2-3.エルフとエルフとエルフ
普通に爆睡して起きたら日が昇っていた。
今日の朝は蛇いっとこう。
使い魔は多量に食べて飛び立っていった。
まず朝の検証をやっておこう。
アイテムボックス内で錬金術の生木乾燥を行う。
干物にしていた魚も乾燥する。
一部選んだ肉も乾燥する。
MPは時間で回復するようなので回復と乾燥が釣り合うように調節してみる。
出来るようだ。
覚悟を決めて烈風を呼び迷宮都市を目指す。
高度もとらず速度も上げないように指示をだす。
あれは再体験したくない。
ただ速度が遅いとそれはそれで怖い。
地図を地形が反映される範囲まで拡大して飛んでいく。
数十分したところでダンジョンの反応があったので着地する。
ここからは徒歩がいいだろう。
問題はぴーちゃんと烈風だ。
ぴーちゃんは使い魔の扱いがどうであろうがごまかせるだろうが烈風はこの大きさだ。
使い魔が日常に溶け込んでいて巨大な使い魔が闊歩しているなら問題ないがそれ以外だと厄介だ。
アイテムボックス内に待機でもいいが・・・
ソロでダンジョンもぐれてダンジョンが巨大なら攻略時に呼び出せかもしれない。
ただ探知されないとも限らない。
ここは安全策を取って都市に入る時はぴーちゃんのみをアイテムボックスに入れて様子を見よう。
ぴーちゃんならばれても大問題にはならないだう。だといいな。
「出発地のダンジョンから迷宮都市間の間で待機。ただし不用意にダンジョンと迷宮都市には近づかないこと。不用意に戦闘をしないこと。」
烈風は北に飛び立った。
迷宮都市から北には街道が出ていない。
都市の北は森なのでそこから現れるのは不自然だろう。
西は川なので東の街道から入ったほうがいいだろう。
歩きながら都市に入る準備をする。
よく考えたら全く準備してなかった。
まずはお金だな。
ゲームはWEは数万GのみだったがLBは数億G持っていたはずだ。
検索したら普通にあったがゲームごとに一枚一枚だ。
WEとLBとPPを数枚ずつ錬金術で解凍した。
ゲームごと大きさも厚さも違うが金貨のデザインが問題だ。
どう見てもゲームのアイコンだ。この世界の金貨ではないだろう。
金貨を数十枚錬金術で解凍しインゴットを作った。これを換金しよう。
魔物の素材もあるがランクも扱いも分からないからな。
後はオリハルコンの全身鎧をWEのハードレザーに変える。
剣もWEに変える。
その外見で気づいた。鞄だ。
アイテムで鞄を探すと意外なことが判明した。
鞄も全部錬金術で解凍しないといけない。
今のアイテムボックスに統合されていると思っていたがそうではなかった。
LBの64スロット魔法の鞄だけで16*6=96あるのだ。
48スロット32スロット16スロットも多量にある。
ここで問題が発生した。すべて小さい鞄なのだ。
こんなので旅はしないだろう。魔法の鞄だと一発でばれるな。
とりあえず全種類を数個ずつ錬金術で解凍する。
16スロットをダミーで3個体に巻きつけておく。
後はローブをかぶってごまかすしかないか。
街道が見えてきた。
数mほどでジャリで固めた道路がありその両側は草原のようになっている。
普通外から攻められないように街道を広くしないのだがと思ったが魔物たちの襲撃や盗賊の奇襲を防ぐために整備しているのか。
よく見ると木の切り株はところどころある。
草原の森側を都市側に移動する。
真ん中を歩く度胸はない。
いきなり殺意を感知した。
後ろに赤点反応が20くらいある。
地図は定期的に見ていたが白点しかなかったはずだ。
どこから出てきた?隠蔽や気配遮断、魔力遮断を魔物が持っているのか。
剣を抜きながら地図設定を変える。
私への殺意ありの色を変えようか・・・いやそれだと魔物か動物か分からなくなる。
点滅にしよう。
(表示変更 敵意有は点滅)
地図上に変化はない。
この設定は出来ないのかと思っていると点滅した。
魔物がこちらに向かってくる。
ゴブリンかと思った瞬間
<レッドキャップ Lv21>
ゴブリンそっくりだが頭の毛が赤い。
本当は血で染めた帽子じゃなかったっけ。
(プロテクションアップ)(アタックアップ)(ヒットアップ)(スピードアップ)(マジックアップ)
<プロテクションアップ><アタックアップ><ヒットアップ><スピードアップ><マジックアップ>
(マジックアロー)(ファイヤーアロー)(エアーアロー)(ストーンアロー)(ウォーターアロー)(マジックアロー)
< マジックアロー><ファイヤーアロー><エアーアロー><ストーンアロー><ウォーターアロー><マジックアロー>
(縮地)(中段回転斬)
<縮地><中段回転斬>
(マジックアロー)(ファイヤーアロー)(エアーアロー)(ストーンアロー)(ウォーターアロー)(マジックアロー)
< マジックアロー><ファイヤーアロー><エアーアロー><ストーンアロー><ウォーターアロー><マジックアロー>
(縮地)(中段回転斬)
<縮地><中段回転斬>
たしか強いんじゃなかったっけ・・・ただの大虐殺でした。
解体をおこなうといつものごとく魔石と牙を自動でナイフで取り出す。
東から馬が走ってくるのに気が付いた。
白点が都市に移動しているのは探知していた。
第一異世界人との遭遇だが。
出来るだけ目立たないようにして埋没する予定が・・・
最初に会うのが護衛付きの馬車とは思わなかった。テンプレはいらない。
白のハーフプレートに盾と長剣の・・・女性だな。
馬から降りヘルメットを取りながら近づいてきた。
「大丈夫ですか?」
エルフだった。それも超美形だ。
私がいつもキャラクターメイキングで作ろうとして作れなかった理想のタイプだ。
ちくしょう。なんで私は今エルフ娘なんだ。
「あのー大丈夫ですか?」
その瞬間探知魔法のソナーが来た。
「え!」
美形エルフ娘が驚いた。
方向は街道の東側の馬車を含む団体からだ。
ソナーを打つのはこの世界ではどういうことだろう?
敵意有や?
そこにいるのか?
かかってこいや?
とりあえずソナーにはソナーだろう。
「ソナー」
<ソナー>
もともと地図で位置は分かっている。
意外なことに人物情報が判明した。
ソナーを打つと人物鑑定(わたしの場合は分析だが)と連動すると。
目の前のエルフ娘は<聖騎士 Lv10>
こちらにいそいで馬で向かってきている人物が<聖剣 Lv76>・・・もしかしてソナー返しはまずかったか。
その後ろを移動している馬車の前にいる人物は<騎士 Lv26>だがそれ以外はわからない。
目の前のエルフ娘は青い顔をして黙っている。
どうしようか・・・というかどうしようもない。
聖剣Lv76が馬から降りやってきた。
かなり上等な服を着ているイケメンエルフだった。
すごい嫌な予感が。
「こんにちは。初めまして御嬢さん。申し訳ない。うちの部下が旅にも魔物にもなれていなくてね。ソナーを打ってしまった。本当に申し訳ない。」
どうやらソナーを返したのはまずかったようだ。
どう返そうか・・・早く返さないと・・・
「心得た。是非に及ばず。」
おう・・・テンパって武士になってしまった。
というか日本語しゃべってるのか・・・そんな訳ないな。
自動翻訳なんですね。
転がっているレッドキャップを見ながら聖剣がいう。
「本来は街道の魔物を倒すのは我々の義務なんだ。重ね重ね申し訳ない。」
義務と来たか・・・悪い予感が当たる気がする。
「わたしはこの先の領主のアルゴランといいます。お名前を教えてくださいますか御嬢さん?」
くそー・・・テンプレ仕事するなや。いきなり貴族とか。いじめか。
「クルーソー。クルーソーと言います。領主様。」
「領主様はよしてください。見た通り私はエルフだよ。貴族ではないよ。それより怪我はないかい?」
貴族でない?なのに迷宮都市の領主?
「かたじけない。けがはない。」
また返信がおかしくなった。
自動翻訳が正常に翻訳してくれることを望むのみ。
「それはよかった。クルーソーさんは迷宮都市に行く予定だったんですよね?」
「そうです。迷宮に潜りにきました。」
「そうですか。迷宮都市はクルーソーさんを歓迎します。ようこそクルーソーさん。」
これはどう返せばいいのか・・・そう思っていると剣聖がエルフ娘に指示を出した。
「アンジェ。護衛はここまででいい。レッドキャップを処理してクルーソーさんを都市に案内してくれ。」
「承知しました。」
勝手に話を進めるなや。
まあ超美形エルフ娘の案内で都市にはすんなり入れそうなのはうれしいが・・・
領主とかとのつながりはいらない。マジで。