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16-16.盲信ゆえ騙される

・とある管理者と第一天使


警報が鳴り響く。

これは監視地域で多重にワーニングが出たということ。

監視所に急ぐ。


「どうなってる?」

「あ。力天使様!」


これは・・・またあいつかこんちくしょう。


「主様は?」

「しみゅれーたー室に」

「なんだそれは?」

「新しく作られた実験室です」

「・・・案内してくれ」


しみゅれーたー室には主様と開発技術部の天使たちがいる。


「主様」

「わかってるよ」


何故に?


「クルーソーさんだろ」


誰かが先に報告した?


「ここにも出てるからね」


そこには監視室と同じ画像が出ていた。


「これは?」

「情報を確認するのは同じだからね。同一の魔道具を揃えている」

「主様。しみゅれーたー室とは?」

「クルーソーさん用のスキルを作った時に仕入れた知識にあったんだ」

「は?」

「戦わなくても戦えばどうなるか分かるってやつだよ。なので真似して作ってみた」

「・・・戦いを本気でなく練習でするということですよね?役に立つとは思えませんが」

「違うさ。ガチ戦いを行う。だが兵は動員しない。計算だけで事態を進める。というか兵に関しては存在しなくていんだ」

「?」

「天使1万vs天使1万を地上で。それも殴り合いのみ。とかいう条件をつければ結果が出る」

「それを行うと・・・」

「勝敗はつかず地上は更地になる。いや・・・大陸ごと無くなるかもね」

「そう言うことを調べるためのしみゅれーたーであったと?」

「クルーソーさんの知識にあったのは戦闘の推移だけのものさ。それでは意味が無いから全項目計算することにした。クルーソーさんの世界にあるシミュレーターも本当は全項目計算しているのかもしれない」

「なぜそのようなことが?すべて計算しなければ意味が無いのでは」

「戦いの指揮を執る訓練用に作られたからだと思う。それだと勝敗の結果以外は要らないだろう」

「話を聞くに・・・要らないのでは?」

「どうしてだい?」

「起こることを計算できるだけです。主様の推測を超えることが出来るとは思いません」

「そりゃそうだ。この世のことであれば私が調べて分からぬことなぞ存在しない。だが私は管理者にすぎん。全知ではないんだ。全能ではあるがね」

「そのようなことはありません」

「例えるなら・・・私はクルーソーさんのいた世界を転移者の情報でしか知らない。何故か分かるか?」

「・・・」

「調べられないからではない。その影響が分からないからだ」

「?」

「調べることは出来る。簡単だ。行くことだってできるさ。ただし覗いた時に何が起こるか分からない。特にクルーソーさんのいた世界は魔力が無いらしいんでな」

「魔力が無い?」

「そうらしい。ここは根となる次元だがあそこは葉先も葉先だ。多分だが魔力が薄いほうに分岐していった世界なんだろう」

「となると・・・魔力がここより濃い世界も存在するのですか?」

「それは何故か無い・・・もしかすれば・・・それは無いか」


・・・・


「調べられない影響とは?」

「覗いたら世界が滅んでた。調べたら私が覗いたからとなるやもしれん。全知ではないので 分からない だ」

「その可能性はあるやもしれません。我らがそのままでは地上に降りられないのと同じという訳です。ですかそれとこの部屋の関係は?」

「計算して結論を推測できる。最初は条件が全くないので無理だろうが最終的にはそれに特化させればいいとなる。その条件とやらに何が必要か何が足らないかもこれで分かるだろ」

「なるほど。まずはその条件を探っていくと」

「最終的にはそうだ。その前に違う目的がある」

「違う?」

「監視体制を作っていろんなものを監視している。で最終的にヤバそうなものは私が出張る。わたしが覗いた物はいい。そこで最終結論がでる。でも私の所まで上がらなかったものが実はそれ以上にヤバいことはありうるよね?ワーニングや警告の基準がある以上それは起こり得る」

「その後どう動くか予測が出れば振り分けできると」

「それもある。だがわたしでなければ出来ないことが有るだろ?」

「?」

「そいつらを呼び出すことさ」

「はい」

「まあ言い含めるのであれば呼ぶしかない。だが本来何者であろうと呼び出すのはリスクでしかない。手間も魔力も膨大だしこの世界全体にかける負担もある。話を聞くだけでは呼びたくないが重要地点で大破壊、巨大国家の崩壊、大虐殺に繋がる可能性があれば呼ぶしかない時もある。といって呼んだからと言って解決するわけではないが・・・少なくとも私に嘘は通じない」

「本心を隠し周りをだまし準備を進めるものも主様は騙せません」

「そうだがそれだと私の時間をとられる。問題を起こすやつは星の数ほどもいるのに」

「でこれというわけさ」

「?」

「対象者の情報を完全にとりトレースすればどう行動するか推測できる。それで危険度を判定する」

「主様との応答する前にそれをこれで行いどうなるかを試すと?」

「いや違う。本心を喋るよう誘導する。相手は私でもいいが心を許す仲間だろうが家族だろうが何でもいい。状況でもいいだろう」

「なるほど。ではこの都市が映っているということは?」

「ここは転生者とその関係者が集まっているし警告も多量に上がるからね」

「準備はどう?」

「まだ少し掛かります」

「そうか・・・だったら上がった警告を見ていくか」


・・・・


「ほほーまた多量だね。それでも次の基準をぎりぎり超えてない。天才的だね」

「笑いごとではありません」

「こっちの監視基準を知ってるんじゃないかと疑うレベルだ」

「・・・調査しますか?」

「冗談だよ。まあこちらの監視基準が正常に機能していることの証明だ」

「?」

「大ごとにはならないってことさ」

「時系列ごとに追って行くか」

「そのようなことができるのですか?」

「こっちだと出来る。と言うのかそうやって情報を取り込まないと計算でないからね」


・・・


「増えたのは銃?今さら・・・40mmなのか。なるほど」

「彼らは砲と呼んでいるようです。速度はほぼ同じですが口径が大きくなると重さが3乗で増え威力も増えます。さすがにここまで来ると脅威かと」

「銃の監視において威力自体はそこまで重要ではないんだ」

「監視項目で威力はあるはずですが?」

「発射もおぼつかない、威力もほとんどない、では意味が無いだろ」

「・・・」

「言いたいことは分かる。だがあの程度の威力なら出せる術者は隣の迷宮都市にもいる。ここにはないが大砲というモノも存在する」

「そのようなものですか?」

「威力だけならね。でこう言いたいんだろ?あれらは1分に何百と撃てる。人が使える魔法、武具技能であればあそこまで連発が出来ない。と」

「そうです。術者の数が増えたの同じ効果があるかと」

「同じではないよ。倍撃てたからと言って数は変わらないからね。まあそういっても?と言うことだろうから説明しよう」

「はい」

「まずはこの銃器はすべてクルーソーさんの世界の兵器だということだ。こいつらは魔法を全く考慮されていない。シールド魔法もなければ矢逸らしもない世界だからね。それにこいつは誘導しないんだ」

「ええと?」

「この世界であれば魔法はある程度は自動で照準だし、単体攻撃なら誘導される。といって必中ではないがな。弓だとそう言う武具技能もあるしクロスボウも効果は下がるが技能はある。知られてないがね」

「クロスボウが効果が下がるのは何故でしょう?」

「武器技能は武器を持っていることで発動する。弓は弓を握り弦と矢を掴むので武具技能が乗りやすい。投げる武器もこれと同じだな。クロスボウは本体は持っているがクォラルは持たないでトリガーを引く。その分武具技能が乗りにくい。銃は銃自体でなく火薬で発射となるのでほぼのらない。だがら連射するしかないってことになる。銃は弾が下がって行くのと風に流されるのを計算しターゲットの未来の位置を予測する。それがすべて合っていないと絶対に当らない。資料よると5万発撃たないと当らないそうだ」

「防御魔法に対応していないし誘導もしない。そう考えれば威力ではないとわかります」

「それと現在ここの銃には瞬間的な火力しかない。全力で撃つとクルーソーさんが保有する弾は10分も持たずに切れる。重要なのはこっちだ」

「弾の製造能力と言うことですね。ですがたしか錬金術で作れるのでは?」

「錬金術で銃の修復は出来る。だが弾は劣化品しか作れない。劣化品だと機関銃は動かせない。まあ錬金術を極めればどうにかなるがだとしても問題は無い」

「どうしてでしょう?」

「一番まずい事態は銃を開発出来て製造する体勢をつくりあげること。その知識を広めることだ。もちろん弾や火薬も含まれる」

「本人が錬金術で銃や弾を作るのであれば問題が無いと・・・・しかしあの錬金術は危険では?」

「あの錬金術では材料がいる。多量の材料を定期的に集めることが必要だ。ここも銃の製造の体勢作りに含まれる」

「しかし・・・あの技は・・・」

「神の領域だとでも?神の域だとこうなる」


主様がそう言うとそこに王座が出現した。オリハルコンだ。


「無からオリハルコンを作る。これが錬金だ。この域にクルーソーさんが達することはない・・・こともないのか?・・・まあその前に錬金で亜神化が最低条件だが望みは薄いな」

「・・・」

「まあ問題は私が作った弾が切れるまでは運用が出来てしまうということだが逆に開発製造からは遠ざかる」

「主様が与えた武器でなければとっくの昔にアウトなのですが」

「私が関与してなくてこれらが出てくることは無いからね。だが・・・こういうことを期待したんではないんだが」

「期待とは?」

「転移者にはこの世界に風を呼び込むことを期待してるのさ。新しい文化でもいいし技術でもいい」


・・・・


「お?ゴーレムを作ったね」

「あれは?」

「ケンタウロスだ」

「・・・魔物ですか?」

「いや。絶滅危惧種だったはず。ん?絶滅してたっけ?」

「動物なのですか」

「人族になる。連中の基準では亜人になるのかな」

「ここに現れたということでしょうか?」

「クルーソーさん元々知ってるんだ」

「ということはあちらの世界に存在すると?」

「存在はしてないが知識としてはあるようだね」

「一瞬意識が飛んでいたようです」

「意識ではなく魂が活動を低下させたんだ」

「?」

「前も言ったがクルーソーさんのゴーレムは使い魔魔法が混ざっている。使い魔であれば魂の一部交換を行うがゴーレムは魔力で作った疑似の魂だろ。一方的に魂が削られるんだ。あれだけ魂を使うと一瞬だが魂が停止する」

「それでは毎回ああなると?」

「魔力を多量に込めてゴーレムを作ればそうなる。普通に作れば影響はない」

・・・

「ダイゴにアルゴランと合流でアラームと・・・これは基準を緩和だね。同じ都市にいるのであればアラームの無駄だ」

「ほう・・・自分のスキルを公開するのか。思い切ったな」

「どういうことでしょか?」

「ダイゴはこの都市で破壊工作を行うつもりだった。普通なら斬首か死ぬまで鉱山で穴掘りだ。それを避けるために自身の情報を公開した。自分が有用であるとアピールするために」

「主様がお与えになった能力であれば意味が無いのでは?」

「そうでもない。ダイゴには私が作ったスキルを与えていない」

「それは?」

「普通は相手の希望に沿ったスキルを作って与える。だがダイゴはスキルをポイントでくれと言ったんだ」

「?」

「オリジナルスキルの代わりに通常スキルでいい。ただし数を寄越せってことさ」

「交渉したということですか」

「そうだ。で・・・スキルにポイントを付けて在存するスキルを複数取ったんだ」

「あのへんな詠唱するのもですか?」

「あれはポイントが足らなくて条件付けでポイントを下げたんだ。本来はパッシブの攻撃力と防御力強化だったが詠唱した時だけ有効。時間制限あり。クールタイム有。だがその分強化率アップだ」

「勇者もですか?」

「そうだ。実はあれ既存職なんだ」

「普通成れないのでは?」

「あれは召喚された転移者の職だからな。なので条件は満たしている」

「では・・・あの勇者に至る条件は?」

「分からん。だが鑑定で見えてるのであればそうかもしれん」

「セルフ鑑定と言うやつですか」

「あれは完全鑑定だが自分にしか使えない。これもポイントが足らないからこっちになった」

「と言うことはダイゴの言っていることは合っていると?」

「いや・・・全然違う」

「嘘をついていると?」

「彼らにとっては結果そうなるってことさ。実際もっと複雑でいろんな条件が絡み合う」

「理由は違うが現象としてはそうなると?」

「なんでも分けて考えすぎなんだ。鑑定が分かれてるからだろうがね」

「?」

「結局彼らに見えているのは鑑定の結果だけ。実際はすべてスキルしか見えないんだがそこが分かってない」

「スキルだけ?」

「君たちはスキルを使わないので分からないだろう。思うだけで同じものが出来るからな。例えばマジックアローの魔法が有るとする。まあパワースラッシュの武具技能でもいい。こういうものはまず他者が使っているのを見て感じる。そして真似て習得する」

「それがスキルだと?」

「いや。使えるようになっただけだ」

「スキルは?」

「マジックアローのスキルを持っている者がそのスキルを使っていのを見て感じて真似て習得だ」

「技そのものとスキルは違うと?」

「そうだ」

「ではスキルとは?」

「スキルは発動成功率向上。威力アップ。使用魔力軽減。その他もろもろとかという感じだな。ここら辺はスキルを作ったものしだいだ。でHP,MP,SPを使用する」

「スキルを作る?」

「当然最初は誰かが作るんだ。これはそのベースになる魔法や武具技能も同じだ」

「・・・HP,MP,SPとは?」

「魔力が変化したものだ」

「スキルが有ると使用魔力は減る。でもHP,MP,SPを使うのであれば増えるのでは?」

「魔法も武具技能も魔力を変化させて使う。時間がいる。MP、SPは一瞬で減る。それで魔力の使用する総量も減る」

「MP.SPが尽きた場合は?」

「普通にスキル無しで使える。だがスキル有に慣れすぎていれば使えないとなるかもしれない」

「HPは?」

「こいつは職スキルを得ると身につく。攻撃を受けた時にそのダメージを軽減する」

「職に付けばHP。魔法のスキルでMP。武具技能でSPを得る訳ですね」

「スキルによっては複数使用することもある。これが厄介なのはこれ自体はスキルではないのでスキル鑑定には出ない。なので連中の様に有る無しで討論することになる」

「職もスキルなんですか?」

「そうだよ。職はスキルなんだ」

「魔法や武具技能のように威力向上したりするスキルと同じであると」

「パッシブスキルになる。剣術や魔法制御とかと同じだ。その職で戦うに優位になる物が強化される。戦士ならHPが増えて攻撃力が増えて防御力が増える」

「あくまでパッシブスキル。にもかかわらず職に付いていることを重要視している。本当は地の実力が重要なんだがな」

「それがその者自身のレベルと言うことですか?」

「レベルとは?」

「は?」

「アルゴランも言っただろ。何が基準なんだと?結局何らかの基準がいるからってことで何かを基準にして数値化している」

「意味は無いと?」

「意味が無いことは無いんだが・・・あれは魂の大きさなんだ」

「魂?」

「生物は肉体が有ってそこに魂がある。魂が死ねば生物は死ぬ。体が死んでも魂は死ぬ。魂の格があがって行けばいつか肉体が死んでも魂が亡びなくなる。そこで亜神となる。肉体・・・この場合憑代になるか。憑代が無くても存在できるようになって神と呼ばれる」

「と言うことはここで出ている経験値とは存在しない?」

「生物を殺すと魂も死ぬ。この場合魂はなくなるんだが一部が移動する」

「それが経験値?」

「まあそう言うことを言いたいんだろうかな」

「であれば距離に比例して移動するのでは?」

「そうでもない。魂は滅びたくはないので強いものもしくは自身を倒したものの元に行く」

「となるとダイゴの言うこともあっている所は有ります」

「うんん・・・そうだな。ステータスに力、耐久力、素早さ、器用さとある。これは肉体の性能となる。同じように魂にも同じような項目がある訳だ。これが高いと魔法使いとしては優秀となるがステータスには魔力としか表示されてないから連中には分からない」

「?」

「同じような特性を持つ魂に魂は吸収されやすい。となるんだが魂を魔力でしか見てないからそこはわからないんだろうな」

「となると・・・同じ種族で同じ職のものを倒すのが一番経験値が高いのでは」

「同じ種族だと魂の移動は起きにくい。特に知能が高い族はその傾向がある」

「何故ですか?」

「殺された恨みで取り込まれるのを嫌がる。それと同族を殺すことを嫌悪する心が取り込むのを避ける。そう言うことだろう。内ゲバで絶滅しないようにストッパーが働くということだ」

「ダンジョンの魔物を倒すとレベルが上がるということはあれにも魂はあると?」

「疑似だがある」


・・・


「ん・・・ああ。40mmの砲でワーニングが出たのはこっちか。単発用の砲か・・・」

「完全な劣化版です。気にすることではないのでは」

「性能で見たらそうなるがそうじゃない。数を水増しするのと弾の消費を減らすのが目的だろうが・・・これはまずい」

「?」

「クルーソーさんが火薬を作ったとしよう。どんだけ劣化していてもこれなら動く。ここから銃の改良をはじめないとも限らん」

「こちらは継続で監視ですね」

「まあこれだけ重複してると監視方法を変えたほうがいいだろうな」

「それではそう手配します」

「いや。これは私でやる。監視条件を考えなおしたい」

「承知しました」

「まだワーニングが1個あるな」


2個残っていたような。気のせいか。


「通り過ぎててるな。巻き戻すか・・・」


・・・


「これは・・・ん?なんのワーニングだ?」

「アイテムボックスでは?」

「ん?」

「容量が異常です」

「ああ。あれそもそもアイテムボックスじゃないから」

は?


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すいません。前後に分けます。過去の話と辻褄が合わんやんけ。となってますが後で。

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 本文と前書きを入れ替え無断転載対策を実施しています

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