が死んだとでも思ったか。」
「なに!?」
目の前に現れた男。なぜ生きているのか。
「ほらよ。」
そう言って、小さなカプセルをポケットから取り出し、放り投げた。
投げられた小さなカプセルは宙を舞う。
「薬・・・。飲んでいなかったのか・・・。」
そう言うと昌介は少し笑った。
「俺が飲むとでも思ったか?勝。」
「・・・。よくわかったな。いつわかった?」
勝といわれたその人は、仮面を外した。
そこから、勝の顔があらわれる。
昌介はそれを確認すると、口を開いた。
「はじめから。」
「もう少し詳しく言え。」
「お前から来たメールでわかったよ。」
勝は少し顔をゆがめた。昌介はつづける。
「最初に来たメール、お前少し遅れると言ってたな。しかし、その時、見つけたんだ。お前が人ごみに紛れこんでこっちを見ているのを。」
「ばれていたのか。」
「あぁ。俺は少しおかしいと思った。しばらくすると裕也が帰った。それと同時におまえは裕也のほうに行った。そして、裕也が死んだ。勝、おまえはその時に勝を殺した、だろ?」
「・・・。」
勝は何も言えない。
ただ、下を向いている。
「おまえはもう生きる資格なんてない。」
そう言って、昌介はどこから持ってきたのか、拳銃を取り出した。
弾を補充する。
そして構える。
勝は顔を上げた。そしてそっと微笑んだ。
「俺を殺せ。」
やさしい声だった。
「・・・。わかった。」
銃口を勝の頭に近づける。勝は逃げようとはしない。どうやら、本当に死ぬ覚悟でいるようだ。
バンッ
勝はどさりと倒れた。もう動かない。そして、冷たくなっていく。
「さてと。」
昌介は今度は自分の頭に、銃口を近づけた。
「俺も殺したんだ。その罪滅ぼしをしなきゃな。」
昌介は誰もいない前を見ながら、そう言った。
「・・・。」
一滴の涙がこぼれた。
バンッ
2度目の銃声が鳴り響いた。
次がエピローグです。