2-4.侵入成功
イケメンエルフ領主はアンジェさんの乗った馬もつれて馬車と合流し迷宮都市に移動していった。
「わたしはアンジェリカといいます。よろしくお願いします。クルーソーさん。」
アンジェリカさんはレッドキャップを一か所に集め始めたので私も集めて回る。
ゴブリンは畑に放置で肥料のルールではないようだな。
瘴気が問題になる世界だからアンデッド対策で焼き払うのかな。
「焼却棒はお持ちですか?」
焼却棒ってなにですか?と答えるのはNGなんでしょうね。
死体を焼却する専用アイテムということか?・・・考えたらそうだな。
そのたびに落ち葉や枯れ木を集めるのはありえないな。
「持ち合わせがない。」
これでどうだ。
「どうするつもりだったんですか?」
・・・死体をってことだよな。たぶん。
「魔法でどうにかするつもりだった。」
ファンタジーだとこれでOKと。
ダンジョンに挑む冒険者が魔法を使えるのは確認済みだからこれでいいはず。
「魔法使いなんですか?火魔法?」
あれ・・・ダメなのか魔法使い。・・・いきなりピンチ。
不審者認定で街に入る前に逃亡か。
「その恰好なので戦士なのかと。発動具は?杖?」
ここはどうごまかすか・・・
ゲーム的には装備している武器に魔法攻撃値が高いか低いかどうかだかなんだよな。
「剣に機能が付いてる。」
「その大剣にですか!本当に!見せてもらっていいですか?」
おお・・・どうやら誤解答なようだな。
短杖でも準備しとくんだった。
両手剣でなく大剣というと。大剣を渡す。
「着火」
<着火>
アンジェリカさんが生活魔法を発動した。
「すごいですね!珍しいですね。」
大剣を返してもらう。ぎりぎりセーフなのか?・・・珍しいのか・・・失敗したな。
アンジェリカが10cm位の棒を取り出し魔力を込めレッドキャップの死体の山も手前に置いた。
棒の端から炎が噴き出す円状に踊りだした。
これは低出力の「ファイヤーサークル」を長時間に設定しているのか。
スクロールと同じか。・・・いや魔法の発動はなかった。
魔法詠唱済みで発動しない状態にしているのか。
これだと詠唱しないので習得は出来ないな。
ゲームにはない技術だが有用だ。要研究だな。
数分で焼却棒からの炎は終わったが死体はそのまま燃えている。
どういう仕組みなんだろうか。おお・・脂肪を燃料に燃えているのか。すごいな魔法。
「行きましょうか。クルーソーさん」
二人で迷宮都市に歩き出す。いい機会だ。
いろいろ質問して情報を得たいが疑われないように気を付けなくてはいけない。
ここで質問しても不思議でないのはさっきのイケメンエルフ領主絡みのことか・・・
関わりたくはないが聞いとくか。遠まわしでな。
「領主さんの護衛ということはアンジェリカさんは兵士なんですか?」
「いえ。私は冒険ギルド登録の冒険者です。今回は指定依頼で護衛任務を受けたんです。」
冒険者ギルドがあると。冒険者ギルド登録でない冒険者がいると。
領主から指定依頼?・・・関わらないほうがいいのはこっちだったかな。
さきほどからよく分からない魔力の動きを彼女の目から感じる。
もしかすると鑑定されてるとかじゃないだろうな。
そういう方向の技能を持ってるから指定依頼を受けて今回の案内もその技能があるからとか。
話すのもあぶないとか。質問して質問させなければいいのかな。
「指定依頼ということはアンジェリカさんは腕利きということなんですね。」
「いいえ。私はD級なのでまだまだです。護衛任務といっても主に雑用です。」
D級があると。C,B,Aと上がってSになるんですね。始まりはFかな。
「領主さんは貴族でないと言ってましたがどういう意味なんですかね?」
「アルゴラン様は王国の辺境伯の地位をお持ちですが辺境伯は名誉称号です。迷宮都市は王国に属してはいません。迷宮都市はアルゴラン様の領地になります。」
これはいろいろ難しい問題がありそうだな。
王国に属していない都市の領主が王国の名誉称号持ちか。
やはり関わり合うのはさけたいな。
「迷宮都市はどんなところなのですか?」
アンジェリカは迷宮都市の地図的な話を始めた。
地図技能でそこは分かっているので制度的な話を聞きたかったのだがそのまま聞く。
長方形の城壁があり南西に円形の城壁がくっ付いている。
長方形側の城壁は段階的に追加されている感じだ。
円形の城壁の真ん中にダンジョンの入り口がある。
長方形の北側に領主の館があるとのこと。
そうこうしていると都市の入り口に到着する。
結構な数の馬車が並んでいる。
思ったより城壁もきれいに組まれているし城門もしっかりしている。
これに並ぶぶのかと思っていると
「クルーソーさん。ここは商人用です。冒険者はあっちです。」
馬車の列の先に木で作った柵で区切られた検問が4か所あるが右端は馬車が並んでいない。
冒険者専用レーンということか。そこに立つ兵士に近づいていく。
「アンジェリカさんお帰りなさい。」
有名人なんですねアンジェリカさん。
アンジェリカさんがカードを取り出し机の上にある玉に触れた。
しまった!・・・身分証明問題を忘れてたな。
そう思った瞬間ぴーちゃんが黒いカードを咥えて一瞬出てきた。
黒いカードを手に持つ。何か書いてある。
「「オリジナルハンターギルドカードです。詳細はヘルプを読んでね。最高管理者」」
どこまで本気なんだろうか・・・
兵士が驚いていう。
「おおお・・・ハンターギルドの方なんですね。この判定石に触れてください。」
判定石・・・何も起きませんように。石には何も起きない。
「はい。いいですよ。迷宮都市へようこそ」
なにごともなく入れた。そのまま城壁内に歩いていく。
いまのところ大失敗せずにいけてるな。
「ハンターギルド会員なんですね!すごいです!初めて見ましたハンターギルドカード!」
どうやら壮絶にやらかしたようです。
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