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第四十六話 帰省

名前のところ対応して見ました。

とは言え、マイページ頑張ってませんが……


感想もレビューも見てますので、どしどしご応募を!返信はしませんが……!


宜しくお願いします!

 レイとレミアがのんびりと会話をして程なく、セリアリスがその場へとやってきたのだが、意外な人物を連れて来ていて、レイは思わずギョッとする。


「メ、メルテ、如何して此処に?」


 セリアリスが連れて来たのはメルテ・スザリン。大魔導の弟子にしてレイのクラスメイトである。ただそんなレイの驚いた声に答えたのは、セリアリスの方だった。セリアリスは苦笑いを浮かべながら、レイに返事をする。


「何やらメルテさんがレイを探していて、私が会うから一緒に来る?って誘ったの」


「そう、セリアリスに誘われた。私はレイに用が有るから、丁度良かった」


 レイはメルテの用に心当たりがないので、首を傾げる。


「メルテが俺に用?ならクラスで聞いてくれればって、ああ今日の午前中授業にいなかったっけ」


「今日の午前中は、やんごとなき睡眠時間だった。あれに抗うのは、無理。今日はアンナも起こしに来なかった」


 一見大層な事を言っているようだが、ようは寝坊である。普段はアンナが起こしに行っているようだが、今日は行ってないらしい。もう大丈夫と判断したか、自分の用が済んでなかったかのどちらかだろう。


「はいはい、寝坊ね。それで用って何?」


「ん、レイの夏休みの予定を予約する」


 レイはメルテの言っている意味が良くわからず、思わず聞き返す。


「は?夏休みの予約って何?」


 するとメルテは、最早決定事項とばかりに胸を張って説明する。


「予約は予約。キャンセルは受け付け無い。レイは私とスザリンに会いに行く。スザリンの使い魔が昨日OKと言っていた」


 レイはその事を聞いて、眉間に皺を寄せる。勿論初耳の話だし、それにも関わらずOKを取っているらしい。すると今度はセリアリスがメルテに変な事を聞いてくる。


「ねえ、メルテさん。大魔道のお住まいってどの辺なの?」


 確かに王都に住んでるとかだったら、一日くらい付き合うのは問題ない。そう言う意図なのかとレイは勝手に合点する。


「スザリンは、常闇の森の中にいる。私もそこに住んでいた。だから夏休みはそこに行く」


「あら、それなら尚更都合が良いわね」


 するとセリアリスは、またまた変な回答をする。都合が良い?どちらかというと常闇の森の場合、ノンフォーク領へ行く途中にあり、王都からはそこそこ遠い為、都合が悪いのだがとレイは思う。


「えーとメルテ?俺はそこに何しに行けば良いのかな?」


「レイは私に友達が出来た事の証明になって貰う。レイなら間違いない」


「それならアンナでも良いのでは?」


 レイにしてみれば、当然の質問である。今1番メルテと仲が良いのは、間違いなくアンナである。するとメルテは残念そうに首を横に振る。


「アンナは駄目。常闇の森は魔物が一杯いるから危険。レイは危険でも大丈夫。だから連れて行く」


 成る程、そう言う事かとレイは納得する。確かに常闇の森の中には、多くの魔物が生息している。実はメルテの魔法が威力一辺倒なのも、魔物を殲滅させるには、その方が効率が良いからとメルテは以前に言っていた。そのメルテの何故か根拠に満ちた大丈夫には、甚だレイ本人は疑問なのだが、話は理解する。


 するとレイが言葉を返す前に、何故かセリアリスが言葉を挟む。


「ねえ、メルテさん?そのお家に帰るのだけど、ノンフォーク領経由で帰ったらどうかしら?それなら王都で食べられない美味しいものをご馳走できるわよ」


「むっ、ご馳走?甘いのもある?」


「ええ、勿論!甘いのも、美味しいのも何でもご馳走出来るわ!」


「OK、セリアリスのお家経由、スザリンのお家で決定。レイ、夏休みの予約追加。セリアリス、グッドジョブ!」


「は?」


 レイは余りにも電光石火のやり取りに、思わず口を開ける。何故か今この瞬間に自分の夏休みの予定が決定した。意味の理解できないレイは、その目をセリアリスに向けて無言で説明を求める。するとそんな態度のレイに不満顔のセリアリスがきつく声を返す。


「何よ、そんなに難しい話じゃないでしょ。元々今日、私は私でノンフォーク領までの護衛をレイに頼もうと思ってたの。そしたらメルテさんもそうみたいだから、なら一緒が良いじゃない」


「あの……そこに俺の意思は……?」


 レイは顔を痙攣らせながら、何とか抵抗を試みる。薄々は分かっている。恐らくこれは覆らないことは。だがレイは言わずにはいられなかった。すると案の定、まずメルテが言う。


「レイが断るのは、私が断る!」


 そしてセリアリスもその言葉を面白そうに聞いて、続いて言う。


「フフフッ、メルテさんのそれ良いかも。なら私もレイが断るのを断ります。これは決定事項よ」


「そう、レイ、これは決定事項。セリアリス、良い事言う」


 何だろうこの息の合ったコンビは、とレイは仲良さげな雰囲気の2人を見て、やはりそうなったかと諦めると言う選択肢しか思い浮かばなかった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 そうしてレイの夏休みの予定が1つ決定した時、その裏では別の人物がせっせと予定を埋めようと頑張っていた。その人の名はアレックス・フォン・エゼルバイトである。生徒会室の中で、セリアリス以外のメンバーがそろっている状況で、夏休みの期間中に一つの提案を生徒会メンバーにしていたのだ。


「常闇の森にある遺跡の探索ですか?」


 そう声を出したのはユーリ。アレックスが何やら生徒会メンバーに相談があるとの事で言われた事に、思わず驚いてしまったのだ。


「ふむ、今度近衛騎士団が、その遺跡の調査に森へ入る算段をしていてな。そこで学生メンバーの何人かを連れていくことになっている。学校側としては、実力の伴わないメンバーを連れていくわけにもいかないので、生徒会メンバーに白羽の矢が立ったのだ」


 常闇の森の遺跡というのはここ最近に見つかった遺跡だ。元々かの地は魔物が多く生息する地域でもあるし、常闇の森の近くの街道沿いは治安維持の為、時折派兵を行っているが、その深部まで入り込むような人間は余りおらず、今回見つかった遺跡は、本当に偶々だった。


「すると参加者は近衛のメンバーと我々だけでしょうか?」


 まずは質問の口火をエリクが上げる。


「いや、アーネスト先生が生徒側の引率として参加される予定だ。流石に学生だけでは、心許ないからな」


 アレックスがエリクの質問に淀みなく答えると、今度はユーリがややおずおずと声を上げる。


「アレックス様、それは夏休みのどのあたりでしょうか?私は神殿での勤めもありますので、場合によっては参加できないかもしれないのですが」


 するとアレックスはそれに対し、鷹揚に答える。


「ふむ、そこは問題ない。既にアーネスト先生を通じてアナスタシア卿の許可は得ていると聞いている。出発も夏休み入ってすぐではない。2週間後くらいの出発になる予定だ」


「……ご配慮いただき有難うございます。ああそれとセリアリス様はどうされるのでしょうか?」


 ユーリは辛うじて笑顔を取り繕い感謝を述べる。本音は自分の知らないところで勝手に根回しされた事に不快感があったのだが、アレックスを責めても仕方がない事なので、話題をもう一つの気になる事に替える。するとそれにはアレックスが悩ましげな表情を見せる。


「セリアリスはこの夏、療養を兼ねて自領に戻る事になっている。まあ遺跡探索となれば、少なからず体力を使う事だ。無理を押して参加を迫るような事は出来ないので、今回は不参加としている」


「ええ、そうですね。承知しました。では私も足手まといにならないよう、それまで精進させて頂きます」


 ユーリはそう言って、決意を滲ませる。遺跡探索は興味がないと言えば嘘になる。それこそ昔のお伽噺には英雄達の冒険譚に遺跡探索というのは付き物である。だからこそ正直楽しみには思っていた。セリアリスが参加しないというのは残念だが、こればかりは仕方がない。すると今度はエリクが再び話し掛ける。


「アレックス、その他のクラスのメンバーは参加しないのでしょうか?勿論、我々だけでもいいのですが、他クラスに贔屓だ云々、言われないでしょうか?」


「そこは大丈夫。今回の調査はあくまで近衛騎士団の主任務で、我々は王家の仕事としてその任務に協力しているに過ぎない。学校行事として行う訳ではない以上、他クラスは気にしないだろう。まあ行く場所が行く場所だ。そうそう行きたいなどと言うやつもおらんだろう」


「成る程、そう言う事ですが。なら私には異存はありません」


 エリクはそこまで言うと、にっこりと笑みを浮かべアレックスを見る。アレックスも笑顔でそれに頷き返し、話の取り纏めを行う。


「では簡単にまとめるが、2週間後に常闇の森の遺跡探索を行う。参加者は私、エリク、アレス、ユーリ、エリカの5名で、アーネスト先生が引率される。常闇の森近辺までは馬車での移動だが、森の中は徒歩での強行軍となるから、それぞれ準備を怠らないように。勿論、近衛騎士がついているとはいえ魔物との戦闘の可能性もある。武器や身の回りを守るものは忘れないように、他に何かあるかな」


「大丈夫です。特段問題はありません」


 エリクが代表して返事をすると、一同もそれに習い大きく頷き、それを見たアレックスは、内心でほくそ笑む。


『さてさてこれで次のイベントの準備はOKだな。ああそう言えば、ここの遺跡ってあの剣ゲットできたよな。俺はまあ王家の秘宝級の武具があるからいいけど、ここでアレスに用意してあげると、後の展開は少し楽になるか?レベルは分からないけど、まあ安全マージンある位には強くなっているだろう。もしかして、ユーリが危なくなった時にさっと助けに行ければ、一気に距離が縮まっちゃうかも。よし頑張るぜーっ』


 確かに此処までのイベント消化率は順調。ただし現実となったこの世界では、ステータスなど当然ない。数字で測れないものだからこそ、大きな差異が生じている事に、アレックスが気が付くのは、まだまだ先の話だった。


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― 新着の感想 ―
[一言] んー前から思ってたがこの第一王子、ほんとダメだな。 無能は無能で諦めがつくんだけど、この王子みたいな中途半端な無能ってたちが悪いのよね
[一言] 国王については「もう手遅れで、呪いを解呪しても助からない」と言ってたので、このまま見殺しで構わないのですが、セリーのはまだ解呪しないのですか? やきもきさせないでください。
[一言] 現実のようなゲーム世界からゲームのような現実世界へ認識が変わる頃には二人ともレイに嫁ぐ気満々になってそう
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