今までの振り返り
仮面を被ることでレイさんの美貌を隠すことに成功した。
僕たちの目的地であるフォーティス大陸への行き方を受付嬢に聞いた。
そしたら、別の女性が教えてくれることになった。
「まず、自己紹介をさせてください。私は、冒険者ギルド・ラタン支部のムーナです」
自己紹介を返してムーナさんの話を聞いた。
「フォーティス大陸ですか。こっからだと、遠いですね。今、地図を出しますね」
ムーナさんは後ろから地図を持ってきた。机一杯に広げられた世界地図は驚くものだった。
まるで、地球でこの世界の地図を描いたんじゃないかと思わせる程、洗礼されたものだった。
「この地図は、この世界が出来たと同時期に描かれたものらしいです。まぁ、そのことについてなんの文献にも載っていないので本当にそうなのか誰にも分かりません」
ムーナさんの豆知識を聞き流して、本命のフォーティス大陸への行き方を聞いた。
「えー、今いるのがですね。ここです」
指で示された場所は、今僕たちが旅をしてきたプレルンクエ大陸のど真ん中だった。
「え、ここですか?」
「はい。そう言えば、あなたたちは何処から来たんですか?」
「クリエイ王国の王都から来ました」
「クリエイ王国の王都からですか、大変だったでしょう? 今、あそこの近くにある、いえ、あった、エルフの森が全焼したって聞きました。あなた方が来た時期を考えると、丁度その時にクリエイ王国にいたと思うんですよ。にしても、クリエイ王国の王様は大変ですね。お祭りを開催したらその鉱山がダンジョン化してしまうし、近くにあったエルフの森は燃えるし、災難としか言えないですね」
その話は耳が痛い。ムーナさんが話題にあげた話、全部に僕たちが絡んでいる。
僕たちは軽い相槌を打って苦笑いするしかなかった。
「まぁ、こういった暗い話題は置いておいて、これからは、皆さんの楽しい旅の話しでもしますか」
ムーナさんは、僕たちにどこの国を周ったのかを聞いてきた。
一つ目は、メッツァルという街だった。あそこで、初めての身分証を作ったんだ。
そう言えば、後でレイさんの身分証もあとで作らないと……。
メッツァルでは、魔物の異常発生が起きて、僕とカリーナ、今はいないリュクスの三人で全滅させたんだ。
まさか、報酬で貰った髪留めでカリーナが捕まって複製されるなんて思いもしなかった。
神に近づいた男を倒して、メッツァルを護ったんだ。ただ、複製されたカリーナがどうなっているのか、そこをちゃんと話し合っていないのを寝る前に後悔している。
それに、メッツァルに降った隕石の被害があの穴だけで済んだのも良かった。僕たちはあの隕石に対して何かしたわけではない、あの男が深層心理でメッツァルを好きだったから周りに影響が出なかったのか、真相は不明だ。
続いては、ボルケイノだ。
ボルケイノは近くに火山があり、温泉が有名な場所だ。
そこで、ノルメと出会った。
初めはカリーナが温泉で出会った少女だと思っていたら、カジノの悪人から逃げていたり、聖女だったりで驚いた。
カジノの親玉らしき人が至極色の結晶からピーカックを召喚したこともあった。一度、手なずけて一緒に旅をしていたが今は何処かに行ってしまった。
オークション会場に入るために体を成長してもらったのも忘れてはいけない。結局はお金が無くて何も落札できなかったんだけどね。
なにより、忘れてはいけないのが、院長との再会だ。当たり前だが、数か月ぶりに会った院長は全く変わっていなかった。けど、僕たちの方は18歳の姿に成長していたから一目見て分かった院長は本当にすごいと思う。
ボルケイノ付近の遺跡ではリュクスが生ごみを被ったり、ノルメが聖女の杖を持ってきたり、色々なことがあった。
その後、院長とピーカックが急に居なくなったり、ノルメの本名と過去の国のことを知った。
そこで出会った、ノルメの過去のメイドさんと会ったりした。
そして、クリエイ王国に入ったのだ。
それをムーナさんに端的に教えた。
「なるほど、という事は、左端辺りから上から回る感じに来たんですね。という事は、このまま右に向かって進むのが一番ですね。フォレスさんたちが来たのが北門なので東門から真っ直ぐに進むと海の側にある街に着きますよ。名前は《シーシップ》です。道もちゃんとあるので迷いはしないと思いますが、日数だけ掛かるので、そこだけ気を付けてください」
そして、翌日。旅の準備を行って、その翌日にラタンを旅立った。冒険者ギルドと役所の人たちにはレイさんがいなくなることに物凄く惜しまれた。