15
美佐はケータイを見る。
4 クリア
4?
おそらくさっきのが階段の4段目にあたる所にあるからだろう。
そのあとにクリアと書かれているのはあの部屋から抜け出せたから。
「いそごうぜ。」
昌介はみんなより早く読み終え、歩き出した。
美佐たちはあわててついて行った。
何段なるのだろうか。
1分くらい上り続けた。
その間、皆無言だ。
緊張しているのだろう。自分もだが。
昌介がずっと先にいる。
かなり急いでいるようだ。
美佐が歩くスピードを上げるとあっという間についた。
立ち止まってたからだ。
昌介の前には扉がある。
その扉に(44)と刻まれていた。
「44段目・・・。」
沙織と卓也と豊も追い付く。
「なにこれ。44?」
卓也がそう言った。
昌介が答えた。
「きっと階段の44段目に当たるところだから44ってきざまれているんだ。」
「なるほど・・・。」
沙織がそうつぶやいた。
「・・・入るの?」
豊が恐る恐る昌介に聞いた。
「あぁ。」
「・・・。」
豊の表情は沈んだが昌介はあまり気にしていないようだ。
まあ美佐自身もあまり気にしていないのだが。
「あけるぞ?」
昌介はドアノブに手をあてた。
「やめようよ・・・もう・・・」
豊が昌介のことを止めようと昌介の手を引っ張った。
「豊・・・わりぃ、勝を助けるためだ。」
そう言って無理やり豊の手をほどき、勢いよく開けた。
「・・・わかったよ。」
豊は開けられたせいか、諦めた。
しかし表情がさらに曇る。
中に入るとそこは前の部屋とほぼ同じだった。
ただテーブルに置かれているものが違った。
そこにはドアノブではなく、カプセル型の薬物らしきものが5つ置かれていた。
おそらくこの薬を飲めということだろう。
その時またケータイの着信音が鳴った。
豊はケータイを見る。
薬を一人一つずつ飲め。
予想通りだった。
おそらくこの中のどれかに毒かなんかが入っているのだろう。
そう思えば思うほど飲む気になんてなれなかった。
「飲むぞ?」
昌介が薬の一つに手を取った。
「え、飲むの?飲んじゃいけないよ。毒薬が混ざっているかもしれないし。」
豊がそう言うと昌介の手が止まった。
「飲まなきゃ、先に進めないだろ。」
・・・。どうかしている。
勝を助けるためだけに、こんな危険まで冒さなければいけないのか。
本当に飲まなければいけないのか。
飲みたくない。
飲みたくない!
ノミタクナアアアアアアアアアイ!!!!!!!
しかし皆なんのためらいもなく飲んだ。
ここで飲まなければ自分のせいで先に進めなくなり勝を助けられない。
豊は恐る恐る危険物を手に取り、それを目をつぶった状態で勢いよく飲み込んだ。
ゴクリ。
目を開けた。
何にもなっていない。
「なにもなかったね。」
沙織がそうつぶやいた。
「どういうつもりなんだ?犯人は。」
卓也がそう言うと昌介は首をかしげた。
「さあ?」
「いったい何のつもりで。でもきっと何かあると思うんだけど・・・」
その時、扉のあく音が聞こえた。