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4444  作者: 川犬
18/24

17

「い、いやだ・・・いやだぁぁぁぁぁ!!」

卓也は叫んだ。

さっき飲んだのが毒薬?

信じたくない・・・!!!

「おれ・・・死んじまうのかよ・・・。」

昌介のふるえている声が聞こえてくる。

卓也は扉をたたいた。

「あけてくれ!!頼む!頼むよ!!」

しかし扉はびくともしない。

「なぜなんだ?おれたち殺して何がおもしろいんだ!?」

沙織が倒れた。

それに気が付き、卓也が駆けつけた。

「沙織!!」

沙織は動かない。

唯一呼吸はしていた。

卓也は思いっきり沙織を揺さぶった。

「お願いだ!死ぬな!!」

それを言ったのと同時だった。

沙織は突然目を大きくあけ、ビクンと動いた。

口から赤い液体が噴き出す。

「さおりぃーーーーーーー!!!!」

赤い液体は卓也の肩に降りかかる。

沙織は今度は完全に動かなくなった。

「・・・。さお・・り・・・。」

一滴のしずくが卓也の目から落ちた。


「い、いや・・・。」

美佐も口を押さえて涙を流す。

昌介はこらえている。

しかしやはり震えている。

「なにが目的なんだぁ!あぁ?いってみろよぉ!!!!!!!」

卓也は上を向き大声で叫んだ。

それはもうほぼ、悲鳴に近い声だった。

卓也のこんな声を聞いたのは初めてだ。

少なくとも美佐は聞いたことがない。

よほど沙織が死んだことがショックなのだろう。

「うわぁああああ!!!!!」

卓也は上を向いて叫んでいる。

昌介を見るとうつろな目で卓也を見つめていた。

「ああぁあああぁぁぁあっごほっごほ!!!」

突然卓也が口を押さえた。

「だ、大丈夫?」

近寄った美佐は思わずきゃっ、と叫んで後ろへ下がってしまった。

卓也の手には真っ赤な血が付いていたのである。

彼の歯にも付いている。

「た、卓也!!」

豊も駆け寄る。

卓也はそのまま倒れこんだ。

「おい!おい!おおおおおおおおおい!!!!!」

豊は思いっきり卓也を揺さぶる。

卓也は反応しない。

もう卓也までもが倒れてしまった。

これでこの不気味な塔に入って2人も死んだ。

さっき、豊が言ったとおり戻ったほうがよかったというのか。

「さよならだ。」

不意に昌介の声が聞こえてきた。

美佐は勢いよく振り返る。

昌介は笑っていた。

「だめえええええええ!!!」

しかしそう言った途端に昌介から笑みが消えた。

ドサリッ

・・・・・・。

もう美佐は涙が止まらなかった。

そしてひざまずいた。

「もうやめて・・・。」

豊は震えてまっすぐ前を向いている。

豊が向いている方向にはさっきなかったはずの扉があった。

赤い扉だった。


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