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魔族の襲来⑤

 カリーナが炎の蛇と戦っている最中に一瞬で炎の蛇を倒し終わり、カリーナにちょっかいを出してから『火炎三蛇(ドライスネーク)』の魔法を放った魔族の元に向かっていた。


「ケケケ、魔王はどこかな? お?」

「お前か。この村を襲ったのは」

「ケケケ、それがどうした?」

「いや、どうもしないさ。ただ、お前がこの村を襲った事実が知りたかっただけだ」

「ケケケ、お前誰だ?」


 リュクスは周りを見て、誰もいない事を確認して『隠蔽』のスキルを解いた。


「っ!? ケケケ、その眼。その紋章。お前が魔王か!!!!!」


 魔族が急上昇しリュクスに向かって急降下。その勢いのままリュクスに拳を振るった。その威力は絶大で地面に大きなクレーターを作り、大きな爆発音が村中に響き渡った。

 リュクスはその拳を軽々受け止め、魔族の顔面に回し蹴りを放った。


「っグウェ!!」


 回し蹴りはクリーンヒットし、空に打ち上げられた。魔族は空中で翼を開いて勢いを殺し、態勢を整えた。そいつは両手に魔力を集め空に向かって放った。空に放たれた魔力は空中で爆散し、雨のように村に向かって降り注いだ。

 リュクスは冷静にそれを見つめ、手を前に向けた。


「喰らえ。『捕食蛇(ウロボロス)』」


 リュクスが『捕食蛇』を発動すると、巨大な蛇が現れた。そして、雨の様に村に降っていた魔力が『捕食蛇』の口の中に飲み込まれていく。


「っケ!? 食べられているだと!?!? はぁぁぁぁぁ!!!!」


 更に魔族は魔力を放つが『捕食蛇』に全て食べられリュクスに届くことは無かった。そして、『捕食蛇』は魔力を食べながら魔族に向かって空を泳いでいく。


「ケケ!?!? 来るな!!!」


 更に魔族は魔力を放つが『捕食蛇』に食べられるか、当たらずに地面に当たり小さなクレーターを作る事しかなかった。そして、『捕食蛇』は魔族に元に辿り着き。魔族に齧り付いた。


「グォッ!! オ、オォ、オォォ!!!!」

「ほら、俺の魔力だ。喰え」


 リュクスが自分の魔力を『捕食蛇』に食べさせると一段階大きく成長し、魔族を空から地面に叩きつけた。


 と、そこにフォレスとカリーナが到着した。


「えっと、この状況は……」

「遅かったな。フォレス。カリーナは……大丈夫そうだな」

「……うん」

「あ、眼」

「ん? あ、そうだった」


 リュクスは『隠蔽』スキルを使って眼の紋章を隠した。

 2人のやりとりに疑問を持ちながらも、少し先にいる倒れている魔族と、その上でくるくる回っている蛇の様な何かを見て、あれが何なのか気になっているとリュクスが説明してくれた。


「あれは『捕食蛇(ウロボロス)』。全てを喰らい尽くす蛇だ」

「え!? 危険じゃん!!」

「危険じゃない。俺の命令には絶対だから、安心だよ。戻って来い」


 ウロボロス。僕が地球にいた頃にも見たことがある。自分の尻尾を食べているウロボロスの絵を。

 リュクスがそう命令するとウロボロスがリュクス中に戻って行った。すると、リュクスが片膝を突いて倒れてしまった。


「「リュクス!?!?」」

「あ、あぁ、大丈夫だ。ちょっと、こいつは暴れん坊なだけだよ」


 そう言って、リュクスは立ち上がった。少し息があがり胸を抑えている。大丈夫では無いんだろうけど、回復の手段があるかどうかは僕は知らない。


「リュクス。動かないでよ」

「何するんだ?」


 カリーナがリュスクの胸の前に両手を出して、緑色の魔力を流す。


「これは、回復魔法か」

「そう。どう? 少しは楽になった?」

「あぁ、だいぶ楽になったよ」

「そっか。なら良かった」

「で、あの魔族はどうするの?」

「殺すに決まってんだろ」

「そ、そう……だよね」


 この旅を無事に終わらせるには2人が魔王で勇者だという事を隠し通す事が必要だ。そして、あの魔族はリュクスが魔王だと知ってしまった。だったら殺してしまうのが手っ取り早い。それに脅威が1人居なくなる。

 それは分かってる。けど、地球にいた頃の倫理観が邪魔をする。


「僕、村人たちに魔族を倒した事を言ってくるよ。2人はあの魔族を…………殺しておいて」

「お、おぉ」

「分かった」


 僕は高台に避難している村人たちの元に向かった。そこには、村の惨状を見て泣いている人も居れば、何が何だがまだ分かっていないくて虚無になっている人もいる。


「村長さんは居ますか?」

「私はここだ」

「村長さん。この村を襲った魔族は倒しました」

「ほ、本当か!?」

「はい。今、2人がとどめを刺しているところだと思います」

「そうか……ありがとう。本当にありがとう!!」


 村長がそう言うと、後ろの村人たちも頭を下げた。


「君たちのお陰で私たちは殆どの死者を出すことも無かった。本当に感謝している」


 僕は、そう言って泣いて喜んでいる村長、村人たちを見て複雑な気持ちになった。

 生きているが、それでも死者は出ている。それに、村は壊滅状態。これまでの思い出も、これからの思い出も全部壊されたのだ。それでも、泣いて喜んでいるみんなの気持ちが僕は分からない。

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