カリーナとのデート①
集合場所は、街の中にある広場だ。
その広場は、円を描くように川が流れていて、真ん中に一本の木が生えた小島のようになっている。
その木の下にはベンチも置いてあり、木に生い茂る葉っぱのお陰でベンチは影になり、近くに川も流れているので、少し高い気温の今でも人を待つには打って付けだ。
現に、木の周りに設置してあるベンチには数人が人を待つためにベンチに腰を掛けている。
シーシップを流れる潮の香りを乗せた風を感じながらカリーナを待っていた。
目を瞑ってシーシップを感じていると、肩を軽くたたかれた。
目を開けて叩かれた方を見ると、カリーナが僕の顔を覗き込んでいた。
「お、お待たせ、フォレス。待った?」
「ううん、待ってないよ」
僕はベンチから立ち上がってカリーナの服装を見た。
黒のTシャツに黒のマウンテンパーカー、灰色のスカートを履いていた。
カリーナは普段、動きやすいからとショートパンツを好んで履いている。だから、初めて見るスカートに僕はドキッとした。
「今日の服装、いつもと違って……可愛いね」
「!! あ、ありがとう」
カリーナの今日の服装を褒めると、カリーナは恥ずかしそうに喜んでいた。
初めて見るカリーナの姿にドキッとした。
「……」
「? フォレス?」
「あ、う、うん、ごめん。い、行こうか」
「? うん」
そして、僕とカリーナのデートが始まった。
「カリーナは何処か行きたい場所はある?」
「う~ん、ショッピングしたいな」
「ショッピングか、じゃあさ、ボートに乗って移動しようよ」
「ボート!? そういえば、この街に来てまだ乗ってなかったな」
ボート乗り場に向かうと、そこにあったのはボートではなく、ゴンドラだった。
「お客さん、乗りますか?」
こちらに気付いたゴンドリエーレが声を掛けてきた。
「はい、乗ります。行こう、カリーナ」
「うん」
先にゴンドラに乗り、カリーナの手を引っ張ってゴンドラに乗せた。
「お客さん、ゴンドラは水上散歩は初めてかな?」
「はい、初めてです」
「どこまで送りましょうか?」
「ショッピングをしたいので、商業エリアまでお願いします」
「はいよ」
ゴンドラに乗って移動すると、時間がゆったり進む感じがする。
カリーナと話しながらゴンドラに乗るのは、凄く心地が良い。
ゴンドラから見る街の景色もなかなかに綺麗だった。
「この街、全体的にいい雰囲気だね」
「お、分かりますか? お客さん」
「はい!」
「私も好きです。全体的に流れがゆったりしてて、みんな優しいし、穏やかでいい人たちばっかりです」
ゴンドラに揺られながら進むこと、10分後。
「着きましたよ」
「ありがとうございます」
「お二人さん、良い一日を」
「おじさん、ありがとう」
商業エリアには人がひしめき合っていた。
これだと、離れ離れになってしまうかもしれない。
「カリーナ、離れると危ないよ」
僕はそう言ってカリーナの手を握った。
カリーナはそれに少し驚いていたが、カリーナも手をギュッと握り返してくれた。
「へへ、ありがとう」
ニッと笑うカリーナに心臓がギュッと握られる感覚を味わいながらショッピングを開始した。