表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/521

4-2.真交流会

どうするか・・・逃げようにも3人に囲まれている。

というか逃げると思われているのか・・・

そういえば逃げたことがあったな。

前科持ちだった。

ようするに勝てばいいんでしょ。勝てば。


裏庭に着いた。

こちらにはアルゴランとマリアさんとジークさん、むこうにはトロール三人。

後は口出しをする気はないと言っていたはずの壮年の竜人。

それだけしかいない。

族長の息子トロールは武器を持ちやる気満々で立っている。

笑顔というか薄ら笑いというか・・・

これはなめられているということだろうか。

まあ見た目がこれだからな。

トロールの持っている武器は片側が斧で反対側がハンマーだ。

結構実用的かもしれないなこれ。


「あくまで立ち会いだ。殺すなよ。手足もげるとかもなしだ。怪我はマリアがどうにかする」


なにか恐ろしいことを言ってるなイケメンエルフ。

私を見ている。

私に言ってるのか?

魔鉄とミスリルの両手剣を手に取る。

縮地&吶喊でぶっ刺すのはダメということだな。


無詠唱 (プロテクションアップ)(アタックアップ)(ヒットアップ)(スピードアップ)

魔法発動<プロテクションアップ><アタックアップ><ヒットアップ><スピードアップ>


気功術も使っておく。


無詠唱 (気功術)

武技技能<気功術>


・・・相手からも気の高まりを感じる。

まあ気功を使うやつはいるだろうな。

おう!いきなり切りかかってきやがった。

思ったよりかなり素早い。

かなりびびった。

避けられたがぎりぎりだった。

その後も猛攻が続くがこれは軽く避ける。

元リビングアーマーのゴーレムの猛攻に比べれば大したことはない。

さて・・・受け流してからのカウンターで反撃するか。

攻撃を受けた瞬間凄まじい衝撃を感じた。

パワーが違いすぎる。

まともには打ち合えない。

間合いを取り直す。

今度は攻撃をもっと浅く受けて弾いてからカウンターを入れる。

こちらの攻撃は軽く避けられ逆にカウンター気味に攻撃をされた。

当たるかとも思ったが何故か避けることが出来た。

元リビングアーマーゴーレムとの乱捕は無駄でなかったようだ。

この場合は・・・


無詠唱 (倍速功)

武技技能<倍速功>


ぶっつけ本番だが使えるようだ。

気功術は主に筋力と生命力が上がりつぎに素早さが上がりその他のステータスも少し上がる。

倍速功は気功術を強化できるが燃費が悪い。

だがこれでいけるはず。

力はすこし相手が上で速度はかなりこちらが上だ。

受け流してからのカウンターを入れるが何故か捉えられない。

相手が遊んでいるのかとと思ったが・・・そのような事も無いようだ。

単純に私の経験不足だ。

剣術と格闘と柔術は実際に体験はあるが両手剣はゲームの中でしか使ったことはない。

ゲームではコマンドで攻撃も防御も行うが実際には自力で振り回さないといけない。

そうなると両手剣と刀は全く違うということになる。

刀にしておけばよかったか・・・まあ両手剣のいい訓練になると思えばいい。

互いに有効打がないまま打ち合いを続ける。

大きく間合いを取ると族長の息子トロールが言った。


「お前手抜いてるだろ!本気でこい」


まあそうですね。

でも本気だとこうなります。


「縮地」

武技技能<縮地>


相手の懐に飛び込んだ。

縮地には対抗できないようだな。

族長の息子トロールの顔面を右手で掴む。


「パラライズクラウド」

魔法発動<パラライズクラウド>


相手が切り払おうとするよりも早く詠唱できた。

切られる前にバックステップで距離を取る。

族長の息子トロールがゆっくり片膝をついた。

完全には麻痺していないようだ。

頑丈だな。


「くそ・・・卑怯だぞ」


くくく・・・それは褒め言葉ですよ。


「情けない話だ。我が息子は魔物に魔法を使われたら卑怯だと叫んで死ぬつもりのようだな」


族長のトロールがしみじみと言った。

確かに魔物相手なら死んでると。


「まあ・・恥の上塗りといこうか。儂が相手だ」


武器を捨て族長が出てきた。


「こちらは素手で行く。そちらは魔法無しでどうだ」


そういうと族長のトロールは気を練り始めた。

どう返事をしたらいいものか・・・


うお!


いきなり族長のトロールが踏み込んできて正拳を放った。

魔法と気功で強化しまくっていたからかろうじて避けらてた。

その後も怒涛の連続攻撃でかわすので精いっぱいだ。

両手剣では対応できない。

両手剣をアイテムボックスに格納し素手での対応に切り替える。

速度はこちらのほうが早いのでなんとか打ち合える。

ただし相手の攻撃が尋常でなく重い。

顔に食らったらKOでは済まないな。

避けるしかない。

こちらの攻撃も掠るぐらいでクリーンヒットはない。

まあ当たってもまったく効く気がしない。

族長のトロールが少し後ろに下がった。

いきなり纏う気が消えた。

時間切れか。

いや違う。

気の総量は上がっているが漏れ出す気が無くなっているのか。


これは見たことがあるな。

狐人が教えてくれたが習得できなかった「真気功術」と同じだ。

身体中に気を纏わした状態で気を練る量を増やす。

そのままだとあふれ出る気を体の表面から吸収する。

気を練って出しながら吸収する?

何言ってるんだお前は?

状態になり結局は取得できなかった。

真気功術は気功術の上位互換になるので覚えたかったのだが。


族長のトロールがすっくり動き出した。

これは来る。

両腕で顔をガードした。


うぼ


強烈な打撃が腹に叩き込まれた。

そのまま後ろに数十m吹き飛ばされた。

何とか踏みとどまったがすぐ後ろは迷宮都市の壁だった。

激痛だが・・・ダンジョンコアさんに比べればまだまだ。

だがさすがに体が動かない。

ただいいものを見せてもらった。

いまならいける気がする。

練っている気を爆発的に増やす。

そして体の表面から出ていこうとする気を表面にまとわしながら体に引きずり込み循環させる。


武技技能<真気功術>


無理やり体を動かし族長トロールの目の前まで一気に踏み込み腹に全力でパンチを繰り出す。

族長トロールはそのまま何もせず受けた。

族長が後ろに数m吹き飛んだが凄まじい衝撃が私の右手を襲った。

完璧に砕けましたな。

私の右手。

相手は全くダメージは無いようだ。


「すばらしい。気功が使える上に見た技をそのまま使えるとはな。確かにその力見せてもらった」


そういうと族長トロールは屋敷に引きあげて行った。

なんたる脳筋だ。素晴らしき脳筋。

マリアさんが近づいてきて魔法を唱える。


あがうででででで。


右手が右手が・・・超激痛だ。

だが痛みが引くと右手は元通りだ。

すごいな魔法。

というか腹が減った。

倍速功と真気功術を使ったからか。


「大丈夫かい。クルーソーさん」


何をおっしゃいますかイケメンエルフ。

あなたのおかげでぼろぼろですよ。


だが・・・まあプラスマイナスでプラスかな。


「まあ大丈夫です。それより朝ごはん食べてないんでお腹すきました。食べに行きたいんですが」


元定宿にでも行くか・・・まだ朝ご飯やってるかな。


「そうか。ちょうど軽食を準備してる。行こうか」


ここから去りたいと言う意味なんだが理解力がないのかこいつ。

それとも私の押しが弱いのか。


連れらて行った部屋に入ると・・・

竜人の壮年の男性と女の子。

トロール族の族長と息子ともう一人。

バンパイヤの新族長とウェアウルフの新族長。


くそ・・・逃げるべきだった。


「さて・・・いろいろあったが本当の交流会を始めるか」


イケメンエルフが開催を宣言したが・・・本当ってなに。

机の上に紅茶のようなものとクッキーのような菓子が載っている。

軽食が過ぎるよ。


「初参加のルドルフ族長とフレディー族長に説明しておくか。今回は到着が遅れているが交流会はキャラバンを交えての物資の交換や商談が行われる。これが表向きの交流になる。ローレン王国の連中の目的もそれだ」


王国の名前をはじめて聞きましたな。


「連中と冒険者ギルドを入れずに行う会議が本当の交流会になる。連中のダンジョンは安全なのでスタンピートは起きないだろうというのが理由だ。まあほかにも理由はあるがな」


安全なダンジョン・・・ダンジョン管理人を殺したということに関係するのか。


「スタンピートに備えるのがこの交流会の真の目的だ。我々はダンジョンを利用して生活している。スタンピートが起きて周りの街や都市に被害がでれば我々の責任になる。賠償を求められるかもしれんダンジョンの破壊を求められることになるかもしれん。スタンピートは起こさない。起きてもその都市で食い止めるということだ」


ここのダンジョンの入り口は内側向きに攻撃する装備がある城壁に囲まれているのはそういうことだな。


「でだ・・・先ほどの君らの態度はいただけない。あそこで全部報告されてもそれはそれで困ったがな」


まあ私に分かるんだからみんなには分かっただろう。

違うか・・・わたしは当事者だから分かると。

情報を積み上げて予測したわけではなかった。


「嘘をつかなかったのは評価できるが・・・お前らなにか重大なことを隠しているだろう?」


すべてばれてるのか?

かわいそうになこの二人。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ