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みなさんの後悔

・とある裏のある冒険者


今までで一番金額がデカい仕事だ。

北に出来た砦を強行偵察する。そこの主であるエルフを無力化出来ればボーナスか・・・

無力化とは殺れということだ。

初めての指令になるがそれはそうなる。

冒険者ギルドカードはその現場に持って行かなければ情報は更新されない。

それを利用して迷宮都市でのスパイ活動を行ってきたが人を殺めれば冒険者ギルドガードは捨てるしかない。

もし人を殺めてからギルドカードを持ってしまうとさすがに更新され殺人の履歴が付くだろう。

それに判定石はごまかせない。

最後にデカい仕事をして足を洗うにはいいタイミングかもしれない。


故郷・・・あの誰からも見捨てられた開拓村に一度帰り・・・幼馴染と結婚する。


そしてほとぼりを覚ましてからここから東の商業都市オキーフに行き商人になればいい。

あの都市は砦に入らなければ判定石に触れなくていい。

商人たちが通行料を払わないために砦の外に街を作っているのでそうなる。

商業ギルドはよほど商売の規模を大きくしないと正式会員になれないうえカードも貰えないのでこういう場合は都合がいい。

裏の仕事に差し支えが無いように冒険者の仕事は実力がばれないように行ってきた。

いまに思えば裏の仕事に手を染めず冒険者を全力でやっていれば今頃上級冒険者になっていただろうか。

いや・・・それはうぬぼれすぎか。

冒険者を全力でやらなかったのでダンジョンで死なずにすんだのかもしれない。

最近は実力を誤魔化すのも難しくなっていた。

たしかに潮時だろう。

冒険者ギルドでの同ランクの戦士が斥候の私より弱いのだからしかたない。

荷物をまとめ一度迷宮都市を正式にでる。

もし強行偵察だけで終わった場合とターゲットに出会わなかった場合はまた戻ってくることになるが・・・

人の目がなくなったところでいったん北の魔の森に入る。

ここで身分の分かる物とギルドカードを隠す。


後は夜まで身を休める。

突入は真夜中になる。


たしか注意事項は砦の防御はゴーレムが行っているということだったか・・・

ゴーレムでの防御か。疲れを知らず居眠りもしないし買収もされないだろうが・・・それだけだ。

そういう意味ではわたしに話が来たのはよく分かる。

わたしの速度ならゴーレムを置き去りにして任務を遂行できるだろう。


そろそろ行くか。

まず水堀に到達した。

そういえばこの堀は迷宮都市の回りにもあるがいつできたのだろうか?

迷宮都市から出ることはあまりないのだがこの工事には気がつかなかった。


見張りもいないし気配も感じない。

フック付きのロープを石壁に投げて掛けようとするが思ったより壁の奥域が長いのかうまいこと掛からない。

掛かった。

助走をつけて宙に飛んだ後ロープを手繰り寄せ石壁を這い上る。

這いあがりきる前にもう一度気配を探るが感知はない。

石壁と思っていたが石は外側だけで上は土だな。

これではフックは引っかからないはずだな。

壁の上に一気に登り這うように前進する。

ここが一番発見されやすい。

素早く壁の内側を観察する。

何もいない。

そっと飛び降りる。


飛び降りた瞬間危険感知に反応が!壁からだと。


前方に飛び転がって攻撃をかわす。

振り返るとそこはトンネル状になっていて馬とゴーレムがいた。

そこから3体の黒い鎧を着た敵が飛びだしてきて攻撃してきている。

ばかな!

気配はなかった。・・・今もないということは・・・これもゴーレムなのか?

3体のゴーレムからの攻撃をかわし観察する。

対処できない攻撃ではない。

反撃しなければだが。

3体のゴーレム以外はトンネルからは出てこない。

というかトンネルは左右すべての壁にトンネルが存在しゴーレムが内側に待機している。

左右のゴーレムが一斉に出てくれば一巻の終わりだが。

ゴーレムに設定している命令の条件があるのだろう。

トンネルの正面が各ゴーレムの守備範囲だということか。


危険感知!上!


飛びのくと上から馬が飛んできた。

バカな!気配も音もしなかった。

馬の上には長剣を両手に持った黒い鎧。

この馬も鎧もゴーレムということか?

最初に攻撃してきた3体のゴーレムは壁に戻って行く。

どうしたことだ?

馬と馬に乗った鎧は4騎いる。

私に攻撃して来ているのは1騎だけだが・・・攻撃を躱し切れない。

小さな傷が増えていく。


くそ・・・何がゴーレムを置き去りだ。

明らかに手加減されているがどうもできない。

ここは逃げるしかない。


土壁に飛び乗り外にむかってジャンプをしようとした瞬間今まで動かなかった1騎が跳んできた。

避けきれず跳ね飛ばされ堀にそのまま落下した。


水が張ってあったので大したことなく助かった。

空堀だったら大けがを負っていたかもしれない。

フック付きのロープを使い堀から這い上がった。


追撃も攻撃もなかった。

助かったが何故だ?


振り向くと土壁の上に馬と馬に乗った鎧が4騎居てこちらを見ていた。


なめられているのか・・・それとも命令で持ち場を離れないのか・・・


任務は完全に失敗だ。

早足に魔の森に移動する。


さて・・・どうするか?

結構な傷を負っている。

このまま迷宮都市に戻るのはまずいか。

商業都市オキーフまで行き傷を癒してから戻ってくるか。

荷物を隠した地点に戻り荷物を回収する。

ポーションはゴーレムの攻撃ですべて割れてしまっている。

魔法のスクロールを買っておくべきだったな。


少し休んでから移動するか・・・

目の前に女が立っていた。

血の気が引いた。


かなりの美人で・・・格好は・・・なんだ?メイド服なのか?

もしかするとターゲットなのか?

いや。

ターゲットはエルフだ。


「クルーソー様の領地に侵入してタダで済むと思っているのですか?お馬鹿さんです。まあこのタイミングを選んだのは褒めてあげましょう。ダンジョンの破壊・・・いや。たまたまですね」


なにを言っているんだこいつは?


気が付くと女は3m近い両手用メイスを左右の手に1本ずつ装備していた。

瞬間装備変更の技能持ちか!


いきなり眼の前に移動した。まずい!


メイスを小型武器のように振ってくる。

速度は常軌を逸しているし掠っただけで即死しそうだが・・・熟練していると言い難い。

だが反撃できることもなく躱すので精いっぱいだ。


「武器と言うのはじつにまどろこしいことですね・・・まあ仕方ありません。命令ですからね」


そういうと両手用メイスが消えた。

そのかわり黒い何かが手に握られている。

なんだ?魔道具?


バンバンバン。


凄まじいい爆音がした瞬間脇腹に激痛が走った。

なんだ?攻撃されたのか?


「おや・・・当たったのに生きてるんですね。うるさいのに威力は低い。こまったものですね」


そういうとその魔導具をこちらに向けながらこちらに近づいてきた。

まずいこのままでは。

脇腹を抑えるとある物に触れた。

これは昔買った魔道具。

値段が張ったのに使い捨てだったので使わずにいた。

この魔道具を女に投げつけた。


バシ!


すさまじい音とともに女に電撃が走ったのが見えた。

その瞬間走り出した。これしかない。


どれだけ走っただろうか。

どうやら捲けたようだが・・・傷が深い。

これは夜明けまで休んで迷宮都市に戻るしかないな。


危険感知!上!


上を見た瞬間・・・

6本腕で尻尾があり羽の生えた魔物が空から落ちてきて・・・

踏まれた。


ぐがぁ・・・!


これはまずい。


まともに食らった。

何本か骨が折れたな。

なんだ!こんな魔物は見たことがない。

先ほどの攻撃のダメージもあって体が動かない。


「お馬鹿さんですね。逃げられるとでも」


!さっきの女の声がする!まさか・・・こんな魔物を使役しているのかあの女は!


がは!


魔物が私を踏みつけた。

もはやどこの骨が折れているか分からない。

だめだ・・・意識が保てない。

血を失いすぎた。


「・・・エ・・・リカ・・・」


ごめんエリカ・・・


「エ・・・リ・・・カ・・・」


女の声がした。

その後静寂が訪れた。


気が付くと魔物も消えた。

寒い。

どこも動かない。

このまま死ぬのか・・・


があ!


首に何かが刺さった。

これは?


回りに気配があることに気付いた。


「こいつか?」


男の声がした。


「親方。麻痺薬を打ち込んでおきました」

「親方はやめろと言ってるだろう。縛り上げて・・・その前にポーションで治療しろ。死にかかっているぞ」

「親分・・・ポーションは無駄使いでは?」

「親分もやめろ。クルーソーの領地に侵入して逃げることに成功した初の事例だ。上が尋問したがっている」

「へい。おやびん。お前らポーションを掛けて縛り上げろ」


くそ・・・敵の手に落ちるとは。

ヘマをしたもんだ。

金に目がくらんで事前の情報収集を怠った。

いや・・・引退にいい時期だと思って焦ったのか。

今となっては後の祭りだな。


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