5.再考察
白い部屋に戻り再度考察を開始する。
間違えてWEの技能を使ったのは不幸中の幸いだ。
装備がLBであったためLB前提で技能を調べていた。
スラッシュが使えた時点でそう思い込んだ。
WEのキャラはハイエルフだが見かけでは全く分からない。
縮地と中段回転斬が出たのは完全にいつもの癖だ。
毎日行うギルドで受ける[ディリーミッション]の[新人冒険者救助]で使っているからだ。
このミッションは拘束時間が短い割りにギルドの貢献度、報酬がいい。
そのためみな一度は受けるがほとんどが失敗してひどいめに会うため運営の罠と言われている。
流れはこうだ。
新人が力量もわきまえずダンジョンに入る。
助けに行くと激戦中。
助けようとすると「経験の横取りするなや!」と救助拒否。
そうですかと放置すると新人全滅でミッション失敗。
ギルド貢献度が激下がりするあげくギルド受付からちくちく嫌味をギルドマスターから大説教をくらう。
新人を助けようとするしても相手が救助拒否なのでエリア攻撃が出来ない。
新人も敵なのだ。
そのためエリア攻撃すると新人に当るし普通の単独攻撃も当る時がある。
新人が死ねばミッション失敗。
新人を助ければ終わりかと思うと「横取り野郎が!」と新人が殴るかかってくるので戦闘開始だ。
ここで新人が死ねば大ごとだ。
冒険者殺しの汚名を着てしまう。
大説教ではすまない。
奉仕と賠償ミッションを行うか スラムに身を潜める罪人職になるかを選択できる権利を得るのだ。
わたしは楽勝な方法を確立した。
縮地、中段回転斬、下段回転斬を連発する。
それだけだ。
回転斬は威力が下がる代わりにノックダウンが上がるエリア攻撃だ。
技能のクールタイム待ちで中段下段を交互に繰り出し魔物も新人冒険者もノックダウンさせるのだ。
全員ダウンしたら魔物だけを攻撃だ。
このやり方だといい感じに新人のHPが削れてるのでミッション成功になる。
新人のHPが残っていて戦闘になったら新人の心が折れるまで中段下段を交互に繰り出すのだ。
力が弱いエルフだからできる技だ。
もちろん威力の低い軽量の両手剣をわざと使ってはいるのだが。
さてWEならメニューは使えない。
もともとメニューという概念がないのだ。
ステータスやアイテムを確認する方法はいろいろある。
私は視覚の左上にHP、MP、SP(行動力)、満腹度を常時表示。
そこをクリックでステータス表示するリンクを張っていた。
アイテムボックスは右下にフォルダーを常時表示だ。
フォルダーを開くと魔法のアイテムボックス、魔法アイテムの鞄が全画面表示されるようにしていた。
常時表示の設定方法は・・・初期インストール時に選択した後設定を変更したことがないので判らない。
右上はマップ表示エリアに設定しているがWEはマップ表示さえ技能だ。
「地図表示」
視覚右上に四角枠が表示された。
そこに白い点が1つだけある。地図は出ない。
少し考えたら思い出した。作成がいるのだ。
「地図作成」
地図の枠に四角い部屋のなかに噴水と石柱が表示された。
ゴブリンと遭遇した大通路とそこにつながる通路は表示されない。
フロアが違うか転移しているということだろう。
地図はパッシブの[探知技能]、アクティブの[ソナー魔法]と連動できる。
「探知」
<探知>
「ソナー」
<ソナー>
使える模様だ。
ソナーは敵にこちらの存在を教えることになることがあるので実際には使えないが使用できることが分かったのは収穫だ。
後はステータスとアイテムだが・・・格納が実際に使えたのだから
「取出 魔石」
魔石が出てきた。
少なくともアイテムボックスの魔法は使える。
ゴブリン、耳、牙を個別に出し入れはできた。
「取出 アイテムボックス」
これでアイテムボックスの中身が選択画面が見えるようなるはず。
アイテムボックスの選択画面が出てきた。
選択画面を四角の左下に移動しつまむ動作でフォルダー化出来た。
ゲームではひっぱる動作でルートフォルダーに移動だが・・・
(ビンゴ)
アイテムボックス 鞄 が表示された。
がゲームではなかったフォルダーが表示されている。
フォルダーを見ると拳銃のグラフィックになっている。
(武器ホルダーってことか・・・)
武器なら超ラッキーだ。
WEのキャラなら弓のほうが攻撃力はある。
両手剣ははっきり言って趣味だ。
それに現状ではゴブリンにすら満足に当らない。
拳銃のグラフィックのフォルダーを押しこむ動作を行う。
「ぽちっとな」
急激な脱力感を感じた瞬間私は気を失った。