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13-18.イベントはキャンセルできない

舘の中を進んだ先に確かに闘技場らしき場所がある。

普通こういうのって舘に隣接させるんだっけ?

まあこの館は砦のようになってはいるんだが。


「これを身に付けるがよい」


ライラさんからなんか枯草で作ったようなネックレス?を手渡された。

なんか子供のおもちゃと言うか・・・あやしげなオーラが。

呪いのアイテム?


「これはいったい?」

「これを付けておけばこの闘技場内であればダメージをある程度無効化できる」


ほお!それって超高性能魔道具じゃね。

ただここだけでって言うのがネックだ。


「そりゃすごいですね。どうやって作るんですかね?」

「どういう意味だ?」

「闘技場の方はともかくこのネックレスは手作りですよね。それもえらい魔力籠ってますし」

「しらん。婆様が作っているようだがな」


むう・・・コピーできれば・・・て言うかそれだとこの闘技場を掘り起こしてばらさねばならんのか。

流石にそれは無理。

だが・・・まずこれを複製出来ればなんかものすごく世界が広がる気がするぞ。


まずは目視。ぐいぐいぐいと穴が開くほど目視。

これはどうやって組んでるんだ?ていうか材料はなんだ?見たことあるような気がする。

というか目視じゃねえな。魔力を見ないといかん。

と言うことで魔力をみる。前に薬師の婆さんに言われたので視方は分かる。


武技技能<魔力視>


おおおお・・・とうとうスキルとして身に付いたぞ。

めでたい!まあそれはいい。この魔道具の解析だ。

作りもだがこの魔力が謎だな。何故に枯草から魔力が噴き出す?

これは・・・編み方か?なんか魔力がぐるっとかみ合って共鳴しているというか響きあっている。

材質的に魔力が馴染みやすいのだろう。

でこの構造だと魔力が循環する・・・いや?これは魔法陣なのか?

この編んでる草に魔法陣が刻まれてる?いや・・・編み方自体か?

ラインがこうなっていってここにつながる・・・は?これはあり得んぞ。

もしやだまし絵?

いやいやいや・・・実在してるのだからだまし絵ではない。

だがどうすればこんな編み方が出来る?


「これはこうやって首に嵌めるのじゃ」


あ!

首にきゅっとはまってしまった。

は!

魔道具に食いついたら断るタイミングを逸したぞ。

こんなものに見とれている場合ではなかった。

もしかしてこれは罠なのか?釣られたのか?恐るべしライラ!


「これで思いっきりやっても死にはせん」


本当に?マジ?


「ダメージをある程度無効化とはどのくらい?」

「攻撃が当った時に障壁を体の表面に展開する。なので切れたり刺さったりはしない」


なんたる無駄な高性能。そうじゃないだろ。


「ということは・・・打撃は普通に入る?」

「そうじゃ」


むう・・・無いよりまし的な。ここはすべてのダメージを肩代わりとかじゃね?


「打撃が入るってことはダメージ発生しますよね?」

「不慮の事故で首が飛んだり心臓串刺しと言うことは起きないということじゃ」

「どうせならダメージ完全無効化とじゃね?」

「それだと鍛錬にならんじゃろ。ダメージ無視状態で攻撃するのに意味は無かろう」


まあたしかにそうかも。

は・・・なんか見学客がわらわらと。

く・・・完全に嵌められてしまった。


「この首輪はある程度のダメージを受けると効果が切れて壊れる。よってその首輪が壊れたほうが負けじゃ」


分かったよ。やらーいいんでしょ。やれば。


「障壁を体に展開ってことは盾や剣で弾けばこの首輪は発動しないってこと」

「そうじゃ」

「で・・・ライラさんはその恰好でいいので?」


初めて会った時と同じでドレスですけど?


「かまわん。この服はそこらの鎧よりも防御力が高い。それに我らに鎧はあまり重要でない」


そですか。と言うかライラさんいつの間にか黒い剣を持っている。


長剣より一回りデカいが大剣よりは小さい。

ってことでこちらも大剣で対抗・・・は止めておこう。盾と長剣にしておくか。

諦めて闘技場の中に移動し互いに対角線上になるように対峙する。


「ではいくぞ。闘龍!」


武技技能<闘龍>


いきなりライラさんの存在感が増した。こいつは気功術と同じ部類の術と見た。


こっちも準備しよう。


魔法発動<シールド>*10


このルールであれば負けることはない。ハッハッハー


「積層装甲!」

魔法発動<積層装甲>


ほう・・・ライラさんが魔法を使ったが聞いたことも見たこともない。

ゲームには無かった魔法だな。

積層装甲?ディフェンスアップってことか?


「断空刃!」

魔法発動<エアーカッター>


これは詠唱は聞いたことないが発動した魔法はなんとなく分かる。

魔力がこちらにものすごい速度で飛んでくるのが見える。

エアー系はそのままでは見えんのが厄介だが魔力視だと丸見えです。

一歩横に避ける。これで当たらないはず。


危機感知!


げ!

避けたはずだが当った。まあシールドが有ったので良かった。


「螺旋断!」

魔法発動<サイクロン>


またもや初見の魔法だ。

魔力が渦を巻きながら広がりつつこちらに迫ってくる。

一歩横に避ける。これで当たらないはず・・・

もう一歩避けておこう。


ほげ!

この渦直前で急に迫ってきた。


あががが・・・


シールドががしがし削れていくやん。

貼り直さないと。


危機感知!


避けたとたん瞬間黒い剣が側頭部をかすめて行った。

やろう・・・ヤル気満々ジャン?


と言うか剣投げるか普通?

ってことは今は無手だな。強襲するか?

それとも新しい魔法使うのを待つか?


はう?


今黒い剣が2本またもや頭の横をかすめて行った。

脚を止めていたら直撃だったな。


何が無手だから強襲だよ。武器投げたら無手などと言うのは元の世界の常識にとらわれ過ぎだ。

アイテムボックスもあれば魔法の鞄もある。自分が出来ることは相手も出来るんだな。


今のうちにシールドを貼り直しておこう。


危機感知!


それも後ろから?

やべ!これは避けきれん。


武技技能<オートガード>


お!

は!

ふぉ!


あぶねえ!

なんとか弾いた。

楯がパックリ逝きました。

剣もざっくりと切り目が。

ここは刀の零式に武器を交換。


さっきのはその前に避けた剣なのか?

ブーメランしやがったのか!

でもまっすぐ飛んでたよな?

ってことはホーミング機能付きの剣ということか。

そういう魔道具の剣ってことだな。

欲しいなそれ。


剣はそのままライラさんにむかって飛んで行く。

ライラさんは黒い剣を持っている。少なくとも4本は有るということだ。

1本くらいなら売ってくれんかな?


お?


飛んで行った3本の剣はライラさんが持っている剣に吸い込まれた。

飛んでたのは実体ではなく飛剣を生み出す魔道具なのか?

とんでもないものを使ってやがんな。


「避けれるとは思わなんだ。今度は本気でいくぞ」


良くありますね。今度は本気で行く。ダサいですよそれ。


「断空刃!」

魔法発動<エアーカッター>


エアーカッターが4本飛んできた。

ただ左右に2本ずつでこのまま動かなければ当たらない。


「螺旋断!」

魔法発動<サイクロン>


サイクロンは2本飛んでくる。

これも動かなければ当たらんが・・・さっきこいつ迫って来たよな?気のせいか?


げ!


ライラさんの前に剣が円形に浮いている。それも8本。いや・・・そのうち2本は手に持ってる。

ってことは。


6本の剣がまっすぐ飛んできた。

避けると魔法に当るのでこのまま迎撃するしかない。


おら!おら!おら!おら!おら!おら!


かん!かん!かん!かん!


あれ?数が多い。

エアカッターにオートガードが反応した。


あれ?命中するコースではなかったんだが?

というか魔法も撃ち落とせるのかオートガード。


は?

サイクロンが両側から迫ってきた。

と言うことはライラさんの魔法はホーミングしている。

シールドを貼り直す暇はないので全力でバック。


危機感知!


後ろからってことはさっき弾いた剣。迂闊だった。

振り返って迎撃。

おら!おら!おら!


危機感知!


後ろからだと?


重なったサイクロンの中から剣を振りかざしたライラさんが飛び出してきた。


いかん。必中コースだ。頭かち割られる。


うわーん。


全力で剣を振り回す。

ライラさんの剣をギリギリで撃ち落とす。

どうにかなった。


ここは反撃で!

と思ったらサイクロンが!

掠った瞬間シールドが削れていく。


瞬歩でサイクロンから逃れる。


そこを狙ったかのようにライラさんが突っ込んでくる。


「乱舞斬」

武技発動<千手攻>


げろげろ!


凄まじい数の剣戟を捌く。

オートガード万能やな。


どうにか隙をついて反撃せねば!


ひゃっ


あぶねえ!


後ろから飛剣が襲ってきた。

防御だけでめっちゃ忙しい。


今度はライラさんが打ち込んできた。


もし飛剣と同時なら対処がかなり難しくなりそうだがなぜかそれは無いようだ。


と言うことでライラさんの攻撃が終わり飛剣が来る前のタイミングで仕掛けよう。


いまや!


武技発動<下段回転斬>


ライラさんは飛びあがって避けた。

チャンス。

飛んだら駄目ですよ。避けられないからね。うぶぶぶ・・・

跳んで避けたライラさんに飛びかかって零式を叩き込む。


武技発動<空歩>


は?


空中を撥ねやがった。


こちらの攻撃が完全にスカされた。


やべ!

私の後頭部にむけてライラさんがケリを入れようとするのが見えた。


その後ろには旋回している飛剣が見えた。


てことは・・・こうだな。

こちらに蹴り込んで来た足首を抱え込んで地面に叩き付ける。

ライラさんは受け身を取ったが体勢が崩れている。


そのまま片腕で零式で突く。

このルールなら一発入ればいい。

ライラさんの手前で零式が止まった。


これは・・・魔法のシールド?

そのまま押し込む。

よし!シールドをぶち抜いたこれで・・・

あれ?

また止まった。

魔法のシールドは普通複数貼れないはず?

完全に零式が止まった。


体勢を立て直したライラさんがすさまじい速度で距離を離した。


しくじった。

と言うのか今のはなんだ?

これが積層装甲ってやつか?

通常なら複数貼れないシールドをキャラクターたちが貼るのでチートだと思っていたがなんてことない。

そもそもそう言う魔法が存在した。


おっと。ライラさんが肩で息をしている。

今がチャンス。

突貫するのみ。


「闘龍鬼!」

武技技能<闘龍鬼>


ライラさんから先程とは桁違いのオーラが噴き出す。

やばい!

罠やった。誘い込まれたんや。

エビぞってぴょっこぴょっことバックする。


「水よ水、我の魔力を纏い」


何か詠唱し始めたぞ。

詠唱するってことは先ほどよりも格上の魔法を使う気だ。

ヤル気まんまんやん。殺意を感じる。


これはいかん。

ここはバックれることにするか。


「そこまでだ」


ほ?

族長が試合を止めた。まあ助かった。


「なぜじゃ?まだ戦える」

「力を見るのであればこれで十分だ。それにその魔法を使えば戦う力は残るまい」

「しかし!」

「良く見ろ。クルーソー殿は汗もかいておらんぞ」


キャラクターに汗をかくという状態異常はないんだ。すまないな。

ライラさんは何も言わず去って行った。


「族長の血とはその程度か?竜人族がこの程度と思われは困る。我の挑戦を受けてもらおう」

ち・・・変なのが沸いてきた。めんどくさす。

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