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11-3.いい穴掘った

「何故に銃について知りたい?」

「現状我々が使えるの軍事力は我々自身とゴーレムですじゃ。もしゴーレムの能力を引き上げられるならそれは願ってもないこと。クルーソー様が銃の試射をしてると言うことで参りました」


銃について突っ込まれる可能性を考えなんとか誤魔化そうとしていたら使い魔が釣れたでござる。

こちらはどう誤魔化すか・・・

逆か。使い魔なので正直に利点と欠点を説明すればいい。


・・・


銃が凍結されているって所からになる。

最高神の加護・・・というか私が転移者ってことからか。

すけさんは私のことを最高神の使徒と言っていた。使徒ってことにしておくか?

いやいや。使い魔は身内だ。

・・・そうだよな?

む・・・少し疑問があるが身内。


「銃について説明する前に言っておかねばならんことがある」

「・・・」

「わたしは最高神から加護を貰っている。理由は私が転移者だからだ」


さて・・・どう出るこいつら。


「そうですな」


ほ?


「驚かない?」

「知ってますからな」


なんですと。


「ぴーちゃん様より説明を受けております」


なんたること。

となると・・・数が無いんですよねでいいか。


「銃とやらが多数凍結されて眠っているとも聞いておりますぞ」


言う前にダメだったと。

決めた。運用目的に沿って銃は作られる。てな感じでいこう。


「では銃について説明しようか」

「お願いしますじゃ」

「大前提として私が元居た世界は魔法が存在しない」

「ほ?」

「あり得ませんぞ」

「今ならそう思う。地に満ちる魔力が微小過ぎるのでほとんどの人が魔力を感じないのではと思う。もしかしたら魔法を使える人はいたのかもしれないが・・・地に潜っていたのか表には出ていなかった」

「魔法使いの数が極端に少なければその状況はあり得ますな」

「その環境で生まれた銃とこちらの銃はそもそも成り立ちが違うんだ」

「そうですな」

「一番の違いが・・・農業革命だ」

「は?」

「こちらの世界では起きてないようだがが私が元居た世界では科学技術の発達に伴い農業革命と言って農産物の収穫量が大幅に上がったんだ」

「それと銃がどのような関係が?」

「まあまて。説明する。科学の発達で農産物の収穫が増える。それによって農業に携わる人間の必要量が下がる。つまり国全体を食料だけで見れば余裕が出来たわけだ」

「科学技術の発達で今まで職人が手で作っていたものが機械的に作れるようになった。これにより物が多量に生産できるようになった。これが産業革命だ」

「先ほど余剰になった農民がそこの産業に移動するのですな」


さすがに理解が早い。というかそんな話だったっけ?まあいいや。


「そうなる。そこで問題が起こる」

「ほう?」

「もともと農民は先祖代々その農地で生まれ死ぬ。その者の根っこは農村にあって農村のしがらみにとらわれて生きていく。だが・・・村を出て街の工場で働くとそのしがらみや村の因習から解放される」

「別に問題はないような?」

「しがらみがないってことは・・・今までの習慣や風習を捨てたり破壊することが出来るということだ。金銭的に余裕ができて知識を蓄えた彼らは中産階級という階層を作って最終的に王朝を打ち倒すことになる。これが市民革命だ」


なんか違う気もするがまあいだろう。ばれないからな。


「なるほど・・・商人が力をつけすぎて代表制になったようなものですな」


それはどうだろうか・・・よく分からん。


「まあ詳細ははしょるが表向き国家の主権が国王から市民に移ったわけだ。実際は貴族の下剋上なんだけどな」

「下剋上?」

「市民が国を運用は出来ないだろ?選挙で選ばれた代表が市民を代表して国政を操るが・・・そいつらはもともと国営に関わっていた連中が多いんだ」

「まあそうでしょうな。役人は長期間の訓練が要りますからな」

「で銃なんだ」

「ほお?」


しめしめ。いい感じで誘導で来ているな。


「普通王がいて貴族がいる。軍事は彼らの特権だよね?」

「そうですな」

「軍人は貴族の一因かまた別の階級だが市民より上だよね」

「貴族階級のことが多いですな。軍人も長期間の鍛錬が要りますから」

「そうだけど問題は主権が市民に移ってるんでってことなんだよね」

「?」

「主権が市民の物なら国家防衛の義務も市民の責任になる」

「まあそうですが・・・無理ですぞ」

「そうだね。市民に軍の指揮は取れないの元貴族の軍人が軍の指揮は執るしかない。でも兵士は市民でなくてはいけない。というかそうでなければ国王を引きずれ下ろせない」

「・・・」

「君らの考えは分かる。訓練を受けていない市民は軍隊として機能できないってことだろ。ぶっちゃけ相手を殺すってことだからな。それをどうにかするのが銃ってことだ」

「といいますと?」

「元々銃はあった。高性能の遠距離攻撃の武器だが高価で使い勝手が悪いという感じだな。ただそれが大きく変わった。産業革命で」

「高価であることは解決するわけですな」

「そうだ。多量に銃を作る。それを市民に渡して最少の訓練を行えば軍隊が出来る」

「役立つとは思えませんが」

「私が元居た世界は魔法が無いんだ。軍人であっても市民であっても発射された弾の威力は同じなんだ」

「あああ・・・だからあの威力と言うことですね。相手が魔法で防御することはないと」

「そうだもんさん。当りさえすればいいんだ。最悪前に銃を向けて引き金を引ければいい。当りさえすれば訓練が足らなくても相手は死ぬ」

「普通なら過酷な訓練を積み重ねないと戦うことは出ない。だが引き金を引くだけなら。それで威力が同じなら」

「まあ実際には十分な訓練を受けたほうがいい軍人にはなる。だがそれよりも重要な要素が出来てしまったんだ」

「それは?」


どうやら引っかかったな。ちょろいな。


「武器の優位がより影響があるってことになった。よりいい銃を多量に装備できるかどうかが重要なのと・・・どんだけ多量の弾薬を軍に供給できるかってことが軍の強さの重要なポイントになった」

「剣や槍と違って・・・弾薬がないと全く戦闘能力が無いってことになりますからな」

「そうだ。産業革命で銃も弾薬も多量に作ることが出来る。だが相手も同じだ。莫大な人間が銃を持って多量な弾薬を消費して撃ち合う。そういう運用を元にしているのが私が持っている銃になる」


嘘八百だがなんとかなりそうだ。あと一押し。


「私はゴーレムに長距離攻撃手段を与えることを銃で行った。これには欠点が多数あるんだ。分かるね?」

「相手が防御魔法をとなえないのが前提なので威力が少ない」

「まずそれ。前にもんさんに撃ってもらった拳銃と言うのがあるんだが・・・あれは命中率とかの問題があるが近距離なら人に致命傷を与えることが出来るはずなんだ。だがこちらでは出来ない。なので1つ上2つ上の威力を持つ銃を投入しないといけない」

「あとは?」

「この世界には産業革命がない。銃はともかく弾薬を急速には補充できない」

「錬金術でどうにかできるのでは?弾薬を作る機械とやらをつくるとかは?」

「錬金術でもいける。が材料があればだ。産業革命は作る機械だけじゃないんだ。材料を多量に格安で入手出来て高速で運送と言うところからやらないといけない。私だけががんばってもどうしようもない。鉛や銅。火薬の材料が大量に格安で手にはいる体制を構築ってことになるんだ」

「つまりどういうことー?」


まーちゃんが飽きて来てるな。


「銃は継続的に使用できない。弾薬がすぐに尽きるから。とんでもなく危機的状況でないと使えない。それも無駄弾を撃てないのでもともとの使用状況とは違う使い方になる。ゴーレムはほぼ百発百中なのでどうにかなってる」

「そうですか・・・」


なんかすけさんががっかりしているな。


「どうした?すけさん」

「ぴーちゃん様よりこの本を与えられたのです」


それは・・・戦略ゲームに付いていた副読本。

日本海海戦から太平洋戦争、1次大戦から2次大戦までのある程度有名な会戦について説明が載っている。

キャンペーンも出来たがマップを選んでのゲームも出来た。

そのマップについて理解を補助する本ってやつだ。


「これについて学んでいます。これを読み込めば銃の有効運用が出来るのではと思いまして。それともしかしたら戦略戦術の技能が身に付かないか」

「本読んで技能が身に付く?」

「戦略戦術は貴族の軍人が持っていることが多いです。血筋で発動するというものもいますが私は知識系のスキルなのではと思っています」

「どう考えても知識系だと思うけど・・・戦略戦術は習ったり教えたりしない?」

「私の知る限り有りません。なので知識を一族で独占しているのではと」

「ああなるほど。でも学問として有りそうなんだけどな。本とかはない?」

「歴史を記載した本としては有ります。がこのように戦略的戦術的に解説を加えた本はありません」

「それはけったいな話だな」

「どうしてでしょうか?」

「こういう戦いでどこかが完勝した。ぼろ負けした。ってことを学ばないってことはあり得ないのではと思ってな」

「それは別で有りますぞ」

「へ?」

「歴史を記載した本ということになりますな」

「そこを戦いだけ切り取れば戦略戦術になるよね?」

「なにをおっしゃいますやら?戦略戦術は味方の軍の攻撃力防御力が上がる。敵は逆に下がるというパッシブスキルですぞ?」

「はぬ?」

「ですのでこのスキルの持ち主と戦うのは避けるか大軍で当たるという対策を取ります。もし国王クラスが高レべルスキル保有者だったりしたら手が付けられませんな」


まさにゲーム的な効果が出るんですな。


「ですので・・・ゴーレムたちを使ったここの防衛を考えても戦略戦術を取れればかなり違います。なのでこの本を読んでおったのですが」

「それならその本はあまり適してないかも」

「どうしてですじゃ?」

「なんというか・・・その本って戦略的にというか戦術的にこうするべきだった。これがまずかった。って書いてあるよね」

「そうですな。それが戦略戦術なのでは?」

「まあそうなんだけど・・・説明は難しい。そこでこうするべきだった。これがまずかったは後知恵なんだよね」

「そうですがそれでいいのでは。たしかにこう動いたから負けた。こう動くべきだった。訳ですじゃ?」

「まったく同じ戦いが起こるのであれば・・・そうなる。こう動け。その動きをするな」

「全く同じ状況は起きないと」

「似たような状況はあるかもね」

「それ以外では役に立たないということですな」

「そういうこと。それにだ・・・こうだったからこう動くべきだった。この動きがまずい。ではないんだ」

「ほう」

「そのような状況で何故そう動くことを判断したのか?が重要なんだ。全部終わった後でここの時はこう動くべきだった。は誰にでも言える。その時その場所にいたとしてその判断が出来てしかるべきだった。のか?ってことだ」

「結果を知っている訳ではないですからな」

「つまりその判断をしたのが司令官本人の人格や才能によるのならどうにもならん。そのようなものを司令官にしない対策がいる。もし情報が足らなかったのならば・・・索敵部隊を強化する。諜報機関を拡大する。となる。その時にそういう判断をしたのにはそれなりの理由があるはずなんだ。それを無視して最良の判断をしなかったと言ったところで役には立たない」

「ということは・・・この本にある まともな戦車を作るべきだった。艦隊を空母中心にするべきだった。電探を開発するべきだった。も間違いと」


くっそ。結構読み込んでじゃねえか。


「それらはぼろ負けした理由と思われていることなんだ。考え方としては・・・まともな戦車を作れたのに作らなかったのか?どうしても作れなかったのか?を判断と言うことになる。実際は・・・開発出来て作れたかもしれんが上層部が戦車の機動的運用に興味が無かった。予算的に航空機を優遇した。インフラを始めすべての状況が重量が重い戦車を受け付けなかった。となる」

「航空機・・・そっちはそうなのですね。となると空母中心でなかった理由は?」

「空母を中心にしろと言う一派も軍の中にはいた。だが主力ではなかった。まあ軍人は前の戦いに備えて準備すると言われている。その本にはミッドウエイでの戦いで流れが大きく変わったってなってるだろ」

「そうですな」

「とある軍人は空母が4隻くらい大したことないと思ってたそうだ。まあ空母派ではないからだがな。砲の専門家は航空機が戦艦を撃沈しても航空機を下に見ていたそうだ。あれくらい俺らでも出来るってな」


これは本人の手記を読んだときは衝撃だった。


「そんな状況で空母中心に出来るはずもない。そのミッドウエイで空母には護衛がものすごく少なかった。もっと護衛を付けてくれといったらまだ早いと言われたそうだ。もっと功績を積まないと護衛は増やすことは出来ない。態度がデカすぎるぞってことだな。空母は補助艦船で主力はあくまで戦艦だったわけだ」


つまり航空機を主力にしたと思われている人物は実はそうでなかった説。


「結論は大鑑巨砲主義者ばかりだったら空母中心には出来なかった。柔軟な発想が出来ない連中ばかりが上層部にいたってこと。士官の教育の仕方を間違ったって訳だが・・・教育体制はとんべもなく時間をかけて構築される。かなり前からそうなる要素はあったがだれもそれを修正しなかったってことだな」

「しかし・・・それで国が亡びとりますぞ」

「戦いに負けるのは軍人の責任。そうなんだけどそもそも勝てる要素があったの?という戦いであれば勝てる訳ない。生産力が桁違いの国に戦争しかける。どういう戦略で?といえば短期決戦と長期戦を行いつつ同盟国に期待すると来た。で海軍は近海の艦隊決戦仕様なのな」

「つまり戦略は軍人でなく国王やそのレベルの話と言うことですか?」

「そうなるのかな」


さっきの説明だと味方の軍の攻撃力防御力が上がって敵は逆に下がるというパッシブスキルなんだよな。

違う気もするな。


「となると・・・クルーソー様に直で教わるしかないですな」

「へ?」

「いいねーそれー」

「そうですね。我らの強化はクルーソー様の強化につながります」


く・・・

頭から落とし穴にはまったでござる。

めんどくさいな。

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