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9-2.おつむに問題がある集団

「私は1番隊隊長の虎一ともうす」


虎一・・・?

おお!翻訳さんの問題ということか。

・・・わたしのターンか。


「私はクルーソーです」

「先行隊は南門から三の丸に移動中に戦闘に巻き込まれたと思われます。我々はそれと同じ順路をたどります」


わたしはアンテッドを倒しに来たのだよ。そろそろレベルアップしたい・・・

はおおおおお!

アンテッドには経験値が無かった!

ゾンビをセイクリットライトで倒した時に経験値は入らなかった。

殴り殺したら経験になるのか?といってあれを殴る勇気はない。むむむ・・・


南門とやらをくぐっていくが・・・中は洞窟・・・ではなく建物の中と言うことか?

違うな。地下にある建物群と言うこと。巨大地下道の様なものか。

天井がめちゃくちゃ高い。30m以上あるのでは。すさまじい土木時術だということか。

蟻人さんたちは全部で60人ほど。結構な速度で移動していく。ジョギングレべルだ。

私は高機動型高機能エルフなので楽勝ですよ。ハッハッハー。

ある程度走ると急に減速した。ん・・・。

フェルナンドさんと3人が遅れている。むむむ・・・。まあこれは仕方がないのか。

4人が追いついてから再度ジョギング開始。

ある程度走ると急に減速した。

4人が追いついてから再度ジョギング開始。

またもや減速と思いきや停止した。


「5分休憩と致そう」


虎一さんイラついてるのがオーラで出てますな。


「散開して警戒しろ」


蟻人さんたちが円形に展開している。

それに比べフェルナンドさんと3人は・・・

フェルナンドさんはともかく後ろの3人は顔色が悪い。というか唇が紫だぞ。


「申し訳ありません。足を引っ張ってしまって・・・」


まあそうなるな。


「一度来たんですよね?その時はどうしてたんです?」

「・・・前回はアンテッドを探しながら進んでいたので・・・ライトを付けながらだったので歩きやすかったというのもあります」


???

おおおお!光源無いから暗闇で見えないという訳だな。確かにそうだった。エルフだと暗闇かどうか分からんな。


「なるほど・・・確かに気が付かなかったですね。すいません」


ライトでも打つか?


「虎一殿。一旦ここでライトを天井に撃ちます。いいですかね?」

「ライト?見えないということか・・・出来ればアンテッド対策に魔力を使って欲しいのだが」


なるほどね。


「それでは・・・ここで一旦セイクリッドライトを打ち込みます。ここを安全地帯にします。いいですか?」

「お頼み申す」


威力は普通。持続時間は・・・ちょっと長め。


「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>


辺りが明るくなる。今まで気づかなかったが道端のあちらこちらに倒れているやつが居るな。

反応はないので死体と言うことか。

セイクリッドライトに反応しないということで有ればアンテッドではないただの死体と言うことか。

忘れていた。地図情報を表示しておかないと。やはり反応は無し。タダの死体。


「!戦闘態勢のまま確認を行え!」


蟻人さんたちがゆっくりと死体に近づいていく。


???

おおお・・・普通は近寄って確認しないと死体かアンテッドか分からないということか。

といってわたしがタダの死体ですよと教えても何で分かるねん?ということだな。

フェルナンドさんと3人も警戒態勢につく。


「君らは休んでてください」

「しかし・・・」

「セイクリッドライトに反応しないのでアンテッドではないです」

「負傷者がいるかも?」


おおお・・・彼らの感覚ではそうなるのか。


「魔力反応も気配もありません。蟻人さんたちも明るくなるまで気づきませんでした。死体と言うことですね」


返事がない。疲れてるんだろ?うだうだ言わず休んどけや。

蟻人さんの一人がやってきた。


「生存者はいません。ただし・・・」

「どうした?」

「先遣隊の隊員を3人確認しました。どうされますか?」

「生存者の救出を優先する」

「彼らを捨て置くというのですか!我らの仲間ですぞ!」


そう言うのは出発前に意思疎通しておけっちゅうの。

隊員のいきり立っているが虎一さんもかなり切れてる。どうする介入するか?めんどいな。

ちら。

こっちみんなや。フェルナンドさん。

・・・このままでは埒が明かんな。


「虎一殿。我らは生存者の検索に来た。なのであなたの意見は正しい」


睨むなや隊員。


「ただしアンテッドが発生している状態で死傷者をここに置いとく訳にはいかないという彼の意見も一理ある」


お前いまそういえばそうだって顔したな!マジか?マジなのか。


「セイクリッドライトが効いている間はアンテッドも近寄らないしアンテッド化もしないとは思われますが・・・」


虎一さんなにか悩んどりますな。


「一小隊ここに残す。この聖なる光の元に死傷者を集めよ。3人ほど走って死傷者の運搬のための援軍を呼びに行け」


兵力を分けたか・・・兵法的には絶対だめだがな。


「先遣隊の隊員はどうするのです?」

「3人と言っただろう。言わんでも分かるよな」

「は!」


先遣隊の死体を担いで3人が走って行った。

やることないからセイクリッドライト追加しておくか。


「追加でセイクリッドライトを打ち込みますよー」


「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>

「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>

「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>


詠唱破棄はめんどくさいな。だが仕方ない。

部隊を分けて先に進む。50mおきにセイクリッドライトを天井にかけておく。

なかなか目的地に着かないな。というかものすごく巨大な地下都市なんじゃね?ここ。

む・・・反応があった。これは?

・・・悩んでも仕方がない。こういう時は


「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>


おごごご・・・死者が多量だな。

装備は今同行している蟻人さんたちと同じなので先遣隊と言うことだな。


「生存者がいます」


そうだった。反応があってセイクリッドライトに反応が無いのであれば生存者だな。結構な人数だ。

生きているのは20人ほどか?死者は80人くらいか。

ここが先遣隊が壊滅した場所なのか?それともまだ先があるのか?

だとしてもこの負傷者を輸送するとするとこれ以上は進めないな。

ここを最前線と言うことにしよう。セイクリッドライトを連射。


「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>

「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>

「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>


これでアンテッドはやってこないだろう。


「クルーソー殿治療をお願いする」


おお・・・そうだった。忘れていた。


「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>


傷は塞がるが負傷者にあまり変化はない。そういえば地図情報で反応に重症度で色を付けられるのだった。

ほぼみんな赤色。私が治療したの人は黄色。

もう一度


「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>


黄色のままだな。他の人たちも治療して比較してみるか。


「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>

「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>


どうやら赤色から黄色にしかならないようだな。

負傷者の治療は終わった。さてどうするか?

負傷者だけ先に輸送してここを守って後発部隊を待つのか。それとも負傷者だけ連れて全員で移動か?

おっと・・・それを判断するのは私ではなかった。


「おお!虎二ではないか!」


虎一さんがなにか叫んだ。虎に数字なのか。兄弟とか。


「おおお・・・伯父貴殿か・・・遅いぞ。待ちかねたぞ」

「すまぬ。生存者救出の部隊編成の許可がなかなか下りなくてな」

「なにを言っておる・・・援軍出来たのではないのか?」

「先遣隊が壊滅したと聞いた。生存者は絶望的と言う話だったのでなかなか許可が下りなかったのだぞ?」

「若年寄が援軍を連れてくると言ったのだ。虎之助に固守を命じたのだ」

「なんだと!ここに虎之助がいるのか!」


おうう・・・事件らしいな。チィめんどくさいな。


「先ほどまでそこら辺にいたのだが・・・」

「申し訳ありません」


おう!いきない転がっていた重症者が起き上がり喋り出した。


「虎之助様は敵に奪われた刀を取り返すと言われ・・・」

「なんだと・・・どうしてそうなった!」

「すまん・・・やつには私がお前の刀を貸した」

「どっちに行った?」

「三の丸の手前の広場にて強力なアンテッドに出会い大被害を受けました。そこに無事だった部隊を引き連れて行かれました」


虎一さんは立ち上がり数秒考え号令した。


「第三中隊。負傷者を輸送して本部に戻れ。残りはここを守り後続を待て」

「虎一・・・なにをする気だ?」

「虎之助を探しに行く」

「我らも行きます」

「これは私のわがままだ。皆を危険にさらすわけにはいかん」


・・・こうやって死人が増えていくわけですな。


「虎一・・・ならばわたしも行くぞ。おぬしの刀をその強力なアンテッドが使っておるのだ」


虎二さんとやらが立ち上がった。無茶しやがって。


「すまんが・・・治癒魔法をかけてくれんか?」


私に言ってるんですかね?反応は黄色だな。


「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>


「おお・・・ありがたい。これで戦える」


反応は黄色。ダメだなこれは。


「パラライズクラウド」

魔法発動<パラライズクラウド>


抵抗に失敗したようだ。虎二さんは沈んだ。


「一体何を?」


何をって言われましても?


「怪我人は寝てろってことですよ。彼の代わりに私が行きましょう。アンテッドを倒しに来たんです。私」

「かたじけない」


まあ

勝手に死なれても寝覚めが悪いし。


「我らもお連れください」

「これはわたしのわがままだ。それでもいいのか?」

「かまいませぬ」

「そうか・・・すまん。おまえたちの命私が貰った」


こちらの人たちっていちいちオーバーだよな。

さて・・・行きますか。


「我らも行きます」


おう!フェルナンドさんと3人か!忘れてた。


「負傷者がいるかもしれません。我々も行きます」


バカばっかりだな。バカの集まり。だが・・・そこにいることに意味があるのだ。

そのままバカ集団が前進する。

定期的にセイクリッドライトをかけていく。

ん・・・なにか反応が?

よくわからい。そんな時は


「セイクリッドライト」

魔法発動<セイクリッドライト>


おう・・・蟻人さんの死体が大量。でも反応があったということは・・・


「虎之助・・・」


虎一さんが膝をついた。

いやいや。何死んだことにしてるねん。反応はある。しんでないはず。

鑑定してみる。ステータスは・・・<死亡>

ではこの反応は何?


「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>

「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>

「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>


「なにを・・・」

「まだ気配はある。まだまにあう!邪魔すんな」


まだ間に合う。僕っ娘がそうだったように。

地図情報の反応は赤!ステータスは<重症>


来た。キタキタキター


「ピュリファイ」

魔法発動<ピュリファイ>

「ヒール」

魔法発動<ヒール>

・・・


十回かけたが黄色にならないな、だが意識が戻った。


「おおお!虎之助!分かるか!儂だ!虎一だ!」

「虎一様・・・申し訳ありません。お預かりした刀を・・・」


そう言うと虎之助は涙を流した。


「いやいい。それは儂がどうにかする。お前は休むがいい」

「申し訳ありません。お願いします」


虎一さんは立ち上がり命令を発した。


「皆虎之助を連れて本部へ戻れ。反論は聞かぬ」


蟻人さんたちは無言で聞いている。


「クルーソー殿、フェルナンド殿。虎之助を頼み申す」


おう?何言ってのこいつ?


「あのー虎一さん?」

「ん?」

「その刀は命をかけなければならないものですか?」

「あの刀は殿より賜ったもの。敵の手にあるのであれば・・・我が命を懸けて取り返さねばならん」


ああ・・・これ駄目な奴な。


「ならばわたしも行きましょう」


さっきからこればっかだな。


「それは・・・」

「言ったでしょう。私はアンテッドを倒しに来たんですよ」


ごのごの言うやな。いまさらイベントからハブるなや。


「ありがたい・・・この恩は虎一の名に懸けて・・・」

「いいってことよ。払いはアルゴランに回すからな」


どうやら重要イベントからの強制排除の危機から脱したようだな。


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