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遺跡の探索⑨

 今回向かう遺跡は、濃い霧の中にある。

 しかも、その霧の中には自由自在に動き回る魔物が多数存在している。

 今まで、霧の中で狩られることの知らなかった魔物の数は僕たちの想像を遥かに超えていた。


「ちょっと、フォレス! なにこの数、私聞いてないんだけど!!」

「そんな事、言われても、僕も知らなかったんだよ!」

「ノアさん! これはどういうことですか!!」

「俺に言われても困る! 霧の中じゃ、俺たち獣人族でも魔物と戦うのは困難なんだよ!!」

「オラオラオラオラ!! 全部見えてるんだよ! カスども!! さっさと、俺様の餌食になるんだな!!! ヒャッホー!!!」


 なんか、一人だけテンションが明らかに違う。

 最近は、レイさんが弓を手に持つことは無かった。だから、性別が変化したレイさんを見るのは久しぶりで、その豹変っぷりに驚かされていた。


「おい、フォレスよ! あの男は何処から出て来た! ってか、あの仮面、もしかして……」

「もしかして、ですよ。あれは、レイさんです。弓を手に持つと性別が変わって、戦闘狂になるんですよ」

「はぁー、まじかー、つうか、強いな。お前たち、ってか、レイ」


 レイさんのお陰で、次々とくる魔物の波も簡単に倒すことが出来た。


「ふー、久しぶりのこの快感、たまらねぇぜ!!」


 レイさんは満足したように弓から手を離した。

 レイさんの周りを淡い光が包み、女性のレイさんが姿を現した。


「み、皆さん、あまり、私の方を見ないでください。恥ずかしいです……」


 その後も、何度か魔物を撃退して、ノアさんと僕の案内の元、遺跡に辿り着くことが出来た。

 だが、そこには遺跡など、存在していなかった。


「おいおい、フォレス。本当にここであってるんだろうな?」

「うん、そのはずなんだけど……」


 今まで見た遺跡は、山を抉った中にある遺跡、洞窟の形をした遺跡、森の中に佇んでいる遺跡。色々なものがあった。

 そして、今回の遺跡は地面の中に存在していた。


 それに気付いたのは一人一人と仲間が居なくなってからだった。

 濃い霧の中、仲間の姿さえも良く分からない。それが、急に居なくなっても少し離れただけだと思ってしまう。

 気付いたときには、周りは自分一人だけだった。


「あれ? みんなどこに……!?!?!?!?!?!」


 そして、自分も吸い込まれるように遺跡の中に入って行った。

 滑り台のように落ちて行き、尻もちをついて地面に到着した。


「いてて」


 おしりを摩りながら立ち上がると、既にノアさんも含めた全員が僕のことを待っていた。


「遅いよ」

「ごめんごめん」


 みんなが待っている場所に向かった。

 この遺跡の内部は、今まで僕たちが入った遺跡とは全く違うものになっていた。

 小学校の体育館4個は余裕で入れることが出来るぐらい大きな空間だった。


 そして、何より特徴的なのは、真っ白な壁だ。

 傷も汚れも何一つない真っ白な壁。それだけで、ここが物凄く神秘的な場所だという事は分かった。


「ここにあるのは、あれだけ」


 この空間には何か巨大なもの以外存在していなかった。

 それに近寄ると、それが、何なのか、僕とカリーナ、ノルメの3人だけ分かった。


「これは、何ですか?」

「これは、壁画だ」


 僕たちが探していた巨大な壁画の一つがガラス張りのケースに入れられて存在していた。


 今回の壁画にも絵が描かれていた。

 丸いもの、壁、丸いものと順に描かれ、次の場面では壁が壊され羽を生やした4人が移動する絵。移動した丸いものから、色の違う同じような人が雲から落ちるような絵が描かれていた。


「これは、どういう意味だ? みんなはこの絵、どういう意味だと思う?」

「え、う、う~ん、最初に見つけた壁画に羽の生やした人、出てきてなかったっけ?」


 カリーナにそう言われて、『収納』から模写した絵を出してもらい見比べた。


「確かに、壁を壊した人と勇者と魔王の前に立っている人、同じ人だよ」

「おいおい、俺にも見せてくれよ」

「私も、見たいです」


 ノアさんとレイさんも加わって見比べると、二人ともこの人が同一人物だと言っていた。


「!! そうか、分かったぞ!!」

「お兄ちゃん、分かったの!?!?」

「おう、完璧に理解した」


 これで、リュクスが離れた理由、神を倒したいと言っていた根拠が湧いてきた。

 仲間が全員集まってからと思っていたが、今を逃したら絶対にダメだ。


「みんな、重大発表だ。心して聞いてくれ。僕たちの旅の終着点が今決まった」

「え、それは、どういう……」

「そのままの意味だよ、カリーナ。僕たちの旅も大詰め、ゴールが近いんだ」


 そこで、全員の顔を見た。みんな、聞く準備は出来ているようだった。


「《神殺し》それが、僕たちの旅の終着点だ」

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