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第二ラウンド開始

 再び現れた量産型戦闘用天使アルファーはヘラヘラとした雰囲気そのままだった。


「本気で行く」

「私たちは、邪魔……だよね」

「ごめん、少し間、待っててね」

「ううん、大丈夫。ノルメ、バフとデバフを掛けることが出来たら、掛けてね」

「うん、任せて!」


 アルファーと僕は一歩二歩と近づいた。


「お前の、標的はカリーナか?」

「ううん、違うよ。私の標的は勇者でも勇者の仲間でも無い。君だよ、フォレス」

「!? ……予想外」


 まじか、僕か、なんでだ? なんで、僕が標的になるんだ? 理由が全く分からない。


「なんで、神は僕のことを標的にするんだ?」

「う~ん、ないしょ~」

「だよなぁ」

「質問は終わり? だったら、そろそろ行くよ!」


 その時、アルファーから発せられていた空気が一変した。

 その空気の変わりように、僕の額には冷や汗が流れていた。


 これからの戦いを想像するだけで僕は笑みを抑えられなかった。


「行くぞ、天使」

「来なよ、イレギュラー」


 そして、僕も今操れる以上の魔力を放出した。

 それを、僕を囲う様に防壁を作る。


「久しぶりだな『五つの城壁(フェンフボルグ)』」


 ボルグから五つの手が伸びた。


「へー、面白いじゃん」


 そして、アルファーの猛攻が始まった。

 さっきよりも、速く思いハンマーの攻撃が僕のボルグに突き刺さる。

 上下左右からの攻撃に、ボルグごとなんども吹き飛ばされた。

 だが、吹き飛ばされただけ、本体の僕には全く届かない。


「意外に硬いね。それじゃ、とっておきを出すよ」


 アルファーは僕から少し離れると、ハンマーを地面に垂直に立てた。

 スッと、アルファーの集中が深化した。

 それと同時に、ハンマーに炎が纏った。


「その、防壁、粉々に砕いてやる」

「やれるもんならやってみろ。こっちだって、反撃を始める」


 そして、僕とアルファーの攻防はカリーナたちが息をするのも忘れる程、激化していた。


 右からくるハンマーに二本の手で受け止め、三本の手で攻撃するが、ハンマーの柄を軸に回転して避けられ、そのまま上からハンマーの攻撃を繰り出してくる。

 それを、防いでアルファーを一本の手で殴り飛ばした。

 殴り飛ばされたアルファーは何事もなかったように立ち上がった。

 流石、神の作った戦闘用天使、これが量産型ってのが滅茶苦茶怖い。


「イレギュラー、お前の力は量産型の私すら殺せない」

「天使、お前だって僕のボルグを壊せないじゃないか。決め手がないのは、お互い様だろ?」

「そうだな、だが、今のお前は私には勝てない。それを思い知るがいい」


 その言葉に、思わず笑ってしまった。

 その笑みにアルファーは怪訝な表情を浮かべた。


「何が、おかしい」

「いや、すまない。まさか、僕が本当に本気を出していたと思っていたのか思ってね」

「何?」


 そして、僕は手のひらを前に出して握り拳を作った。


「潰れろ。天使」


 その瞬間、アルファーは今まで感じたことのない重力を感じていた。


「!? な、なんだ……! この、重さ……!?」


 今回は重力のベクトルを僕の出来る最大の重さまで強化した。

 だが、流石と言うべきか、それでもアルファーは潰されなかった。


(今までの僕じゃ勝てない。成長するんだ、今、この時に……!!)

「つ! ぶ! れ! ろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

「!? な、なんでだ……!! 出力が上がった!?!?!? や、やばい、これは! 潰される!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


 そして、アルファーは僕の重力魔法で潰された。

 天使には血が通っていなかったのか、血は一滴も出ることは無かった。その代わり、アルファーの残穢が聞こえた。


『イレギュラーのお前たちなら分かるだろうが、私が死んだところでこちらは痛くも痒くもない。精々ご主人たちを楽しませなさい』


 そう言って、悪魔のような笑い声を出してその声は消えて行った。


「カリーナ、ノルメ、レイさん、僕たちは弱いです。強くならないといけない。最低でも量産型を軽々倒せるぐらいには……」

「分かってるよ。フォレス」

「その為には、個人での底上げが必要って訳ですね」

「うん、その通り」

「その話し合いも大事ですけど、先ずは帰りましょう。ノアさんの事も気になりますし」


 やばい、忘れてた。そう言えば、案内してくれたノアさん、逃げたっきりそのままだ。

 まずは、ノアさんを探してから、話はそれからだ。

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