10
美佐たちはあのメールを見返していた。
「ねぇ、中学校に行ってみようよ」
美佐がそう言うと皆顔を持ち上げ、こっちを見てきた。
「そうだな。」
昌介は美佐が言ったことに賛成し、立ち上がった。
皆も立ち上がる。
「よしいくか!」
「え?いまから?」
豊が戸惑った表情を見せると、昌介は少し顔をしかめて見せた。
「当たり前だろ?今はまだ10時だし、それとあのメールお前にもきただろ?そこに期限は5日間って書いてあったじゃないか。もうあと今日も入れて4日しかないんだぜ?」
「うぅ・・・」
豊はしぶしぶうなずいた。
「じゃあいくか」
中学校はここから近い。
あるいて、せいぜい7、8分だ。
がくがくふるえている豊を見ながら、美佐は少し笑いかけていた。
こんなに豊が怖がりだとは思ってもみなかったのだ。
豊の自己紹介を訂正しよう。
彼は黒井豊。
ナルシストだ。
自分のことをかっこいいと思っている。
いつも鏡を持参していた。
そして暇さえあれば鏡を見ていた。
+怖がりである。
これでよしっと。
中学校についた。
この中学校の名前はW中学校である。
「ついたな。」
卓也がそうつぶやくと、沙織が身震いした。
「きゃーこわいよー」
わざとらしく沙織は卓也に抱きつく。
「だいじょうぶだ!おれがついている!」
「きゃーかっこいー!!」
・・・。
美佐はついさっきまであんなに怖がっていた沙織が一変したのには驚いた。
まさかここまで仲がいいとは・・・
それはさておき、中学校の周りを美佐は見渡した。
ここはもう2年前から廃校になっている。
その廃校になった中学校に美佐は一歩足を踏み入れた。
「なにも怪しそうなところなかったね・・・」
豊は中学校探索の後の帰り道だった。
あのあと結局何も見つからなかった。
やはり無意味あそこを探すのはだったのだ。
しかし、探さないと死ぬ。
タイムリミットは今日を入れないと残り3日だ。
隣にいた昌介が答えた。
「でも怪しいとするとあそこしかないんだよなぁ〜」
「はぁ・・・」
豊はため息をついた。
それに気がついたのか、昌介はこっちを向いた。
「大丈夫だって!きっと見つかるさ!警察がいなくても。」
「・・・だよな。あ、もうすぐそこだからじゃあな」
「おう!」
豊は昌介から別れると一人で赤に染まっている夕焼けを見つめながら、とぼとぼと歩いていた。
とその時、遠くから誰かがこっちに歩み寄ってきた。
豊も無意識的に歩み寄る。
間が10メートルぐらいになったとき相手の顔がわかった。
その途端、豊は驚いた。
「そ、そんな!!」
その男は弓矢を持っていた。
それを豊に向ける。
「や、やめろよ。どうしてだよ!!なんでおまえが!!」
その男は不気味に笑う。
バシュッ
その男の手から矢が放たれた。
それは一直線に豊に向かう。
豊は眼を閉じた。
もう死ぬううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!
誰かはわからないが横から押してきた。
豊は宙に舞い、倒れこんだ。
その時に頭を打った。
・・・。
豊は気を失ってしまった。