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幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜  作者: 猫又チコ


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魔王軍襲来⑦

 『ヘルヘイム』が吹き飛ばしたカリーナたちを一瞥して、エルフの森奥地に向かおうとしたとき、何者かがカリーナたちの方に降り立った。


「お前が、カリーナたちをやったのか?」

「お前、誰だ?」

「質問に答えろ。お前が、カリーナたちをやったのか?」

「そうだ。と、言ったら?」


「殺す」


 そこにいたのは、今まで見た事のないほど憤怒に満ち溢れたフォレスだった。

 魔力が黒く染まりフォレスを包んでいる。

 フォレスの魔力がうねりを上げて『ヘルヘイム』を包み込んだ。

 中で何が起きているのか、『ヘルヘイム』の悲鳴がエルフの森に木霊した。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 その魔力が『ヘルヘイム』から離れ、中にいた『ヘルヘイム』がボロボロの状態で出て来た。

 赤黒い地獄の炎で出来た体は、炎がポロポロと落ちて、燃え盛っていた勢いが全く無かった。


「はぁ、はぁ、はぁ、てめぇ、絶対に許さねぇ」


 それからも、フォレスの黒い魔力によってボロボロになった『ヘルヘイム』は、もう、動くことすら難しいほどまで痛み付けられた。


「……んで……魔族……平和…………のに……シュル……めん……」


 地面に倒れた『ヘルヘイム』はその体から涙を流していた。

 それを見たフォレスは意味が分からないと、なんでこいつが泣いているんだと、心の奥底から負の感情が溢れ出た。


「なんで、なんでお前が泣いてるんだよ! 泣きたいのはこっちだよ! お前たちが攻めてこなかったらエルフの森でこんなに死人が出ることもなかったんだよ! 今まで通りエルフの人たちは平和に暮らせたた。お前だって、魔王軍の兵士も死ぬことは無かった! そんな事も分からないのかお前は!」

「う……せ……お前……シュルイ……ろし……た……俺……たいせ……人……」

「あの女が、お前の大切な人? 勘違いするなよ。俺はあの女の事を殺してなんかない。今は、魔王のリュクスが引き取ってる」

「魔……王……? はっ……こんな……ころに……いた……か……はや……魔族……えれ……魔族……ひつよ……」


 『ヘルヘイム』の目が虚ろになり、何が見えているのかフォレスには分からない。虚ろな目に映る何かに、『ヘルヘイム』は手を伸ばした。


「シュルイ……次は……平和……せか……また……あお……」


 そして、『ヘルヘイム』は命を落とした。そこには、『ヘルヘイム』の体の火によって燃えた草だけが残った。

 それと同時に『ヘルヘイム』が放ったヘルヘイムは消えて、四分の三が灰燼に帰した。


「『ヘルヘイム』次は、平和な世界に産まれろよ。僕たちがその世界を作ってやるから。それまでは、反省して二度とこんなことをしないようにしてくれよ」

「……フォレス」

「!?」


 フォレスの名を呼ぶ声がして後ろを振り返ると、生まれたての小鹿のように足をがくがくと震えさせて、今にも倒れそうなカリーナが立っていた。


「カリーナ! 横になってな、今、回復魔法が使える人を呼んでくるから」

「私は、問題ない。先ずは、ノルメから」

「う、うん、分かった」


 直ぐに、エルフの居住区に向かい、回復魔法を使える人を探しに行った。

 そこで見た光景をフォレスは二度と忘れないだろう。


 顔や腕に包帯が巻かれているもの、父親が亡くなって泣いている子供たち、大勢の負傷者たちを回復魔法で直しているいるが、魔力も底を尽きかけているもの。


「これは酷い。……『ヘルヘイム』」


 そこには、こっちに割ける回復魔法の要因がいないことが分かった。


「あの、すみません」

「なんだね、君は負傷者じゃないのならあっちに行っていないさい。それとも、回復魔法が使えるのかね?」

「い、いえ。あっちで、勇者、様が倒れているんです。聖女様も、レイ様も、凄い傷を負っていて……」

「何!? それは本当か!? だ、だが、申し訳ない、こっちも、数が数だけに、人でも不足していてね、ポーションも全部使ってしまった。応急手当が出来るのなら、それだけもやっておいて欲しい」

「そ、そうですか。応急手当は出来るので、キットだけ借りていいですか?」

「あぁ、すまないね。キットなら、あそこの棚にあるから人数分持って行ってくれ」


 カリーナ、ノルメ、レイさん、リルーゼさんの四人分を持って行き、手当てに取り掛かった。一番の重傷者、ノルメの手当てをしながら、唯一意識のあるカリーナと話していた。


「なぁ、カリーナ。あそこに倒れている、背の高い見た事のない女性は誰なの? 何だか、人ではないと思うんだけど……」

「うん、あの人は人じゃない。精霊王だって」

「え、精霊王!? い、意外な存在が現れたね。あれは、リルーゼさんが召喚? したの?」


 そう聞くと、カリーナは首を横に振った。


「え、じゃぁ、誰が?」

「私」


 フォレスは瞼を何回も瞬きして驚いた。理解が追い付かなかったのだ。


「私が、勇者の力で召喚したの」

「え、勇者の力で?」

「うん、さっき分かったんだけど、私の勇者の力は過去の勇者の力を継承して使えるって能力みたい」

「……え、なにそれ、強くね?」

「あっ、はは、でも、一体どれだけの前勇者がいるのか、分からないから、覚えるのが大変な気がするけどね」


 そして、ノルメの応急手当が終わるころ、勇者のスキル《持続回復》でカリーナは完全回復した。続いてリルーゼさんの手当てをやっている最中、ノルメが目を覚ました。

 そこからは、聖女の力で回復を行ってもらい、みんな死ぬことなく元気になった。


「ノルメ、まだ、魔力は大丈夫?」

「うん、まだ行けるよ」

「病み上がりで悪いんだけどさ、エルフのみんなの事も回復させてあげられないかな?」

「うん! 任せて!」


 ノルメの聖女の力によって、エルフの負傷者たちは後遺症もなく元気になった。

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