11-1.殺意があって切りかかったということは反撃で皆殺しに会う覚悟がある
瘴気をモンスターを作ることによって消費する。
モンスターの間引きを冒険者に行わせるためにダンジョン側はいろいろな特典で冒険者を釣る。
じゃなかったっけ?
明らかに私が聞いた話と違うような。
むむむ・・・
ダンジョンマスターには真実を伝えていないのか?
いや・・・もしろ逆!こっちが真実で私の聞いた話こそが嘘?
瘴気でモンスターを作って間引くシステムのほうが胡散臭い。
そういう意味では内容的には嘘をつく必要が無いんだよな。
といって冒険者の滞在時間ってのもよく分からない。
おう・・・
といってここでそれを言うのはまずい。
万が一ダンジョンコアさんが出てくるとハンマー劇場だ。疑問なぞ有りませんと言うまで連打になる。
なんとなく聞かないと。
「ええっと・・・収支の悪化とは具体的に?」
後頭部はいかんよ。死んでしまう。それも巻き込む様に蹴りやがったちくしょうが。
「冒険者の滞在時間が減っているんで使えるポイントが減っているといってるでしょーその耳は飾りですかーそれとも脳が残念なんですかー」
おどれ・・・エルフの耳はたぶん飾りなんだよ。
「冒険者の滞在時間のポイントとは?魔力は地脈から来ますよね?」
「なにを言ってるんですかー?ダンジョンに潜っている冒険者から少しずつ魔力を抜くーそれがポイントーこれが無いとモンスター作成もダンジョン拡張も出来ませんよー維持は地脈の魔力ですけどねー知ってるでしょう?」
明らかに違うな。
「ダンジョンを運用したことはないんで知りません。では・・・どの程度滞在時間が減ったんですか?収支の分水嶺をどの程度上回っていたのがどこまで下がったんですか?というかその時にダンジョン側ってなんか条件替えました?」
顔面に足裏が!ギリギリかわし・・・掠った!くそが!
「どういうことですー?」
そこら辺何も考えてないとかは・・・ないよな?
「冒険者の滞在時間でポイントが入るんですよね?それは冒険者のレベルで変わるんですかね?それとも変わらない?」
「レべルが高ければおおいですよー」
「全体的に滞在時間が下がったのか?それとも特定のランクの滞在時間が下がったのか?とかいうデータはは把握してます?」
「そんなデータはないです―」
超ぼんくらですな。おっと。口が滑りそうだ。
「では滞在時間が下がったというのは・・・ポイントの収入が下がるイコール滞在時間の減少ってことですね」
「そうですよー」
「ダンジョン側で何か替えました?」
「いつもいろいろ変えてますよー」
ポンコツかよ。
「だとすると・・・原因追及は無理そうですね」
く!危ない。蹴るんじゃない。
「役立たずですねー」
お前がな。
「対策は出来ますよ」
「本当にー教えてくださいよー」
なんで?なんでやねん。
と少し思った。
ここがダメになってもよそ行けばいいし・・・あ!すいません。教えますから。
「ポイントの収入で一番おいしい連中っていますよね」
「おいしい?」
「低レベルは数は多いがポイントが低い。高レベルはポイントは多いが数が少ない。ポイントがそこそこ多いし数もそこそこ多い連中ってことです」
「ほうほう」
「その連中の動向を見て・・・滞在時間を増やす方向に誘導する。そのためには連中が好んで狩りをする場所とモンスターを調べないといけません」
「おおおーその場所にそのモンスターを増やすってことですかー?」
「いや・・・モンスターの配置を少し下げて滞在時間を延ばす方向で」
「けち臭いですねー」
おのれ・・・こういうのはけちくさいのをちくちく積み重ねるんだよ。
「モンスターを増やすと目標数を短期間で狩ることが出来るようになるか・・・危険を感じて早めに帰るかになるんだと思います。というかたぶん今まさにこのダンジョンどっちの状態になっているのかと」
実は冒険者の数が減っているとか・・・あり得るかもしれん。
「なるほどですねーではモンスターたちの配置をざっくりいじりますかー」
「弄るのは特定のモンスターだけにしといたほうがいいでしょう」
「どうしてですかー?」
「いろいろ条件をいじるとどの条件でどうなったか分からなくなるでしょ?一つの区で特定の階層だけ弄る。とかで様子を見たほうがいいでしょう」
「ほほーなるほどですねーでーこのトンネルはなんですかー?」
お・・・相談はもういいのか?
「ガス抜きですね」
「ガス―?」
「臭いガスが漏れ出してるんですよ。スライムを運び出すのと同じ理由でガスをここから抜くんです」
「そうなんですねースライムの死骸はどうしましたー?」
「全部運び出しましたよ」
「おおーやれば出来るんですねー」
やればできる子なんです。
「であれば後で水を捨てておきますかねー」
・・・ん?水?
なんかあったような・・・スライム・・・水溶性・・・硝石!
「そう言えば水ってどこに捨てるんですか?」
「ダンジョンの外ですよー」
「外ってどこ?」
「外と言ったら外ですよー」
相変わらず意思の疎通が取れんな。
それって本当に純粋な水ですか?と聞いたら蹴られるな・・・
「水に含まれている成分はどうしてますか?」
「成分?」
どうやら認識してない模様だな。
「貴重な成分が含まれていると思うんですよ」
「なんのーと言うか本当に―」
「たぶんですけど・・・塩、硝石とか・・・」
あとリン成分とか。む?リンは水溶性ではないのか。
「適当なこと言ってませんか―」
「そ・そんあことないっし」
「そうですかーそうはいっても処理するにはー保管しとかないとーいけないしー」
むう・・・このままだと何もせず捨てられてしまいますな。
「ダンジョンに入れとけばいいんですよ」
「何ふざけたこといってるんですかー」
事前のモーション無しで蹴るんじゃない。危ないだろ。警戒してないとマジで危ない。
「水中ダンジョンって無いんですか?」
ここは普通ですよって体で押し通そう。
「なんですかーそれ」
「ダンジョンを半水没もしくは水没にするんです」
「それだと通れないじゃないですかー」
「冒険者ならいろんな環境に対応しろってことですよ。灼熱だろうが極寒だろうがアンダーウォーターだろうが。それにダンジョンコアに通じるエリアなら通れなくていいでしょう」
「灼熱!極寒!アンダーウォーター!うっきょー」
なんか雄たけびをあげてダンジョンマスターがスキップして去って行った。
大丈夫かこのダンジョン?
結局なんだったんだろうあいつ。まあいいか・・・俺のダンジョンじゃないし。
今作った水平のトンネルを走って移動する。
フローティングコントロールとフライの魔法で縦のトンネルを登って行く。
塞いでいた石を押し上げ・・・押し上げ・・・
ふふぉー
やっとのことで石をどかすことが出来た。
いったん上に出てから石で穴を塞ぐ。
そうじゃない。穴を開けてガスを抜かないと。
ここは改良が必要だな。真ん中に出入りできる穴があるがこれは通路用としてこのまま石で塞いでおく。
それよりも小さい穴を大きさを変えて掘削魔法で開ける。それを塞ぐ石を準備して塞ぐ。
これで流量の調整が出来るようになる。
石をはずしてガスが抜けるようにする。
トンネルからでて階段に置いてある石のドアで階段との通路を塞ぐ。
階段を駆け上がり見張り台に出る。臭いはしない・・・よな。
屋根に上ると匂いがする。成功のようだな。
ん・・・こいつってもしかして燃えるんじゃないのか?
燃えるのであれば燃料として使えるのでは?となると・・・実験するか。
ここで燃やせば・・・それはまずいか。ここは見張り台ってことになってる。
階段を駆け下り石のドアをどけてトンネルの穴をすべて塞ぐ。
降りる階段を延長してトンネルの仕切りの下に穴を開ける。
その穴の前に石壁で1m四方の箱を作成する。
箱の上に穴を開けてパイプ状のものを追加して小さな穴を開けてガスが出て来るようにする。
じっと待つとキタキタキタ。なんか来た。
これが火が付けばこいつはメタンもしくはそれに準じる気体ってことになる。
魔法発動<着火>
おお・・・いい感じで火が付いた。
これならランタンとして使えるな。
・・・配管の這い回しを考えたらあまり意味ないか。
そういう意味では魔石を使った魔道具の方が便利だな。
私の建物に関しては私がライトをかけてまわればいいからな。
む?そういえば泊まった宿も貰った家も光る魔道具が有った気がする。
もしかするとライトの魔法を直で掛けるのは普通ではないのか?
・・・誰もが魔法を使える訳ではなかった。特にライトは白魔法扱いだった。
ライトが使えればライトを使う。そうでなかったら魔道具を使うってことだろう。
となると調理用・・・こいつも配管の手間が半端ない。
ガス漏れ問題を考えるに出来ればここだけで使うぐらいでないといかん。
となると・・・温水を作るぐらいか?温水を作って周りに供給・・・圧力問題が発生するのか。
ここの防御塔の上部部でお湯を沸かせば給湯が出来る。
給水管を利用しての暖房も出来るかもしれん。暖房システムを作れば夏は冷房にも流用できる。
それはどうでもいいというか後回しだな。
火を消して火が付いていた穴を塞ぐ。
石のドアを開けてトンネルの中に入る。トンネルの穴を塞いでいる石をどけてガスを抜くとしよう。
いや・・・ガスの利用方法を詰めたほうがいいのか?
捨ててしまうにはあまりに勿体無いような気がする。
んん・・・ダンジョンにガスが流れ込んでいるから今回の工事を始めたのだった。
ダンジョンにガスが流出しないレベルまではガスを抜かないといけない。
地下に巨大タンクを作ってガスを貯蔵するか?ポンプで圧縮すれば液化するはずだから体積は減るはず。
というか冷却しても同じはずだよな・・・
ん・・・トンネルの中から音がしている気がする?
ガス抜きの穴を塞いでいる石をどける。むむむ・・・なんか取れない。
力を込めて石を・・・抜いた。
ん?空気が吸い込まれた?
そんなことは起きないはずだが?
穴を覗きこむと何かが?
炎が渦を巻いていた。
ヤバイ!
そう思った瞬間炎の咢がこちらに向かってきた。
・自分より強いお偉いエルフさんを護衛する兵士さん
フィオレンザとやらの外交使節団が来た。
団長に命じられ領主様のもとに案内することになったが何故かそのまま領主様の護衛まで命じられる羽目に。
ボーと立ってろ。何もするなと言われたがどういうことだ?
ダイゴを即時釈放しろ。
ダンジョコアを破壊しろ。
そうすればここを治める役人として雇ってやる。
・・・こいつは正気か?
ダイゴと言えば暗殺未遂で牢屋にいるやつだよな?みずからテロを行ったと言っている訳だが。
何故かアルゴラン様はニコニコして聞いている。こんな上機嫌なアルゴラン様は見たことが無い。
一体どうしたことだ?
ドゴーン!
いきなり背後から爆音が聞こえた。
振り向くと窓があり巨大な建物が見えた。
何時の間にこんなものが?
上部に見張り台の様なものがあるがその頭頂部から炎を噴き出している。
何かの破片がばらばらと宙から降ってくる。
お?
上空彼方から何者かかが?
手前の地面に何か大きなものが落ちてきた。あれは人?
頭から突き刺さっているが。
は!
殺気だと!しまった。
振り向くとフィオレンザの使者の付き人がアルゴラン様に剣を向けていた。
だがその剣先はアルゴラン様の2本の指に抓まれていた。
「この程度で俺をやれると?なめられたものだ」
剣を付き出した付き人の肘と膝が逆に曲がった瞬間壁に吹き飛ばされた。
使者は腹パンを喰らい壁に叩き付けられた。
その瞬間戸が開き兵士たちが入って来た。
「そいつは牢屋にぶち込んで尋問を行え。そっちは馬車に詰め込んで叩きだせ。馬車には・・・そうだな。
アルゴラン暗殺未遂犯につき手出し不要
と赤文字で書いておけ」
兵士たちは驚きもせず使者と付き人を引きずって行った。
「も申し訳ありません」
「どういうことだ?」
「護衛としての任務を果たせず・・」
「お?そう言うことか。ボーと立ってろ。何もするなと言っただろう。真面目に護衛するから奴らが困っていたぞ?」
「最初からこうなると分かっていたのですか?」
「いいや。だがあの付き人がやる気満々だったからな。仕掛けてくるのは分かった」
なんということ。やる気満々?全く分からなかった。
「まあ・・・おかげで敵の正体も目的も分かったからよかったよ」
「?」
「あの使者は暗殺については無関係だな。やつの話を最後まで聞けたんでいろいろと裏が取れた」
「無関係?」
「本当にびっくりした人間はああゆう顔をするってことだ。こればかりは訓練でもどうしようもない。さて・・・」
アルゴラン様が窓に近づき外を眺める。
「ん・・・何が起きた?」
「見張り台から炎が上がってましたが・・・いつの間に建物を建てたのでしょうか?」
「まあ朝にはなかったな。あそこに突き刺さっているのはクルーソーさんか。あそこであたふたしているのはジーク・・・」
ジーク様が地面に突き刺さっているクルーソー様の前にいる。
「まったく・・・ゴーレムの方が肝がすわっれるな」
ん?城壁側に多量の木材を運んでいるゴーレムたちがいるが・・・
ゴーレムは命じられたことを行うだけなのでは?
「行くぞ。付いて来い」
「どちらに?」
「何が起きたかは分かるが・・・一応事情聴取してクルーソーさんの言い訳を聞かないとな」
言い訳?それよりも・・・生きてるとは思えないんだが?
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