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4-27.配置換え

地獄のような状況の中をイケメンエルフに連れられて出て行く。

領主の部屋に通されるとメイドさんがお茶を持って来た。

メイドさんの視線も厳しい気がする。気のせいだよね。


「クルーソーさんは人に教えるのが得意でないのか?子供が苦手ということはないんだろ?」

「人に教えた経験はないもので」

「あの子たちは・・・自身の置かれている状況をよく理解をしている。なので授業を静かにまじめに聞いていただろう?あの子たちを追い込んでいるは大人の都合だ。だからもう少し彼女たちのことを考えてやってほしい」


余りの正論でぐうの音も出ません。もはや噛み締める気力すらありません。


「なにを教えれば興味を持ってもらえるのか?将来の役に立つのか?を考えると・・・教えることがないなーと思いまして・・・」


!女の子は白魔法を使える可能性が高いという話だったな。それであれば・・・


「もしですよ・・・彼女たちが魔法を使えれば・・・将来は明るいんじゃないですかね?」

「ああ・・・そうだな。だた魔法は教育に時間が掛かるしなれるかどうかも分からない。教育者も少ない。君が教えるとしてもあの人数は無理だろう?教える方も教えられる方も拘束時間が半端でなくなる。現実的には無理だな」


くくく・・・まあそうですよね。

孤児院に莫大な時間とお金を掛けて魔法教育は出来ない。普通なら。


「アルゴランの旦那ー・・・いい話有るんですよー。実は魔法のスクロールを使うと・・・その魔法が使えるという現象が起こるんですよー」

「ああ・・・それはこの前トロール族の息子にやっていた奴か?魔王のスクロールを使うだけなのか?ほかになにか条件があるんじゃないのか?」

「いえ。条件はクリエイトウォーターと着火のスクロールを使うだけです。まあ女の子で試したことはないんですけど誰でも同じ現象がおきると思っています。トロール族の男が魔法の習得能力が格段に高いということはないでしょうから。この二つのスクロールはダブついていて値段も安いと聞いています。もしうまく行けばこの都市に白魔法使いが爆発的に増えることになります。スクロールは私への報酬分を使ってもかまいません」

「そうだな・・・一度試してみるか・・・明日の朝までにスクロールは手配する。明日試すので指導してくれ」


くくく・・・魔法使いの多量生産。心が躍りますな。

さて・・・街ブラで食材を探すか。

果物は種のある物で新しいものはない。

米は・・・ない。

味噌、醤油もない模様だ・・・。

あれって材料は大豆だよな。あってもおかしくはない気がするが。


ムム!気になる物を発見した。

オイルランタンの形をした魔道具だ。

この間渡された魔道具は板状だったんだがこれはランタン状だ。

どうやら・・・上に魔石を入れて・・・ON/OFFする仕組みが付いているな。

それと発光部には窓が付いているので光の方向を制限することが出来る。

完全に閉じることも出来るようだ。

これはよく考えられている。この間の板のやつはなんだったのだろう。


「えっと・・・買うのかい?」


・・・普通買うのかい?って言うか店員が。


「ええ。買う気ですよ」

「そうかい。なら説明するけど。あんたエルフだよな」


言われたらそうだった。


「エルフですど・・・あればあったで便利なんですよ。敵を光源で混乱させたりもできますからね」


その後説明を聞いて専用魔石ごと購入した。


さすがに今の時間からダンジョンはないな。街ブラで時間を潰そう。

その後はアンジェさんとレオノーラさんと合流して宿で食事をする。

そこで昼間の大号泣の件が出たが・・・傷に塩を塗らないでください。やさぐれたまま寝る。


さて・・・起きたら昨日のことはリセットだ。

今日は魔法使いの多量生産の日だ。

イケメンエルフと合流して・・・後は魔法を覚えるまでスクロールを使用させる。

クリエイトウォーターと着火なので庭にみんなを集める。

まずは白魔法から。次から次に使用出来るようになる。

次に黒魔法だ。これも次から次にだ。


・・・おおお。

意識が飛んでいたな。

何が起きた?

順調に魔法が使えるようになっていた。

確かにバタバタと女の子たちは倒れていたが・・・介護は職員のお姉さんに頼んだ。

お姉さんは何か言いたそうな顔をしていたが・・・何も言わなかった。

やっているのが一応領主だからな。

でも・・・薬師の婆さんには言ったと。

気が付いたら能面のような顔をした婆さんが後ろにいた。

気配がないので分からなかった。

私は逃げようとして・・・電撃を喰らった。

イケメンエルフは逃げなかったのか・・・正座で説教されている。

さて・・・体は動く。逃げるか・・・


「気づいたようじゃな・・・この男にも言ったんじゃが・・・お前らの頭は筋肉が詰まっておるのか?それとも空気でも入っておるのか?」

「空気ですね。そこに肉を詰める。肉詰めピーマン!なんちゃって」

「お・・・の・・・れ・・・」


しまった。なぜか口からでた。これはいかん。


起き上がった瞬間からの縮地。


魔法発動<ライトニングボルト>


背中を電撃が掠った!危ない。このまま北門まで全力。

いきなり婆さんの気配が前方に!縮地で避ける。

婆さんは全身に電撃を纏っている。

もう一度縮地!


魔法発動<サンダーブレイク>


サンダーブレイクってなに?と思った瞬間すさまじい衝撃を感じ意識を失った。


目が覚めたら・・・ここはどこだ?

ここは領主の館で・・・最初に授業を行った部屋だ。

担架のようなものの上に乗せられている。


「目が覚めたか?」


振り返ると婆さんと領主がいた・・・まずいですな。


「話はこいつからも聞いたが・・・孤児を魔法使いにしてどうするつもりだったんじゃ?」


おや・・・いきなり基本的な話だな。いうまでもないと思っていたのだが。


「孤児には明るい未来はありません。このままでは・・・ダンジョンの1層で準会員としてあるかどうかも分からない仕事を待つしかないでしょう。もし魔法を使えれば・・・攻撃魔法を使えればダンジョン攻略で頼りにされる存在になり優遇されるでしょう。白魔法なら・・・ダンジョンは言うまでもなくいろんな場所で優遇されるでしょう」

「ああ。そうだが。気絶者が続出だぞ。それについてはどう思ってるんだ?」

「ええっと・・・期間とコスト的に」


そう言った瞬間杖が頬にめり込む。痛いです。というか貫通してないですかね。


「・・・まあいい。何故か全員白も黒も使えるようになってる。ここからは私があやつらの魔法使いとしての教育は行う。お前らは・・・そうじゃな。アンジェが男の子相手に戦闘訓練を行っておるはずじゃ。そちらに行け」


おお・・・焦がされずに済みそうだ。


「だが・・・スクロールでの魔法使い化はするなよ」

「婆さん・・・確かに気絶するが魔法は使えるようになった。有効だぞ」

「今回のは・・・よく分からん。過去の例から言うと・・・基礎教育を数年以上受けて・・・数千のスクロールを数か月で使っても・・・確率は低いはずだ」

「情報を持っていたのか?」

「貴族がたまにそういうことをしてるんじゃないかと推測しただけだ。ああ・・・この話はお前としたな。実戦したということか・・・なにか条件があるかのもしれんな」


今のところ100%だが。

そうか・・・もし100%なら貴族は品不足で値が上がるぐらいスクロールを買うことはないだろう。

ということはたまたまか。


二人でとぼとぼと移動する。みじめだなーと。背中がすけているに違いない。


男の子向けの戦闘訓練は領主の館から見て孤児院の裏側で行っているようだ。

そこでは訓練生である男の子たちを相手に兵士たちとアンジェさんが立ち会いというからんどりを行っていた。

二人でボーと見学する。


こうしてみるとアンジェさんの技量が抜きんでいるのが分かる。

訓練生の中でもうまい子をアンジェさんが受け持っている。

が・・・訓練生本人にはそれが分かっていないので不満げである。

外見で判断しているのだろう。

かわいいエルフのお姉さんに稽古付けられてもうれしくないと。

これが子供たちが言うことを聞かないの原因か。


「これでは・・・私が手を出す隙間はないですね・・・いい効果はないでしょう。外見で舐められるのはしかたないとしてあまりにひどいですね」

「そうか・・・まあ・・・そうだな」


イケメンエルフも同じ意見のようだな。


「そこの!あんた強そうだな。俺と勝負してくれよ!この姉ちゃんじゃ話にならないぜ」


アンジェさんが指導をしていた男の子がイケメンエルフを見て叫んだ。

おおお・・・。

まあ・・・ある意味見ものではあるな。


「ああ・・・いいだろう。だが・・・師範代を倒せたらな」


師範代がいるんだ。

・・・イケメンエルフがわたしを見ている。こいつ人を舐めてないか。


「こんなんじゃ話にならないぜ!」


こんなん呼ばわりですな・・・くくく・・・


「世の中には順番と言うものがあるんだ坊主。クルーソーさん、相手してやってくれ。瞬殺はするなよ。訓練だからな」

「なめんなよ。こっちが瞬殺してやるよ」


坊主はやる気まんまんですな。

まあいいか。

この子はある程度基本は出来ている。

試したいことがあるのでこちらの条件を下げて実験してみるか。


「いいでしょう。私に有効打を与えたらあちらの勝ちということいいですか?」

「ああいいぜ」


君に聞いたわけではないんだが・・・相手が持っているのは短剣の木刀と丸い小さな盾だ。

昔ゴーレム用に作った木の棍棒を1本取り出す。


「で・・・ハンデを付けましょう。私は右手しか使いません。有効打になるような攻撃はしないので安心してください」

「舐めやがって」


坊主はいきなり切りかかってきた。

足も使わないと宣言するつもりだったが・・・というか君に言ったわけじゃないんだ。


まあいい。

集中してタイミングを計り相手の攻撃を棍棒で横から押して大きく逸らす。

今までは魔法と気功術で強化しまくって戦っていたが・・・これで私の素の実力が分かるはずだ。

集中して木刀の腹を横から押す。

押す。

押す。

おお!今剣を弾いた瞬間盾で殴ってきた。

盾も剣と同じ方向に弾いたので男の子はそのまま回転して転んだ。

ヤバかった。

大恥をかくところだった。

その後も攻撃を横から押して弾くだけの単純作業です。

基本は出来ていたが・・・疲れて来たのか攻撃が単調で動きのレベルが低くなってきた。

・・・もう潮時かな。

フェイントとかを入れてくれれば訓練になったのだが・・・子供相手に高望みしすぎたな。

といって他の人と立ち会うと負けるからなわたし。

先ほどよりも少しばかり強く弾くと・・・足腰が立たなくなっているのかコロコロところがり始めた。


「ちょろちょしやがって!ちゃんと勝負しろよ」


おう・・・。これは評価を下げざるを得ない。

がどうやって終わらせようか・・・


「もういい。下がれ」


訓練を付けていた兵士の責任者らしき人物が立ち会いを止めた。

まあ・・・これ以上は意味がない。


「どうしてだ。俺はまだやれる。あいつがちょちょ逃げなければ」

「無駄だと言っているんだ!相手は一歩も動いていないんだぞ。予告通り右手しか使っていない。それも分からないのか?」


男の子がわたしの足元を見て・・・うなだれて涙を流しだした。

兵士にうながされ訓練生の中に帰って行った。

皆の私を見る目が厳しいなー。

昨日といい今日といい・・・呪われてるな。


「アルゴラン様。クルーソー様。あれはやり過ぎです。あれでは自信を失うだけです」


えー・・・責任者らしき人物からのクレームです。


「自信を無くすか・・・増長して魔物に殺されるよりはいいだろう?あの手の人物は自身だけでなくチーム全員を殺すことになるからな」


なにげにひどいなイケメンエルフ。・・・実行犯はわたしかちくしょう。


「まあたしかに・・・あれでは教育にはならんな。もっと分かるように上の強さを分からせないとな」


えーと・・・私が悪いというのか。


「ならこうするか。私がやっても同じようなものだろうから・・・クルーソーさんと私が打ち合うのを見学させよう」


何言ってるんだこいつ・・・

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