表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/536

9-7 心を失う

知りたいこと・・・魔鉄のゴーレムがボコられたところだ。

ミスリルは量は少ないがまあ掘れる。だがオリハルコンって掘れない。


「オリハルコンの作り方教えてください。それか埋まってる場所」

「知らん」


・・・ち。役に立たねえなこいつ。


「何考えてるか顔に出てるぞ」


なんだと・・・脇が甘いのか私。気を付けないと。


「オリハルコンは神鉄を材料に聖気を使って加工すると聞いたことはあるが本当かどうか分からん」


神鉄か・・・新しいワードが増えた。というか亜神なのに分からないのか?


「亜神だから何でも知っている訳じゃねえ。前も言っただろう?特定の分野で突出してなるのが亜神だ」


そういえばそうだったな。では・・・刀術でも学ぶかな。こいつ刀を流行らしたんだった。


「では・・・刀術の真髄というのはどうでしょう?」

「おお。いいぜ」


アイテムボックスから木刀を取りだして武蔵に渡す。


「おまえはものほんでいいぜ」


くくく・・・ここがおめーの墓場だ。

刀の零式を取り出す。


魔法発動<アタックアップ>

魔法発動<ヒットアップ>

魔法発動<スピードアップ>


どたまカチ割っちゃる。

よし!

捉えた。

およよよ・・・ギリギリでするっと避けていくぞ。

刀を無理やり方向転換。

これで・・・!

避けるだと!


あべし!


こちらの攻撃が空を切った瞬間喉に突きが!

授業では突き習ってません。対応できません。


「どうした?どんどんこい」


おのれ・・・三枚に降ろしてやる。

またもやぎりぎりで避けられる。当たりそうなんだが・・・当たらない。


おごご!


顔面突きやがった。フェイスガード付け忘れてた。激痛がすぎますな。


「来ないのか?」

「なんだか遊ばれているというのか差が有り過ぎてどうにもならないというのか・・・」

「そうか?・・・刀術の真髄というリクエストに答えたんだが」

「熟練者が下位のものをいたぶってるのが?」

「お?そう来たか・・・これ以上は手加減できねえぞ・・・どうしたもんか・・・」


は?本気で悩んでるぞ?脳筋めが。これ以上手加減できないだと?


「何のために刀術の真髄を学ぶんだ?」


何を言ってるんだこいつは?


「相手にこちらの意思を強要する力の行使?」

「クラウゼヴィッツかよ・・・それは戦争の目的だろ。こちらの意思を強要できれば戦う必要はないよな?」

「相手がいることなんでそう上手くはいかないかと。強要される側かもしれないないからとりあえず死なないようにしないといけないんで」

「だろ?なのでさっきの技になる。あれが究極になるぞ」

「ほよ?」

「ん・・・分かってねえようだな。相手の打ち込みを最小の動作で避ける。もしくは弾く。その瞬間相手が避けられないタイミングで必殺の一撃を打ち込む。これが戦国時代のとある流派の極意だ。それをやってみただけだ」


そんなのでなくて一の太刀で相手を真っ二つとかがいいんだが。


「なんか不満そうだな」

「格上だろうがばっさりやるとかが知りたいんですが」

「相手よりステータスが高ければ出来る。そういう魔法を使う。しかないがそれが出来る時点でお前の方が格上だろ。同格か少し上ならさっきので勝てる。相手がかなり上でももしかすると勝てるかもしれん」

まあ・・・確実に勝てるのならこちらが格上ではあるんだが。

「その前に・・・おまえそもそも装備からしておかしいな」

「へ?」

「両手剣なのに鎧が軽装だよな?なんでだ?」


ほ?


「おまえ・・・武器や防具の意味考えれば分かるだろ?」


ぶが?


「まず武器を持つ。相手をぶちのめすために。これは分かるな?」

「まあ」

「で・・・相手も武器を持つ。攻撃から身を守るために盾を持つ。急所の頭を守るヘルメットを被る。胸を守る。手を守る。足を守る・・・」


亜神武蔵は私の防具を指差しながら説明を続ける。


「金属が入手さえできれば全身金属の防具で固めることになる。そうすると問題が発生する。相手も全身に金属を装備するようになるんで攻撃力が足らなくなる」


ほう。


「防御力は足りてるので・・・盾を捨てて両手武器を持つ。これが普通の流れになる」


まあ確かに。

あれ?なんか黙ってる。


「どうして革鎧に両手剣?」


そういうことか。


「蝶のようにかわし・・・ざっくりヤル。と言うスタイルです」

「本当にかわせるなら普段着でいいということになる。言ってることがイカレテルぞ」


むむー。まあイケメンエルフもいかれてるから同じになるな。


「こちらは敵の攻撃を受けても死なない。でも相手はぶちのめす。これが武器防具をつける目的だろ?刀術も根本は同じってことだ。さっきも言ったが勝ちたければ装備やステータスを相手より上にすればいい。どんぐりの中から抜き出したければ刀術なり魔法を身に着けるってことだな」

「対人だとそうなりますが・・・魔物相手だと?」

「おう・・・刀は魔物相手には向かないことが多いんだ。どちらかと言うと対人向けだな」

「お?」

「表面が石だったり金属の様だったりするのはあちらこちらにいる。両手剣なら重量でドつくでもなんとかなるかもしれねえが・・・普通刀では切れないだろ?」

「例えば・・・アルゴランさんレベルだと切れますよね?」

「切れるだろうな。お前でも切れるかもしれん。そんなこと出来るまで鍛え上げる時間があればメイスでぶん殴ったほうが早い」


限界まで鍛え上げたほうがいいのではないだろうか。亜神ってそういう話じゃなかったっけ?


「要するに相手にこちらの意思を強要出来ればいいんだ。手段は問わない。戦う必要は必ずしもない。罠でもいい訳だ。最小の労力で最大の戦果を挙げる方法を考えろってことだ」


確かにそうなんだがなんかしっくりこない。


「おっと。そろそろ時間だ。また来る」


そう言うと亜神武蔵は消えた。結局何の役にも立たなかった。

ステータスを上げて装備を良くしろだと。その通りだ。反論の余地はないはない。

だが違うんだ。そういうことではないんだ。


しまった。報酬の話をするのを忘れてた。

また来ると言って言ってたのでその時だな。本当に来るよな?


迷宮都市への移動を再開する。川の西側を爆走する。

都市に着いた時には結構夜が更けていた。

農地の家には帰還せず北の領地に帰ろう。6着革鎧を作らねばならん。朝までに作らないといかん。

領地の西側まで爆走し魔法で空を飛ぶ。そのまま領地まで飛んで着地。


領地側の家で革鎧を作成するとしよう。

家に入り工房に移動する。前回作った五眼猿の皮鎧を取り出す。

これを型として目測で測った女の子たちの鎧を作成する。


おっと。忘れていたエンチャントを行っておこう。五眼猿の皮にエンチャントする。

その後革への加工を行う。これでいけるはず。


何をエンチャントするか?

火が筋力。水が器用さ。風が素早さ。土が生命力。

これは武器の場合だったか?

とりあえず・・・火が筋力で攻撃力アップ。

水が器用さで命中率とクリティカル率アップ。

風が素早さで回避と移動力アップ。

土が生命力でHPアップ。だと思う。

この世界ではどうなるのか分からんがたぶんそうなるだろう。


いろいろ試すとするか。土と風を付ける。出来れば水。4つイケるなら火。

皮を小さく切り取る。


魔法発動< エンチャントアタッチ アース>

魔法発動< エンチャントアタッチ ウインド>


イケた。


魔法発動< エンチャントアタッチ アクア>


おっと。エンチャントがはじけた。もう一度やってみる。

今度は2つ目で弾けた。次。3つ目ではじけた。

もしかすると数こなせば4つイケるか?

いや・・・やめておこう。

土と風でやめておく。それ以上は後でやろう。

土と風をエンチャントした皮を錬金術で革に加工。

革への加工は成功したが・・・エンチャントは飛んでいた。

も一度トライ。

やはりエンチャントは飛ぶ。

これはどうするか?と言って錬金術無しだと皮から革への加工はかなりの時間がいるはずだ。


今回はエンチャント無しで作成しよう。

エンチャント有は時間をかけて作成するしかないのか?

それも込みで錬金術のような気もするんだが・・・・

錬金術とエンチャントの考察は後回しだ。とりあえず皮の加工だ。必要な量を取り出し錬金術で加工開始。


「おかえいなさいませ。クルーソー様」


ほおおおおおぉおおおお・・・


びっくりした。腰が抜けるかと、後ろに立つなとあれほど・・・


ほうううううう・・・


顔を近づけるんじゃない。いきなり骸骨はきつい。


「おおお・・・すけさん。ただいま。というか他の2人は?」


そう言えば帰ってきたときに誰もいなかったな。忘れていたわけではないですよ。


「お二方は森での魔物狩りにいそしまれておりますな」


むむむ・・・魔物が枯渇するのでないだろうか?私だと森で魔物に会わないからいいか。


お!そうだ。あれの正体について聞いておこう。

アイテムボックスから青と白のゴーレム?の残骸を取り出す。


「これって分かる?」

「こ・・・これは・・・」

「知っているのかすけさん?」

「前回・・・流体魔導鎧と言うのがありましたな」


・・・?なんじゃそりゃ?


「まーちゃん様に取りついておったやつですじゃ」


まーちゃん・・・魔族娘か?・・・お!思い出した。あれってどこに行ったっけ。

アイテムボックス内に・・・あった。


「これのことね」

「そうですじゃ。それが載っておった本で見たと思うのですが・・・古代魔導帝国のキリングドールかと」


キリングドール・・・殺戮人形?


「元々は鎧なのですじゃ。なので流体魔導鎧の本に載っておったのですじゃ」

「鎧・・・確かに鎧だけど動いていたんだよね。もちろん人は無しで」

「たしか・・・コンセプトは兵士を強化する。そういうところから始まったはずです」

「うん?」

「普通兵士については・・・トップの実力に目を向けがちですじゃ。国の要ですからな」

「そうね。そいつが城にいる限り簡単には落ちないとか・・・こいつが出て行けば敵陣は簡単に吹き飛ぶとかな」

「兵士の強さは個人の資質ですからそれでは困ると考えた連中がおりました。鎧の内側に魔法陣を装備して魔石で力を強化することを始めました」


パワードスーツってやつですな。


「最初は成果を上げました。兵士の平均を爆発的にあげたということです」

「それなら多量に出回って残ってる気もするけど?」

「作成には莫大な費用が掛かったのでは思われますな。それに魔石を消費しますからな」

「コストが合わないと?」

「そうですな。コストもありますな。ですがじゃ・・・簡単にいうと中身が耐えられませんじゃ」

「なる・・・普通の兵士を強化するのが目的だからね。と言って強靭な兵士はもともと強いからコスパが低下すると」

「人体を強化する方法も試されたということですがな。それはそれで別の研究に分離して言ったようですな」

「よう?」

「そちらは魔道具ではないのでよくは分からんですじゃ」


そうだった。魔道具マニアだった。


「で・・・最終的に禁断の方法に手を出しました」

「人体改造もかなりのもんだと思うけど?」

「そうかもしれませんな。で・・・結局は体が無くてもいいんじゃね?ということですな」

「おう?」

「魔法陣に兵士の魂を焼き付ければ体が耐えきれない問題は解消されるということですじゃ」

「なんかうまく行かない気がする」

「そうです。結局鮮明な意思を持たせることは出来なかったようです」

「失敗作ってこと?・・・でもな・・・これにフルボッコにされたんだが?」

そういえば魔鉄ゴーレムが皆ぼこぼこになってる。後で全部直さないといかん。

「指示に従い作戦を実行できるようなものは出来なかったということです。なので考え方を替えました」

「ほう?」

「見たものすべてを破壊する。そういう兵器にしました。敵の中枢や前線より奥の重要地帯に送り込み暴れまわる。なのでキリングドール」

「たしかにそれだと使えるな。実際に被害甚大だったし。運用がうまく行けばだが」

「そうですな。敵と戦って破壊される。魔石が尽きて停止する。という運用であったらしいですがな。間違うと味方を皆殺しにして手が付けられないということですな」

「なるほどね・・・蟻人族は掘り出しかどうかして入手して起動してしまったってことか」

「蟻人族?」

「蟻人族の本国がアンテッドで溢れかえってな。調査に行ったらこれが暴れてたんだ」

「となると・・・これの調査を依頼されたのですか?」

「いや・・・ハンターが魔物退治の時に手に入れたものはそいつの物だということで貰ったんだ」

「おおおお・・・ということは・・・儂に調査させてくだされ」

「ああ・・・いいよ。ただし・・・この胸の所にある魔法陣には触るなよ。魔力を吸って再起動するからな。ふりじゃないぞ」

「分かりましたじゃ」


すけさんがキリングドールの残骸を持って去って行った。

なんだか非常に不安だが・・・まあいいか。


さて・・・なんだったっけ?

魔鉄ゴーレムの修理か・・・!

そういえば前に魔石をセットできるように改造しようとした時に殴られそうになった。

魔石をセットできる部品を作って組み込みながら修理しよう。

・・・そういえばイケメンエルフへの報告してないな。

明日の朝一でいいか。ゴーレムの改造はその後よく考えてからやることにしよう。急ぐとよくない。

後は・・・なんかあったっけ?重要なことを忘れているような?

まあいいや。覚えてないってことは重要でない。朝まで寝ることにしよう。おやすみなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ