20.狸の皮
気が付くとダンジョンの外にいた。
後ろには洞窟の入り口がある。
なんてことははない。
白い休憩部屋を出ると後ろの洞窟だっただけの話だが恐怖で記憶が飛んでいる。
やさしいダンジョンコアさんの恐怖。
手にはスクロールが握られていた。
とりあえず地図を操作する。
縮図をどんどん大きくしていくと2点白い点が表示された。
地形と地図を見比べてみるとかなり遠い。
さて・・・ダンジョン外ではじめての地図表示だがこの広さに数匹しかいないことがあるのだろうか。
これは敵ということか?互いに発見していないので違うな。
魔物の反応ということか。
だとすると表示範囲が異常に広い。
気配探知や魔力探知と連動しているのか?少し考え念じてみる。
(表示変更 対象 生物)
地図中に白い点が表示され画面が真っ白だ。
(表示変更 対象 魔物)
地図に白点が2つだ。
これは不便だ。
動物だから危険でない訳ではないだろう。
ダンジョンコアさんの説明では魔石のない狼や熊がいるということになる。
検証するためもう一度対象を生物に変える。
縮図をまたどんどん大きくしていくと白い円状になりその外はグレー表示だ。
ここが探知の限界ということか。
これは条件を付けて色変えるとかいうやつだな。たぶん。
(表示変更 魔物を赤)
白の円状に2個の赤点が表示されている。
後は画面が真っ白なのをどうにかすればいいのか。
虫を削除か・・・巨大な虫がいたらアウトだ。
こちらに敵意があるかどうかだと探知した時にはロックオンされた後だ。
大きさで排除だと毒蛇にやられるな。
とりあえずこのまま放置するか。
敵の奇襲に対しては危険感知が働くはず。
地図はその時々条件を変えて見てみる癖をつけるしかない。
使用していない魔法について検証しよう。
バトルイーグルを半殺しにしないといけないが今のままだと瞬殺しそうだ。
出来れば雷系の魔法が使えればいいが。
(ライトニングアロー)
発動しない。
魔法は意思で起きるなら【キャラクター能力】のレべルが低いのは関係ないはずだが。
(シールド)
<シールド>
シールドは使える。
半透明な板が身体の前にあり移動すると板も移動する。
自分の手はそのまま突き抜ける。
(シールド)
<シールド>
(シールド)
<シールド>
透明な板が三枚体の前にあり重ねることもずらすこともできる。
後は攻撃を受けた時にどうなるかだが自分で攻撃できないので試せない。
(エンチャントウェポン)
<エンチャントウェポン>
両手剣がオーラに包まれる。
なにがいるかわからないのでとりあえず強化魔法をかけておこう。
(プロテクションアップ)(アタックアップ)(ヒットアップ)(スピードアップ)(マジックアップ)
<プロテクションアップ><アタックアップ><ヒットアップ><スピードアップ><マジックアップ>
後はバトルイーグルを探すだけだ。
赤い2個の点のうち近いほうの魔物を目視する地点まで移動だ。
飛んでいるところをアロー系の呪文で落とすしかないが一撃で死にそうだな。
移動していると赤い点がこちらにまっすぐ近づいてくる。
まっすぐってことは空中だ。
移動を止め地図を見て方位を確認し空を凝視する。
点のようなものが見えた。
遠見技能表示がでた。
その後その点のクローズアップ映像が頭に浮かんだ。
鷹の目技能表示がでた。
何気に親切だな。
<バトルイーグル Lv27>
鷹の目でも魔物の名前は分かるようだ。
(エアーアロー)
呪文を唱えバトルイーグルを待つ。
射程に入り次第撃ち落とす。
当たり所がよければ即死はしないだろう・・・といいな。
どんどん近づいてくるが魔法が発動しない。
地図上では相当な速度が出ているはずだが実際にはそうは感じない。
(これはもしかすると)
魔法が放たれた時には想像の数十倍の物体がまっすぐ突っ込んで来た。
攻撃魔法を準備する時間もない。
胴体だけで数mあるバトルイーグルがすり抜ける瞬間左足でこちらを掴もうとした。
その瞬間両手剣で切りかかるがこちらの攻撃は当たらずバトルイーグルの足に当たり吹き飛ばされた。
そのまま後ろに合った樹木にぶち当たりそのまま樹木を数本なぎ倒した。
地球でも翼幅が2~3mあったはずだ。
この世界で同じ大きさだといつから認識していた。
まったくもって迂闊だな。
(マジックアロー)(ファイヤーアロー)(エアーアロー)(ストーンアロー)(ウォーターアロー)(マジックアロー)
呪文を唱えバトルイーグルを待つ。
カウンターで切り付ければかなりのダメージを与えれるはず。
魔法が放たれた。すれ違いざまに切りつけようとしているといきなり羽ばたき減速した。
チャンスと思った瞬間ばちっという音がした。
「ほべっ」
全身に激痛が走り勝手に出た妙な声とともに崩れ落ちた。
すぐに立ち上がるが体が重い。
なんらかの攻撃を受けたらしい。
(ファイヤーアロー)(エアーアロー)(ストーンアロー)(ウォーターアロー)(マジックアロー)
魔法を唱え待ち受ける。
今度は敵の攻撃にカウンターでなく縮地でよけて見極めよう。
魔法を放ち縮地で後ろに移動した瞬間稲妻が私を襲った。
「うべは」
稲妻を全身に浴びそのまま後ろに数回転転がった。
体が重くすぐには動けない。
立ち上がった時にはバトルイーグルがもう目の前だった。
縮地で横に移動し稲妻をよけた。
が方向転換したバトルイーグルの右足の直撃を受けまたもや樹木をなぎ倒しながら吹き飛んだ。
環境破壊も甚だしい。犯人は私ではありません。あいつです。
通常攻撃も痛いが耐えられないほどではない。
ダンジョンコアさんのハンマーに比べればだが。
稲妻を食らうと体が動かなくなるので避けきるしかない。
それだとカウンターも攻撃も出来ない。
よくできてるなバトルイーグル。
これは一度逃げるしかない。
地図を見てダンジョンに戻ろうとするが洞窟の入り口がない。
そうしてるうちにバトルイーグルが突っ込んでくる。
今度は遠い間合いで稲妻を放つ。
その稲妻を縮地で避けたところにジャストで合わせて足で蹴られた。
またもや大環境破壊だ。
よく考えればこんだけ樹木なぎ倒してるのによく生きてるな。
この世界に体が順応するために作り替えられているという話だったがこの世界の住民は丈夫なんだな。
稲妻をよけたところを見切っての蹴りを数回食らいながらダンジョンに戻ろうとするが洞窟の入り口が見つからない。
はぉおおお・・・
これはバトルイーグル倒すまではダンジョンには帰還させないというダンジョンコアさんのメッセージに違いない!
ろのまは帰還させない!
のろまはそこで死ねと!
ダンジョンコアさんがそう判断するからには今の私に倒せるということだ。
この状況でバトルイーグルに勝てる方法。中級呪文だが出来るということだろう。
バトルイーグルの接近に合わせ魔法のイメージを高める。
(やれる!できる!やれる!)
というかできないと死ぬ。
いままでバトルイーグルが稲妻を放つその距離の直前で魔法を発動する。
「エアハンマー」
<エアハンマー>
突っ込んで来たバトルイーグルが地面に激突しながら稲妻を放つ。
その稲妻をこえ縮地で前にでてバトルイーグルに切りかかる。
バトルイーグルの胸に両手剣が食い込む。
がすさまじい速度で突っ込んで来たバトルイーグルはそのまま地面をすべっていったため跳ね飛ばされる。
またもや大環境破壊だ。
樹木さんすいません。
起き上がりバトルイーグルのもとに駆けつけると身動きしない。
やりました!ダンジョンコアさん!不肖黒猫武蔵はやりました!
・・・はっ。違う。
そうじゃない。
やったらいかんだろう。・・・スクロールを取り出し唱える。
「使い魔」
スクロールから魔力が漏れ出し足元に流れて行った。
(名前を付けてください)
メッセージが頭に響く。
初回は特別ということだったな…使い魔の情報が画面に表示された。
雀 名前:なし
はっ・・・スズメ・・・
見てみると足元にざっくりと切り傷がある雀がいた。
こちらをジーとみている。
どうやら初回使い魔の呪文は巻き添えを食って足元にいた雀を対象にしたらしい。
目の前でバトル一グルが小さく痙攣している。
こちらも早く使い魔にしなくては。
呪文を唱えると発動した。一発で覚えたらしい。
どうやら雀の命名を先にしないといけないようだ。
「命名 ぴーちゃん」
命名した瞬間ぴーちゃんがくちばしで私の右目を付いた。・・・どうやら喜んでくれたようだ。
切り傷はどうした?・・・治ってるようだな。
使い魔の魔法をバトルイーグルに唱えた。
(名前を付けてください)
使い魔の情報が画面に表示された。
バトルイーグル 名前:なし
「命名 烈風」
命名した瞬間ぴーちゃんがくちばしで私の左目を付いた。
喜んでるようだ。ちくしょう。めちゃくちゃ痛い。
使い魔は最初の魔物に限り強化されるという話を聞いて飛べて戦えて偵察もできるということで猛禽類を選んだ。
バトルイーグルの大きさを見誤ったが奇跡の初回発動のエア八ンマーで使い魔にすることができた。
ここまでは完ぺきだったはず。
上空を旋回するぴーちゃんと烈風を見ながらダンジョンの入り口に移動しながら思った。
なぜに雀・・・
どうしてこうなった。




