4-4.皆さんの悩み
・とあるウルフライダーの場合
ダンジョンで金儲けができる迷宮都市なるものがあるという噂を聞いた。
そこに行くという商人に出会い護衛をしながらやってきた。
本当にダンジョンで稼げるようだが問題が発生した。
今のままだとダンジョン内で魔物の狼として狩られる可能性があるのでお勧めできないとダンジョンに行く途中の門番の兵士に言われた。
そんな馬鹿な・・・
気落ちしている私に兵士さんが仕事を紹介してくれた。ちょうどよかったと言われたが・・・
城壁の上を走って見回りをする。それだけのお仕事です。
どこの宿も狼を止めてくれなかったが兵舎の一画に泊まっていいということだった。
この都市に来た時には気がつかなかったが城壁の周りに土壁と堀があった。
・・・ん。興奮していて気がつかなったのか。
北門から出ると屋敷が二つあった。右が孤児院で左が領主の館だそうだ。
孤児院は分かるが領主の館が城壁の外。分からんな。
移動する時は壁の上を偵察で走る時以外は兵士さんたちがついてくる。
最初は信頼されていないのかと思ったが後で本当の理由を知った。
冒険者にやられないように護衛してくれていたのだ。おっかねえな迷宮都市。
孤児院の横を通り土壁に向かう。そこには上るための台が置いてあった。
うちらの能力ならこの位の土壁には台が無くても登れるがここは台を使って相手の機嫌を損ねないのが・・・
飛び乗ってしまった。しまった・・・そっと振り返るが何とも思っていないようだ。
「北に20km進んで西に4kmその後南に20kmで帰ってきてくれ。戦闘はせず報告を優先で。北の端は土壁で囲まれているが中には入らないでくれ」
指示に従い北上する。何事無く北の端に来た。確かに内側に土壁と堀があるが・・・なんだろう?
そのまま城壁の上を走って領主の館の裏側に南下して戻った。
そこには兵士さんが待っていて見たことに報告を行う。
なぜか北にある土壁と堀についても聞かれた。偵察の報告力の試験なのか?見たままを報告する。
午前中に一回午後に一回見回ることに決まった。これは楽だな。楽勝だ。
次の日の見回りも何事もなく・・・北から4km地点に西に走る土壁があった。
昨日はなかったはずだ。
調べてみるか・・・下りようとすると相棒が止まった。どうした?
壁の内側にゴーレムが並んでいた。こちらを見ているような動きをしてる。
中には下りるなと言っていたがこのことか・・・いや昨日はいなかったこのゴーレム。
内側の土壁に目を向けるとそこかからゴーレムが顔だけ出していた。
まるでこちらを窺っているかのようだ。
どうしたものか・・・そのままいったん南下する。
兵士に見たままを報告するとそのまま休憩してくれと言われた。
午後の見回りの時間になるとそのまま見回りをしろということだ。
決して中には下りないように念を押された。
気が重い。北上中は何も起きないが北の4km4方エリアは内側からゴーレムに監視されながら偵察を行う。
ん・・・北西の角に池が出来ていた。・・・偵察を終えて報告するが何も説明はない。
次の日の偵察を行うが・・・もう何も驚かないぞ。
正門から東に500m石壁が追加されても。堀に馬型ゴーレムがいても。農地が出現しても。
うちらと同じ速度で爆走するエルフ娘は・・・幻覚を見たのかと思ったが北エリアの主だそうだ。
偵察に行こうと北門を抜け孤児院の横を抜けようとしたら・・・まだ城壁内だっだ・・・あれ?
何事もなかったように兵士さんはまっすぐ北門に進んでく。北門から出るとそこは農地エリアだった。
とうとうおかしくなったのか・・・いや違う!
「この門も城壁も昨日はなかった」
思わず叫んだ。
「確かにそうだ。昨日まではなかった。が・・・今からこれはかなり前からあったことになる。いいな?」
兵士さんに諭すように言われた・・・迷宮都市には魔物が住むというのは本当やったんや。
・とある領主の館のメイドの場合
この館には使われたことのない部屋がいくつかあります。
客間もその一つです。使われませんが掃除や準備は普通に行われます。
昨晩その客間に初めてお客様がお泊りになったとのこと。
私が担当になりました。どんな方なんでしょうか・・・
朝起きて来られました。信じられないくらい美人のエルフの女性でした。
マリア様と比べても引けを取らないでしょう。革鎧の上からでも分かるほどスタイルも抜群です。
女性から見てもほれぼれします。この客室が普段は使われていないことをお伝えすると
「何のための客室だよ!」
言葉使いは悪いようです。冒険者というのは皆さんこうなのでしょうか。
食堂にお連れしましたが・・・なんと・・・パンに食材をはさみ立ちながら食事をされています。
それもうろうろしながらしゃべりながらです。は!メイド長が青筋を立てています。まずいです。
メイド長はそのまま部屋を出て行かれました。ふらふらしていたような・・・
お客様もいつのまにか出て行かれました。
その後メイド長が廊下で倒れているのが発見されました。
原因は疲労ということになりましたが・・・
あのマナーの極悪さに倒れたとは言えませんでした。
・とある薬師ギルドの新人の場合
みなさんぶーぶー言いながら炊き出しをおこなっています。
薬師になるための雑用なら全く問題はありません。ですがこれは全く薬師には関係ありません。
確かに私たちは新人ですがこの雑用はあんまりです。
とみんな思っていましたが文句を言うことは有りません。
ギルド長に文句を言えるものなどギルドには存在しません。
そのギルド長が来られました。皆無言で作業を続けます。
ギルド長は誰かと話をしています。製薬と調理は同じだと言っています。なにを言っているんでしょう?
そのエルフの女性は私たちに説明をしながら料理をしていきます。
まず歯ごたえや食感を考えて食材を切る。これは薬効を考えて薬草を下処理するのと同じとのことです。
早く効いたほうがいいなら丁寧にすりおろすが長期的に効いたほうがいいならその物によって処理を変えるの同じとのことですが聞いたことありません。
そのあとも火の入りにくい食材は先に入れる。
調味料の入れる順番。湯通ししたほうがいいもの。焼き目をつけたほうがいいもの。
それらをポーション作成の過程のいろんなものに例えながらあっという間に料理を終えました。
私には話の半分以上理解できなったのですが先輩たちには理解できていたようです。
作った料理を試食させてもらいましたが・・・同じ材料とは思えないくらいおいしいです。
その後その料理は私たちの料理と混ぜられてしまいました。
「もったいない」
誰かが言った言葉にギルド長が返しました。
「同じ材料で作ったポーションに性能の差があっからといってそのまま納入出来ないだろ?同じ品質でそろえないと商品にはならん。同じことだ」
私たちが作った等外ポーションに先輩たちの作った中ポーションを混ぜて下ポーションにして販売するのと一緒です。
さきほどとはみんなやる気が違います。これも薬師としての訓練です。がんばります。
・とある狐人の場合
なんか運が上向いてきた気がする。
その前までは最悪だったら上がるしかないのだが。
最初は妙な動きをしているやつがいると思った。声をかけたらエルフの娘だったのにはびっくりしたが。
今思えばなんで声をかけたのか分からない。まさか石化を治せるとは思っていなかった。
なんだかんだで家もゲットしたし何故か大金も手に入れた。
初心者エリアまで出戻っていたことを考えれば夢のようだ。
私は男が苦手だ。特に色目を使ってくるやつが。適当にあしらえればいいのだがそれも出来ない。
そのおかげで色恋沙汰でパーティーを破壊する危険人物とみなされソロだった。
紹介されたアンジェさんも噂とは違いいい人だ。このまあパーティーを組むものいいかもしれない。
だが何かを忘れている気がするな。
私は忍者を目指していたのではなかったのか?今のままでいいのか?
・とあるドワーフの場合
あやつは異常だ。
マリアは分かっておらんようだがアルゴランはどう思っておるのか分からん。
土壁魔法が使えること自体は不思議ではない。だがあの処理速度は・・・
それにあの石壁はあり得ん。どんだけの魔力量があれば可能なのか想像もつかん。
それにゴーレム魔法も常軌を逸しておる。
最初石壁を依頼した時は何を言ってるのかと思った・・・まさか分かっていたというのか?
儂は奴がおそろしい。アルゴランと腹を割って話してみるか・・・
儂の懸念を伝えたがやつは
「どうしたんだジーク?具体的に言ってくれ?君らしくないぞ」
それは分かっておる。これは勘・・・いや恐怖だ。理的な考察ではない。
「大丈夫だよ。彼女からこの都市や私たちに対する敵意は感じない。それに・・・もしそうでも彼女の物理的戦闘能力は見切っている。いつでも首は切り落とせる」
・・・儂の懸念は不要ということか。やつは儂以上の懸念を持っていて結論と決意を持っている訳だ。
・とあるイケメンエルフの場合
迂闊だった。このダンジョンでデーモンに会うとは・・・
装備がまずいのと最近寝てないのも相まって押し切らない。
誰かが走ってきたな。利用させてもらおう。敵の魔法を喰らった振りをして吹き飛ばされた。
ここで魔力と気を消して<疑似死>だ。後は隙を見てデーモンをぶった切れば・・・
あれ・・・倒したぞ?魔法と剣技の同時攻撃か。
カウンターされていたのでこいつを知っているわけではないな。
しかし<ディメンションソード>だと・・・たしか上級だよな。アンジェの話と違うな。
いまこのデーモンこの忌々しいエルフと言ったな・・・まさか・・・昔殺したのと同一個体なのか?
あれ・・・まともに食らったぞ。攻撃能力に対して回避能力が低すぎる。どういうことだ。
助けるか・・・ん・・・ポーションを自分に掛けているな。急所に食らったと思ったがな。
こちらを観察してるな。狸寝入りを続けるか。ポーションをかけた後鼻をつまんで口に押し込んできた。
苦しいが我慢だ・・・信じられん。気付薬を口に流し込みやがった。わざとじゃねえだろうなこいつ。
・とあるトロール族の息子の場合
初めて迷宮都市で開催される交流会とやらに連れてきてもらった。
いろいろ注意を受けていたが入り口ですべて忘れた。
親父のこの前はこの石壁はなかったというの聞いて思わず獲物を投げた。
普通の防御壁ならこれで吹き飛ぶんだが・・・すげーな。
へこんだだけだぜ!と思った瞬間親父のパンチを喰らって意識が飛んだ。
今度何かやったら頭かち割るぞとマジトーンで言われたぜ。死ぬところだった。
何故かエルフ娘と立ち会うことになった。
いいところを見せようと頑張るが全く攻撃が通じない。その割には相手の攻撃はまったく生ぬるい。
全力でこいや!と叫んだはいいが魔法を喰らって戦闘不能だ。
卑怯だと叫んで死ぬか・・・まったくその通りだな。
トロール族では珍しい魔法使いのおじきに回復魔法をかけもらう。
おじきは昔は親父とタメをはる武闘派だったらしいが魔法に取りつかれ魔法使いになり今は親父の右腕だ。
今でも若い連中は素手でのせるがいかんせん魔法使いは人気がない。
魔法使いは女性には多いらしいがトロールの女性は基本里から出ないからな。
親父の腹パンを喰らったな。これで終わりだ・・・え・・・
倒れないうえに・・・反撃をしてきた・・・マジか。
その後の会議の本番とやらで新ダンジョンの存在が明らかになりあのエルフ娘が調査に旅立った。
丈夫だなエルフ。親父の腹パンを喰らって動けるのか。
次の日の昼にお茶会と称し会議が開かれた。今回はトロール族と竜人族と迷宮都市側だけだ。
裏会議と言うらしい。まどろこしいことだ。
竜人族の族長がおかしなことを言っている。
エルフ娘を単独で送ったのは任務で殺す気なのかと。
アルゴラン殿はこう答えた。
「私がそんな面倒なことをすると思うか?」
そうだよな。誰かを殺るなら直接手を下さねばならん。
竜人族は陰謀まみれなんでそんなことしか考えられないのだろう。
・とあるギルド職員の場合
最悪だ。
交流会から追い出された。
本部は何を考えているのか?
王都では冒険者ギルドから利権を取り返すと息巻いている貴族どもが多いということだがそれに押されたのか。
竜人族もトロール族もこの迷宮都市も冒険者ギルド無しでもやっていける。
王都は逆に冒険者ギルド無しではダンジョン経営は出来ない。
口だけの貴族に魔物の間引きは出来ないからな。
納得できる回答がなされなけばこのまま交流会の席がなくなる。
と言って貴族の策略にやられましたという訳にもいかんだろう。
本当に最悪だ。
・とある竜人族の娘の場合
交流会の参加は今回で2回目だが面白いものがいろいろ見られる。
外壁の石壁は見事だ。あれは魔法で結合した石で作られておるな。あれほどの使い手は竜人族でも少ない。
まあ竜人族の冒険者かもしれんがのう。
初日の会議も傑作よのう。覇気で気絶するとは自分が犯人だと言ってるようなものじゃ。
冒険者ギルドはどうするつもりか・・・このままだと渡りに船でアルゴラン殿に排除されるだけなんだが自覚はあるのか?
さて・・・次の日の会議では冒険者ギルドの話になると思ったがあのエルフ娘・・・クルーソー殿の話になっとるな。
お父様はあれが気になるのか・・・まあいい・・・地脈でも見ておくか。
ん・・・なんだこれは・・・北になにかおるな。これは・・・1体正体不明なのと異常に多数な反応。
勘づかれたのか?正体不明が消えたな。
あとは多数のほうは・・・ゴーレム?いやしかしこの魔力はゴーレムにして異様だな。
!なんだ!今の反応は?地脈?・・・これは報告せねばならん。
「北にあるダンジョン・・・新ダンジョンと思われるダンジョンで魔力の急激な反応の後・・・存在の喪失を感知した。新ダンジョンは破壊されたと思われる」
こんなに早く?クルーソー殿の仕業なのか?
・本当はえらいはずの最高管理者の場合
さて・・・なんだったっけ。
我が巫女でも確認するか。
おおお・・・がんばってるな。やれば出来る子だったんだ。一皮むけたな。
これは彼に感謝しないと・・・誰だったっけ?
報告はないから何事もなく過ごしているとは思うが。
見つけた。何やってるのこれ?
ゴーレム作って土壁に石壁・・・この期間で?
どう考えてもおかしいだろう?なぜ報告がないんだ?
ああ・・・人族の能力なぞ彼女らからすれば誤差以下か。
しかしどうやってこれだけの魔力を・・・ん?
聖気が感じられるような?地脈を利用しているのか?
そんな技能はないはずだが・・・キャラクターの技能とやらにあるのか?
明鏡止水とやらか。瞑想で自然のエネルギーを取り込んでいるのか。だとしても聖気はあり得ないが。
一度ダンジョンマスターになっているのか。
であれば使えても不思議でないな。あれはそういう存在だしな。
だとしてもその速度は異常だな。どうやってるんだ?
キャラクターを取り込まずに外部回路として利用しているのか。
タスク(キャラクター)にキュー(命令)をスタック(積む)して同時連続で魔法を使う。
天才的な発想だが・・・無意識か。だがこれでは・・・亜神化は無理だな。それは仕方ないか。
それにしても何故にこんな目立つ派手なことをやってるんだ?
築城ターン終了?まさかゲームだと思ってるとかはないよな。
魔法のスクロール入手のため?スクロールで魔法の習得?どうしてそうなった?
これはダンジョン管理天使の問題か。
彼女らはダンジョンにとって危険な人物の監視を行っている。
その人物はS級以上のみになる。スクロールを使えば覚える位魔法に精通しているわけだ。
それを基準で教えたと。
さてどうするべきか・・・おおお・・誰か落ちて来た。異世界召喚は感知無し。
と言うことは自然現象か。
説明をして技能を植えないといけない。いそぐか。




