11
「なにも怪しそうなところなかったね・・・」
隣にいる豊が独り言のように話し出した。
「でも怪しいとするとあそこしかないんだよな〜」
「はぁ・・・」
豊がため息をつく。
どうやら今日、なにも見つからなかったのが相当ショックらしい。
昌介は豊のほうを向く。
昌介は励ます。
「大丈夫だって!きっと見つかるさ!警察がいなくても」
そう、警察なんかを頼ってはならない。
絶対にだ。
あくまで形だけ頼っているのである。
麻衣が殺されたのだ。もう警察になんか頼れるはずがない。
「・・・だよな。あ、もうすぐそこだからじゃあな」
「おう!」
豊がこちらに背を向けて自分とは違う方向に進んでいった。
豊と別れてから1分たったころだ。
ケータイの着信音が鳴りだした。
ぴるるる ぴるるる・・・
昌介はポケットからケータイを取り出し、開いた。
メールが一通来ている。
それは何と勝からだった。
しかし、おそらく勝ではないだろう。
これは犯人のもののはずだ。
メールをチェックした。
そこには、こう書かれていた。
豊を助けなくていいのかい?
そのメールを読んだ瞬間、昌介は考えるよりも前に行動していた。
それは豊が向かった方向へ走っていた。
いそげいそげいそげいそげいそげいそげ・・・・・・・
走っていると豊の姿が見えた。
誰かに近づいて行っている。
だれだ?
ぼんやりとしか見ることができない。
しかしこれだけはわかった。
何かを構えている。
さらに近づいたところでそれがわかった。
それは・・・・・・・・・・弓矢だ!!!!!
「そ、そんな!!」
不意に豊の声が聞こえ来た。
「や、やめろよ。どうしてだよ!!なんでおまえが!!」
昌介は全力で走った。
まにあえええええええええ!!!!!!!!!!!!!
豊の肩に触れた。
とたんに豊は吹っ飛んだ。どうやらかなり強くおしたようだ。
「はぁはぁ・・・」
弓矢を持っていた犯人の姿を探す。
もう周りには誰もいなかった。
「くそ!どこだあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
飛んできた矢を見る。そこには紙が巻きつけてあった。
その紙を開いてみる。
昌介、危なかったな
ヒントをやろう。
時間は明日の深夜0時に中学校にこい。
あのメンバーでだ。
まってるよ。
来なかったら、もう皆死ぬだろう。
それはもうはじめからわかっていたかのように書かれていた。
昌介はしばらくそこに突っ立ていた。
夕焼けが不気味なほどに赤く見えた。