12
「う、うーーん・・・」
豊は眼を覚ました。
そして目をあける。
「こ、ここは・・・?」
すると卓也が走ってきた。
あとから昌介と美佐と沙織も来る。
「大丈夫か?」
「ここは・・・どこ?」
周りを見渡す。しかしここがどこだか分らなかった。
「ここはW中学校だよ。」
昌介が豊を立ち上がらせた。
確かにここはW中学校のようだ。
「そろそろだな・・・」
突然、卓也に行こうといわれた。
「なにが?」
「あ、そっか。お前にはまだ何も言ってなかったな。」
卓也は少し間を開けて言った。
「犯人にここへ今日の深夜0時に来いと言われたんだ。」
豊の表情が一変する。
「や、やばいよ!だめだ!だって犯人は・・・」
「犯人は?」
美佐が聞く。
「・・・・・・・あれ?思い出せない・・・」
豊はそう言いながらもあの時の光景を思い浮かべていた。
・・・。
だめだ。どうしても思い出せない。
そこへ昌介がこう言った。
「思い出せないのも無理はない。あの時お前、頭思いっきり打ったんだよ。・・・・・俺が押したせいで。ごめんな強く押しちゃって。」
豊がそこへこう言った。
「いや、押してくれなかったら俺死んでたから。」
沙織が来た。
「あと10分だよ。」
その声に皆反応して沙織を見た。
沙織は少し戸惑う。
美佐はみんなが話をしているときに外を見ていた。
ずっと誰も使っていないせいか、埃がたまっている。
外を見ていると校庭になぜかぽつんと建物が建ってた。
とても小さい建物だ。
それがさっきから少しづつ大きくなっている。
まるで風船が膨らむようだ。
いやそれとは少し違う。
「なにあれ・・・」
美佐がそう言っても誰も気づいていないのか話を続けている。
「あと10分だよ。」
沙織がそう言った。
そう言った途端、卓也が窓から外を見た。
「お、おい!なんだあれ!!」
その声に気が付き、集まった。
「ほんとだ。最初来たときはあんな建物なかったよね。あ、大きくなった。」
沙織が興奮気味に話している。
「ほんとだ。あれ、まるで塔じゃん。」
確かに豊の言うとおりである。
あれは、塔だ。しかし、不気味なオーラが漂っている。
「ねえ。あと何分?」
「7分。」
美佐がみんなに聞くと、卓也が即答で答えた。
「いってみよう」
昌介がそう言って勝手に教室から出て行った。
「お、おい!」
卓也が止めようとしたが間に合わなかった。
しばらくして、昌介が校庭に出てきた。
謎の塔を眺めた後、こっちを見上げてきた。
そして、手でこっちへ来いとやっている。
「どうする行く?」
美佐はみんなに聞いた。
「いくしかないだろ」
卓也はそう言って、教室からでていった。
「うちらもいこう」
沙織と豊と美佐も教室から出て行った。