4-1.圧迫交流会
馬ゴーレムに命じて南下する。
二人の馬もかなり優秀でかなりの速度が出るがこちらのほうが早い。
速度を落として走らせる。
2人の馬を馬車に乗せて全速のほうがよかったか・・・
それはさすがに大惨事の未来しか浮かばないな。
あせるな・・・どきどき。
それにしても乗り心地が極めて悪い。
後で鞍を作るか・・・とり合えず私の分だけでいい。
魔法や技能や気功を全部使った自分よりかは全力の馬ゴーレムのほうが少々早い。
能力と有効時間を下げていたゴーレムが全力で一昼夜で力尽きたので現在の設定だと全力でも1昼夜以上はもつはずだからな。
移動には馬ゴーレムを使うようにしよう。
今までは何も考えず走っていたが・・・不気味だな。
常軌を逸した速度を長時間維持して爆走するエルフ娘。
見られてはいないと思うが・・・
農地の入り口から領主の館前に入り馬を止めた。
何故か多量の兵士がいる。
いつもこんなだったっけ領主館前。
ここからは全員馬を変える。
私の場合は馬を変える必要はないが・・・
迷宮都市の入り口までは変えた馬でゆっくりと移動する。
正門前で馬を下りるがどこもかしこも兵士だらけだ。
ジークさんが待っていた。
正門を少し開け回廊部分に出る。
誰もついてはこない。
ジークさんは無言だ。
マジで怖い・・・どきどき。
ジークさんは回廊の南側の壁の真ん中より少し手前で止まり口を開いた。
「今日交流会の各代表が入城したんだが・・・その時トロール族の族長の息子が壁に斧を投げつけよった。それ行為自体は族長から詫びが入って収まったんじゃが・・・壁にへこみが出来たんで調べてみたらその壁の内側は石がこなごなになっとる。お前さん表面に薄く石壁を張ると言ってなかったか?」
・・・何故に壁に斧?・・・というかトロール族か・・・ゲームならモンスター側なんだがな。
知性があって組織として存在すれば交流相手になるのか。
・・・違うか。
魔石を持たないので魔物ではないということか。
石壁を調べてみると・・・表面は少しの傷しかないが・・・その裏側は確かに粉々になっている。
「確かに裏は粉々ですね。作り直しましょう。薄い石壁にしていたんですが土が足らなくなったので厚さ1mにしています。堀の底と外側の壁は10cmの薄壁になっています」
裏がこなごなになっている場所の回りの石をまず掘削魔法で掘削する。
積んでるように見せかける溝のところで掘削するように作業する。
問題の場所の回りの石をすべて削除してから一度こちら側に倒してみる。
表面の傷から円錐上にこなごなになっているな。
どうやったらこうなるんだろか。
「1mじゃと・・・この回廊部全部ということか。まあ今回はそれで助かったが・・・これはすべて結合しているような?」
「いえ。今回追加分の壁はすべて1m厚です。助かったというのは?」
「もし斧が貫通したりしとったら・・・大恥だよな。・・・厚1mで一体化しとるのか・・・どう作業すればいいのか・・・」
「今から元に戻します」
掘削した石と倒した石を材料に石壁を再作成する。
表面の積んでるように見せかける溝も引きなおした。
「そうでなくてな・・・城壁というのはただの壁でいい訳ではないんだ。今回は急遽作ったんでこうしたが実際は内部にいろんな設備を作らなならん。表面の薄い石壁は剥がして石壁を積みながら作る気でおったが・・・これだと出入り口一個作るのも大ごとになるじゃろ」
まあ確かに・・・今回はわたしが元に戻したがそうでなかったら・・・1mの石の壁をすべて削り取って石を積み直しになると。
そういう意味では1m立方が50cm立方の石を積んだほうがよかったか・・・いや。
それだと重過ぎで積むことが出来ない。
石壁呪文なので作れる。
積むのであればゴーレムを作って地道に積ませるしかない。
さてどうするか・・・城壁内の設備は全く考えてなかった。通
路や階段や詰所・・・いろいろあるな。
「10年は税金無しという契約になっています。なのでその間でしたら作業します。どういう構造にするか決まったら連絡してください」
「そうか・・・おぬしは・・・いやいい。計画したら連絡する」
なんとかなったな。戻るとするか・・・
「夕飯食べましたか?」
アンジェさんとレオノーラさんに捕まった。
確かに食べてないな。
家で食べるのかと思えば元私の定宿に行くことになった。
食事だけでもOKらしい。
家は寝るだけですべて外食らしい。
お酒も入り結構にぎやかな夕飯になった。
二人は仲良くやってるみたいだな。
家に泊まるように誘われたが・・・明日からはダンジョンに潜りたいので内壁内の家に泊まったほうが都合はいいが・・・
馬車の運用を始めないとダンジョンには行けないだろう。
こんがり焦げることになる。
今日は北の領地の家に戻ることにした。
そういえば貰った家でまだ泊ってないな。
鞍を作って寝ることにする。
朝起きて馬ゴーレムに鞍を乗せて馬車を3台引き連れて南下する。
途中で農地の壁の上を走る狼を見つけた。
上には猫耳の獣人が乗っていた。ウルフライダーというやつか。
すさまじい早さだ。
偵察を行っているということか。
さすが異世界・・・というか人材が豊富だな迷宮都市。
なぜかこっちをガンミしている。
手でも振っておくか・・・いや相手は仕事中だな。
ウルフライダーはそのまま北上していった。
農地の入り口まで来た。
ゴーレムに出す命令を考える。
御者のストーンゴーレムを乗せたのでこれを利用しよう。
御者のストーンゴーレムの肩を叩いたら移動開始。
移動中に肩を叩かれたら停止。
北の領地の真ん中の森まで北上。
北の領地の森に人がいる時は待機。
次の馬車が着たら南下を開始。
これでいいか・・・
違うか。
それでは帰る人を拾えない。
手を挙げたらいったん停止もプラス。
左側通行にしておいて移動方向は固定しよう。
馬車が無人になった状態で1分経ったら自動で移動開始。
馬車より北側に人がいない状態の場合はそこで次の馬車が来るまで待機。
次の馬車が来たらUターンして南下。
夕方以降は農地に人がいなくなったら入り口地点に待機。
朝は人が乗って肩を叩いて移動開始。
これで運用できるはず。
後は乗り降り中は発進禁止。人や物は撥ねない。攻撃には即時応戦。
薬師の婆さんを探したら孤児院にいた。
運用ルールを説明して実際に馬車を動かしてもらう。
人が乗って御者のストーンゴーレムの肩を叩く。
移動を開始したあと目的地で肩を叩くと停止。
その後そこで待機。
次の馬車が来たら南下を開始。
どうやらいい感じで運用できているようだ。
あとは要望に応じて修正すればいい。
さてこれで農地ターンも終わりだ。
ダンジョンに潜るとするか・・・アンジェさんとレオノーラさんはどこにいるのかな。
今日の予定を聞いてなかったな。
家に向かうかと思っていたら向こうから現れた。
「ジーク様がお呼びです」
城壁の設備の件か。
仕事が早いな。
アンジェさんとレオノーラさんに拉致され領主の館に向かう。
ジークさんは領主の館の玄関で兵士に指示を出しているようだ。
そのまま待っていると指示が終わったのかジークさんがこちらにやってきた。
「すまんが来てくれ」
そのまま館の中を移動する。
前のように食堂で会議かとも思ったが場所は違うようだ。
兵士が立っていたドアを開けて部屋に入るとそこにはアルゴランとマリアさんとその他大勢が円卓の回りに座っていた。
ジ ジーク!! 謀ったな・・!!ジークーーー!!!
ジークさんは何事もなかったように椅子に座った。
私もその後ろの椅子に座った。
ちくしょう・・・油断した。
やられた。
周りを見渡すと竜人の壮年の男性とまだ子供の女の子と戦士らしいの。
トロールの顔に傷のあるデカいのと・・・デカいのとデカいの。
人間のデブの貴族らしい男性とその部下らしいのと戦士ぽいの。
人間の戦士らしいの2人。
バンパイヤとウェアウルフが2人ずつ・・・こいつらはあれだ。
北のダンジョンで会った族長と族長だ。
黙っていれば分からないだろう。
あの時とは鎧が違うし顔は見られていないからな。
「さて・・・そろったところで交流会を開始したいが本題に入る前に・・・問題が発生しているのでこれを先に解決しておきたい」
そういいながらアルゴランは殺気を漲らせた。
ほほーん。
いい感じの殺気ですよ。
「今回の交流会の開催時期に関し10日のも伝達違いが発生した。この件に関して情報連絡担当の冒険者ギルドから説明を願いたい」
人間の戦士らしいの2人のうちの一人が立ち上がり頭を下げた。
「このたびは冒険者ギルドの不手際で皆様に迷惑をかけ申し訳ございません。原因についてはもっか調査中です。分かり次第報告いたします」
そういうと男は座った。
この二人が冒険者ギルドの関係者と。
二人とも顔色が悪い。
隣の人間のデブの貴族らしい男性とその部下らしいのはもっと悪い。
というか貴族らしい男性は異常に汗をかいている。
アルゴランの殺気が桁違いに膨れ上がった。
すまんかったイケメンエルフ。
見くびっていた。
やればできる子やったんやな。
「お前・・・俺をなめているのか?説明をしろと言っている。納得できる発生した原因と二度と起きない対策をだ。大至急だ!交流会は井戸端会議じゃない。最悪の場合スタンピートに対策する相互保証を目的としている。連絡伝達がまともに出来ないのであればお前らがここに座る必要はない」
貴族らしい男性が口から泡を吐いて白目をむいている。
まじか・・・
バタン
音を立てて貴族らしい男性が椅子から崩れ落ちた。
「申し訳ありません。わが主は旅の疲れが出たようです。退席させていただきます」
部下らしき人物が貴族を抱えて出ていこうとする。
戦士らしき人物も出ていこうとするがアルゴランに呼び止められる。
「代理として残ってくれ」
「私は護衛にすぎません。代理は務まりません。任務がありますので退席を許可願いたい」
「それならばそちらが残ってくれ」
戦士が貴族を抱えて出ていき部下が残った。
そのあと竜人の男性が発言した。
「どうしたおぬしら?そこに座っておって調査とやらは終わるのか?都市が壊滅してから伝達不備の原因についてもっか調査中と言われても困る。納得できる原因とやらが示されるまでここに席はないというのは私も同意見だ」
トロールの顔に傷のあるデカいのもその後に発言した。
「こちらも同意見だ」
バンパイヤとウェアウルフが無言でうなずくと冒険者ギルドの2人は出て行った。
これはなんなんだろう?
いつもこんなんなのか交流会。
おっかないな。
「さて・・・本題に入りたい。この都市の地下の地脈で異常が検知された。北にあるバンパイヤ族とウェアウルフ族のダンジョンで異常が起きたと予測されたがそれと同時にバンパイヤ族とウェアウルフ族と連絡が途絶えたため緊急に交流会が開催された。この件について説明が欲しい」
アルゴランの発言に続きバンパイヤとウェアウルフが立ち上がり発言した。
「私はこのたび新しくバンパイヤ族の族長に就任したルドルフです」
「ウェアウルフ族の新族長フレディー」
「今回の異常の件について報告をします。われらがダンジョンにてオークの魔王が発生しました。魔王との戦闘で両部族の族長を始め多数の戦士が死亡しました。魔王については死亡を確認しております。ダンジョンも現在は正常であることを確認しております」
トロール族の一人の目が光っている。
竜人は壮年の男性と女の子の目が光っている。
まあこちらはアルゴランの目が光っているのだろう。
これであの光る目は嘘を見破るか・・・真偽を判定する能力であるのが確定だな。
で・・・このバンパイヤはそれを分かっていて対策をしている。
オークの魔王の発生。族長の死亡。魔王の死亡。ダンジョンの正常化。
彼らの認識では嘘はついていない。
魔王は死んだと思っているはずだしな。
ただいろんなことを報告していないだけだ。
新ダンジョンとダンジョンマスター・・・まあ元私なんだが・・・何故に報告しないのか?
「話については了解した。現在地脈の状態からしてダンジョンが正常なのは間違いないだろう」
アルゴランがそう発言すると竜人族のほうを見ると壮年の竜人がうなずいた。
トロール族を見ると顔に傷のあるトロールが目の光っているトロールを一瞥した後うなずいた。
「なにか異議はあるかな?」
誰も何も言わない。
「それでは緊急案件の会議はこれで切り上げる。後は通常の交流会を行う。ここは解散だ」
貴族の部下が明らかにほっとした顔で部屋を出て行った。
するとトロール族の傷のあるデカいのが
「それはそうと・・・そいつはなにもんだ?」
誰のことだろう・・・む・・・みんな私を見ている。
「彼女はクルーソーさんといってうちの北のお隣さんだ。互いの防衛に関して協力しあうことにしたので今回の交流会に参加してもらっている」
・・・お?・・・今こいつなんて言った?
お隣さん・・・まあお隣さんだが・・・互いの防衛に関して協力?
何の話だ?
この状況だから嘘はついていないことになるな。
こちらは迷宮都市の兵力の傘に入る。
そのかわりに城壁等の施設を作る。
という協力関係ことか・・・
「ふむ・・・まあこの都市がどこと同盟しようがこちらには関係ない。と言いたいところだが交流会の中心であるこの都市についての同盟者ならうちらにもおおいに影響がある。いきなり信用しろといわれてもな」
「それもそうだな・・・といってどうしようもないが?」
イケメンエルフがなんか無責任なことを言っている。
「簡単なことだ・・・力を示せばいい。そうだな・・・これは儂の息子だ。これと立ち合うというのはどうだ」
「そうするか。うちの裏庭をつかうか。そちらもそれでいいか?」
イケメンが何かほざいてるぞ!
というかトロールはやっぱり脳筋なのか・・・力を示せばいい!じゃねえよ。
「この都市の同盟者についてこちらは口出しをする気はない」
壮年の竜人がそういうとバンパイヤとウェアウルフがうなずいた。
というか立ち合うのが前提になっとるぞ。
どうしてこうなった・・・
シム築城とか言って浮かれて城壁を作ったのが間違いだったか。
その前に領地話を受けたのがそもそもか。
トロールが裏庭に移動していく。
私はアルゴランとマリアさんとジークさんにドナドナされて裏庭に移動する。
ほんとうにどうしてこうなった・・・
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