14
「行くぞ?」
昌介が皆に聞く。
皆うなずいた。
それを確認すると、昌介は扉を押した。
少しずつ開いていく。
「部屋・・・?」
豊がぼそっと呟く。
この部屋は真ん中にテーブルが置いてあるだけのシンプルな部屋だ。
ちょうど、警察署のあの部屋とほぼ同じだ。
真ん中のテーブルに何か置いてある。
それは1つのドアノブだった。
そしてそのすぐ横に紙きれと接着剤が置いてある。
その先に扉がある。
「なんだこれ。」
卓也がドアノブをとったその時、突然扉が閉まった。
ガタンッ
「きゃっ!」
沙織が驚いて飛びのけた。
「大丈夫か?」
昌介が心配する。
「う、うん・・・。」
「その紙きれに何が書いてあるか読むぞ?」
「いいぜ」
卓也がそういった。
そして昌介はその紙きれを手に取り、読んだ。
この部屋から脱出しろ。
「なんだこれ。簡単じゃん」
昌介は読み終えるとそうつぶやいた。
そう、ただこの部屋から出ればいいのだ。
扉を開けて終わりだ。
昌介はテーブルに紙きれを置いた。
卓也は昌介が読んだ紙切れを手に取った。
それを読んだ。
「・・・どこが簡単なんだよ・・・。」
「ん?」
昌介はその声に反応する。
「いやだって、普通に扉を開ければ終わりだろ?」
「ばかか。お前は。」
「何か間違っているか?」
「・・・だって俺らが入ってきた扉は、外からしか開けられないんだよ。」
「えっ?」
「しかも、そっちにあるもう一つのもここからじゃ開けられないんだ。さっき試した。」
・・・。
「このドアノブをくっつければいいんじゃない?」
美佐がいうと卓也は表情を曇らせた。
「1つしかない・・・。」
昌介がまとめた。
「つまりだ。このドアノブを使って戻るか、勝を助けるかどっちかしかないんだな。」
美佐にとっては究極の選択だった。
ここから戻れば助かるのだが、勝が助からない。
逆に進めば勝を助けられるかもしれないのだが、私たちが助かるかどうかわからない。
どっちを選ぶにしてもダメな予感がした。
やはりここに来てはいけなかったのではないか。
しかし来なければ勝の命が・・・。
美佐は迷っていた。
「すすむぞ。」
迷っているうちに、昌介は勝手にドアノブを手に取った。
「いいよな。みんな。」
最初に卓也がうなずいた。
次に豊と沙織。
みんなうなずいたので、美佐もうなずいてしまった。
何か嫌な予感がする。
本当にこれでよかったんだろうか。
昌介はドアノブを接着剤で扉にくっつけた。
しばらくして固まらせた後、昌介はそっと扉を引いた。
「開いた!」
その時みんなのケータイの着信音が鳴り響いた。