2-5.宿に泊まるだけの簡単な任務
興奮しているアンジェリカさんの話によると
ダンジョンのある地域や都市には冒険者ギルドがありそれ以外の魔物が抜鉤する地域にはハンターギルドがあるようだ。
ハンターギルドは地域のくぎりがないが冒険者ギルドは地域ごとで運用されているようだ。
冒険者ギルドはランクごとにカードの機能が違うがハンターギルドはランクに関係なく全機能が使えるとのこと。
そのためのすごい発言のようだ。
それとハンターギルド会員はハント、採取、調査すべてが出来ると認識されているらしい。
ある意味やらかしたがぎりぎり助かったのか・・・いろいろな技能を持っていても不思議に思われないのでこれでいいのか。
冒険者ギルドに入ったほうがよかった気もするが・・・
「宿はどうされますか?わたしと同じところでいいですか?」
なぜに宿を同じにしたがる?・・・ただうまいこと断る理由がないな。
初めて来た都市の宿事情は分からないからこの提案に乗っておくか。
「ある程度安全で清潔ならどこでもいいですよ。それより先に金策をしたいのですが。」
とりあえず両替しないと宿には泊れない。
「冒険者ギルド会員なら魔石をギルドに売れば点数付きますが買取金額が下がってしまいます。魔石を買い取ってくれるお店に行きましょう。」
「レッドキャップの魔石はたしか20銀貨で買い取りだったはずですね。冒険者ギルドだと15銀貨になってしまいます。」
勝手に魔石を売ることになってる。
魔石を回収しているのを見られてるからなのか。
それとも魔石を売らないのが常識的にないのか?
「ギルドで魔石の買取を独占したりはしてないんですか?勝手に売っても構わない?」
「冒険者ギルド会員はダンジョンで入手した魔石、素材は冒険者ギルドに売らないといけない規則になっています。ダンジョン外で入手した魔石、素材については自由です。冒険者ギルドの点数が稼ぎたいなら冒険者ギルドに売ればいいですがクルーソーさんだと意味がないですね。」
魔石は売りたくないな・・・
金のインゴットを売りたいんだが・・・
ただ魔石を個人で利用するのが全くないのであれば売らない理由を説明するのが困るな。
流れに乗っておくか。
「ここです。私は冒険者ギルドによらないといけません。角のあそこが冒険者ギルドです。終わったら店の前で待っていてください。」
城門からまっすぐ伸びた広い道路が噴水のある十字路に繋がっておりその角に冒険者ギルドがある。一等地だな。
指示された店に入る。カウンターのみで商品は置いていない。買取専用か。
「いらっしゃい。」
若い人間のお姉さんが出てきた。
「買取をお願いしたい。」
レッドキャップの魔石と牙を取り出した。
「うちは魔石の買取しかしないよ。牙は鍛冶屋か素材屋だ。」
明るく言われた。牙はよそと。
「赤の15が20個。300銀貨だね。金貨がいいかい?大銀貨?」
20*20は400じゃなかったっけ。大銀貨?金貨?総額300で金貨ということは・・・
「混ぜてくれ」
「2金貨10大銀貨でいいかい。」
「それでお願いする。」
金貨が2枚と少し大きな銀貨を10枚を受け取る。
「まいどあり」
店の前に出てアンジェリカさんを待つ。
300で金貨2枚と大銀貨が10枚。
ということは金貨は100銀貨。大銀貨が10銀貨。
しまった。金貨が50銀貨。大銀貨が20銀貨もありうるな。
待っている間町の様子を見る。
街は思ったより清潔でゴミが落ちていることもない。
建物も綺麗に垂直に削った石を積んで作られている。
地面が石畳なのを除けば現在の地球の街と言ってもいいレベルだ。
歩いている人たちはいろいろな人がいる。
一番多いのは人間だ。
冒険者らしい人。商人らしい人。
後はいろいろだ。
ゲームいう獣人族、竜人族、小人族。
そうしているとアンジェリカさんがやってきた。
「お待たせしてすいませんん。宿に行きましょう。」
「今出てきたところです。宿の前に換金屋に行きたいんですが?」
「換金屋なら宿への途中にあります。こっちです。」
十字路を北に向かう。お金の仕組みを聞いておくか?
「お金の仕組みを教えてくれますか?100銀貨で1金貨。10銀貨で1大銀貨ですよね?その上と下は?」
「仕組み???どういうことですか???」
どうかやら知らないのがありえない質問だったか・・・うまいこときりかえさないと。
「国によって換金の仕組みは違いますよね?銅貨が100枚で銀貨だったり1000枚だったり。迷宮都市だけの使用通貨とはあるんですか?」
「ああ・・・そういうことですね。ここだけの通貨はありません。10銅貨で1大銅貨。100銅貨で1銀貨。10金貨で1大金貨です。それ以上もありますが商人の取引でしか使いません。」
王国に所属していないが通貨は独自ではないと。
「ここが換金屋です。」
一緒に店に入る。丁稚みたいな男の子が出てきた。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」
「これの換金をお願いしたい。」
金のインゴットを見せる。
「こちらに掛けて少々お待ちください。」
ソファーに腰かけて待つ。
壁の向こうから監視されているのを感じる。
地図では白点が映る。
まあそりゃそうだな。裏で武装した警備員が出待ちしてるんだな。
「こちらにどうぞ。」
丁稚が出てきてカウンターに誘導してくれる。
「わたしはここで待ってます。」
アンジェリカはここで待つと。店に入ってから口を開かない。
カウンターに座ると中年の人間の男が待っていた。
「ようこそ。金の換金ということですが。」
金のインゴットを渡す。
「検査しますがよろしいですか。」
私がうなずくと男がインゴットを秤に乗せた。
その瞬間男の目に魔力を感じる。
やはり鑑定だとこういう感じなのか。
アンジェリカさんも鑑定持ちかな。
秤に乗せた後ビーカーのようなものに入れ水を入れた。
重さを調べて体積を調べる。
やり方は全く地球と同じだな。
それだと鑑定はいらないのでは。
「ものすごく純度が高いですね。21金貨と32銀貨になりますが。よろしいですか?」
金貨は全部金貨で貰い、銀貨は3大銀貨と2銀貨で受けとった。
普通に換金できたな。
もっとインゴット作っておくべきだったな。
店をでて宿にむかう。
「換金屋に初めて入りました。緊張しました。」
緊張してたから無口だったのか。
まあここで普通に生活しているのであれば換金屋に来ることはないか。
「そいいえば魔石はちゃんと換金できましたか?」
「300銀貨だった。」
「え・・・400になるはずでよ。ぼられてますよクルーソーさん。今から行って文句を言いましょう。」
アンジェリカさんが今来た道を戻ろうとするを止めた。ぼられていたか・・・牙を一緒に出したので初心者と思われたかな。
「その必要はない。」
「どうしてですか!あきらかにぼられてますよ!」
「私がぼられたのは私とあの店の問題だ、君の問題ではない。」
「本気で言ってますか?」
彼女の目に魔力が感じられる。
このタイミング?・・・ということは鑑定ではないのか?やる気をだすとこうなるとか。
さっきの換金もただ気合いを入れただけなのか。ただの感情?
「あの店は私をぼった。それだけの客と判断したわけだ。それで私は魔石を売った。それで取引は成立だ。それでいい。この後私はあの店を使うことはない。それだけの話だ。」
これは本気で思っている。前からこういう人間なのだ。
めんどうな人間と思われているのは分かっている。
これで彼女がまだごねるのなら彼女との関係はここまでということだ。
「本気なんですね。ならいいです。」
そのまま無言で宿にむかう。
明らかに私の判断に不満があるのだろう。
がそれでもいい。領主がらみの人物だ。縁がきれても構わない。
宿についたがトラブル発生だ。
今日は馬車のトラブルとかで急に商人の団体さんが入ったため泊れないらしい。
「それならあそこに行きましょう。」
黙ってついていくしかないが・・・明らかに格が上の宿に着く。普通にチェックインできたが明らかに浮いている。観光地の高いホテルのような感じだ。宿泊費は20銀貨で先払いだ。食事は付かない。
「もう遅いのでここで食事をしましょう。」
確かに日は暮れかかっているが・・・日が暮れたら寝て日が明けたら起きるのだったらもう遅いのか。
食堂は全部半個室だ。
奥には個室もあるようだ。
アンジェリカさんのお勧めと同じものを頼む。
ワインも頼みやがった。禁酒しようとおもっていたのだが・・・
スープにサラダとパンが来る。
メインは魚と肉のグリルだ。量は少し大目だ。
ファミレスのセットという感じで味はまあ普通だ。
これなら生きていけそうだ。
食事中はほぼしゃべらなかった。
私はさっきのが気まずかったのだがむこうはどうだろう。育ちがいいのか。
「明日はどうされますか?私は予定はないので街を案内しますよ。」
む・・・
土地勘が全くないのに案内はいらんとも言えないしな・・・
というか何故にオッサン相手にこんなに優しいのだろうか?
・・・おお・・・外見は同じエルフ娘だったな。
「そうしてもらえるとありがたいが・・・できればダンジョンの様子を見たい。」
「わかりました。では明日はダンジョンに行きましょう。」
しまった。ダンジョンにも一緒か・・・どこかでまくか。
ダンジョンに入って姿を隠して周りを観察してどのくらいの戦闘力、技能だといいのかを調べないといけないからな。
食事料金を10銀貨払い部屋に入る。
部屋は広いビジネスホテルという感じだ。
物価が分からないな・・・
地球感覚なら宿はビジネスホテルで食事はファミレスなので宿泊費5000円食費1000円くらいだ。
そうなるとこの世界は食事が高いということになるな。
高級宿だとして宿泊費2万円食費1万円とすると1銀貨1000円だが・・・この部屋で2万はないしあの食事で1万はない。
いや・・・わからんな。
普通の宿に泊まらないと判別できないな。
これはいったん保留するか。とりあえず一泊晩御飯で2レッドキャップということだな。
今日集めた情報を整理しよう。
領主はイケメンエルフで貴族ではなく王国とやらには属していない。
独自通貨ではない。100銅貨=10大銅貨=1銀貨。100銀貨=10大銀貨=1金貨。10金貨=1大金貨。
魔法は発動具がいる。
忘れていた。短杖を探し錬金術で解凍する。
大剣に発動具の機能を付けていると説明したが予備を持っていないのは不自然だろう。
冒険者ギルドがありハンターギルドがある。
冒険者ギルド会員はダンジョンでの魔石、素材は冒険者ギルドで売らないといけない。
そうだ。ハンターギルドカードがあったな。詳細はヘルプか・・・
ハンターギルドカードは情報収集端末だ。
多量の素材と魔石を集めればこのカードをのコピーを作成できるらしい。
冒険者カードは数十段階下のカードになるようだ。
依頼があったらその情報をカードに入れ込みその依頼についての情報を自動で更新する。
何気に高性能だ。段階が下がるにつけて機能が下がっていくと。
人数や運用を考えたら機能が最少でも作る材料が少ないカードを作って発行するのが効率的だろう。
実際にはハンターギルドには入っていないがこの都市には冒険者ギルドはあるがハンターギルドはないらしいのでいいだろう。
後は何かあったっけ・・・そういえば移動中に薬草とかの素材を一切発見できなかったな。
これはたまたまなかったのか?こちらでは材料が全く違うのか?
そもそも作成技能が実は使えないのか?
錬金術以外の作成は行っていないので分からない。
この部屋にはシャワーがある。シャワーでも浴びるか。
ゲームなら裸にはなれない。
へんな民族衣装なのか水着なのかは替えることは出来るが脱げない。
いまも変な民族衣装みたいなのを着ているがこれは脱げる。
検証済みだ。トイレも出来る。検証済みだ。
普通なら大興奮で倒れるところだが全く何も感じない。
転移で賢者になったのか、もしくは立つものがないからなのか?とも思ったがアンジェリカさんを見たときは心に波が立つのが分かった。
なにか精神にガードを掛けられているのか・・・検証できないな。
このキャラクターたちを外せばいいのか・・・外したら付けられないとかなると戦闘能力がなくなるので死ぬしかなくなる。
シャワーの前に立つが・・・使い方が分からない。
シャワーの金具の上にタンクがあるがそれにはなにも繋がっていない。
フロントに頼んでお湯を持ってきてもらうのか?
だったらこんな形にはしないか・・・生活魔法のクリエイトウォーターとヒートかな。
魔法で水をいれて熱してシャワーを浴びる。ここで洗浄魔法をかける。
汚れが取れお湯に流されていく。これが使い方として正解かな。湯船につかりたいな。
目の前に石鹸台のようなものがある。
先ほどから見えてはいたが石鹸台なら石鹸がないのはおかしいな。
それに生活魔法が全員全部使えるかどうかは分からないな。
台に魔力を込めてみる。反応があった。
お湯がまた落ちて来た。
お湯を作る魔道具ということか。
さすがファンタジー。・・・いや・・・台である必要はないな。
ゴブリンの魔石を置いてみた。
少し反応しているという感じだ。
これではお湯が溜まるまで時間がいくらあっても足らない。
専用の魔道具があるのかな。
これも検証だな。知らないはずのない常識かどうか判断できないから聞けないので困るな。
置いてあるバスタオルで体を拭き民族衣装風のインナーを着る。
着るといっても装備変更で一瞬だ。
隣にあるトイレに入ることにする。
ここまでは綺麗だった。
ここも綺麗でありますように。
願いながら開けると・・・そこには洋式の水洗トイレがあった。
タンクが上にあって手を洗う台の下にタンクがない。
上のタンクから落ちた水で手を洗ってその水でトイレを流す構造か。
この世界は全部このレベルなのか。
この都市だけかな。そうならこの都市に一生住む。
下水が装備されているのか。
閃いた。
地図機能でトイレの流れを探知する。
ここが入り口であるとしてダンジョン内を探知と同じ原理だ。
地下をダンジョン方向に下水道が存在するようだ。
ダンジョン前に何らかの設備があるようだ。
その先は分からない。
ダンジョンを利用しているのか?分からないがあとで検証するか。
この都市の想像以上の生活レベルの高さに感動したというか安心した。
明日はアンジェリカさんをまいてダンジョンに直行だな。