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「い、いやぁぁあああ!!」
叫んだほうを皆見る。
沙織は大声でふるえながら叫んでいた。
「沙織・・・」
卓也は震えている沙織をそっと抱き締めた。
その光景を皆、何も言わずにただ見ている。
沙織は少しは安心したのか震えが少し治まった。
警察なんて信用できない・・・
卓也はそう思った。
皆もおそらく、いや絶対にそう思っているだろう。
菊池ももう終わりだ。
麻衣が、菊池が安心しなさいといったその夜に誰かに殺されたのだ。
さっきから菊池が何かを言っているが卓也の耳にはさっぱり入ってこなかった。
その帰り昌介はある提案をうちあげた。
「なあおまえら、おれたちで犯人が誰か突き止めて勝を助け出さないか?」
「あぁ。いいぜ」
その提案に卓也は賛成した。
「わたしも・・・いいよ」
つづいて美佐も賛成した。
「あたしも・・・」
沙織も賛成した。
「俺は・・・いやだ!」
しかし、豊が反対した。
「どうしてだよ」
昌介がきくと豊は答えた。
「だって俺達、命ねらわれてんだぜ?そんなにうろちょろ動き回ってたら、確実に殺される!!」
豊は必死だった。
その時、豊のケータイが鳴り出した。
ピロピロピロピロ・・・
豊はケータイを取り出し、開いた。
それを見た瞬間豊は震えだした。
「う、うそだろ・・・・・・」
卓也や昌介ものぞきこむ。
勝からのメールだった。
君たちがこの私を探そうとしないから殺しちゃうんだ。だからこの私を探してヨ
じゃないと・・・・・・・・みんな死ぬよ?
昌介は息をのんだ。
「どっかでおれたちを見ている・・・」
「そんな・・・」
豊は座り込んでしまった。
ケータイを見たまま固まってしまっている。
「豊・・・犯人を探そう!」
「・・・。」
豊は何も言わない。
しばらく、時間が経った。
そして、豊がやっとの思いで口を開いた。
「賛成」
「へ?」
卓也が少し安心した表情で聞いた。
「俺・・・探すよ・・・犯人」
「よしこれできまりだな。」
そして始まった。
いや始まってしまったのだ。
地獄の始まりが。