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8-5.過去の話Ⅱ

「と言うかリーダーも黒猫ちゃんもガチ廃人だったんじゃん」


猫耳さんが割り込んできた。ドワーフ娘が連れてきた忍者の弟子だ。まあ装備はドワーフ娘の時に開発済みだからいいんだがどう考えても獣人(猫)のほうが忍者向きだから一気に抜かれるとおもうのだが。猫耳さんと言っているのは私が名前を覚えられない訳ではない。猫の顔の種族もいるということだ。もし猫の顔の種族のプレイヤーが来た時のために猫耳と心の中で呼んでいるのだ。嘘じゃないよ。


「ガチ廃人?」

「あのPPをやりこんでいたんでしょ。考えられないよ」


「どこら辺が?」

「PPやったことあるんだけどさ・・・まず1。相手の攻撃が当たってもいないのに当るんだ。で当たっててもいないのにダウンさせられるんだよ」

「そうかなー」


そうかなだと!まじかリーダー。


「確かにそれはありますね。かつてないほど敵の攻撃の当たり判定は広いですよね。見切ろうとするとするほど当たるんですよねあれ。と言ってこちらの攻撃の当たり判定が広いかと言えばそうではない。どちらかと言うと狭い」

「いやー・・・あれはだな。ここら辺までは当たるんだと体で覚えるものなんだ」


身体で覚えろと・・・マジかリーダー。


「まあ・・・あれはプログラムの問題でしょうね。PPではモンスターの攻撃判定はモンスターからの角度と距離で判定している。見えている攻撃モーションではないということですね」

「それはダメだろ!」


まあ猫耳さん興奮しないで。


「ここ以外ではそれが普通でしょうね。ここでは見たモーションで当たり外れが決まります」

「本当か?」


え?・・・なにを言ってるんだお前は?というかおまえ廃人ゲーマーだよな?


「盾の試作で盾士をやってた時に検証したんですがここでは武器やこぶしのオブジェクト単位で当たり判定を行ってますね。体当たりでもきっちり体のパーツごとに当り判定をとっています」

「ということは・・・お前が大剣で敵の攻撃を受けたり弾いたりしてるのはそういうスキルでなくて狙ってやってるのか?」

「そうですよ」

「と言うか盾の検証のために盾士になったってこと?」


これは小人さんだ。


「それもありますね。そうでないと盾の試作が出来ないじゃないですか」

「だとすると非常に申し訳ないというか・・・」

「いや・・・それは気にしなくていいですよ。両手剣と大盾を同時に持つのをやってみたいと思っていたんで」


おっと脱線したな。猫耳さんが切れそうだ。


「えっとなんでしたっけ・・・PPでダウンさせられるのは状態異常の仕組みなんですね」

「ダウンが状態異常?」

「PPの耐性は装備でしかつけられないんです。つまりダウンやスタンの耐性を装備につけない限り敵の攻撃が掠るだけでダウン。まともに食らうとスタンつまり気絶します。PPは凍結中、麻痺中、気絶中は自分ではアイテムを使えない仕様なのでそのまま死んでしまう可能性が高いと」

「それだと耐性があってもカスダメが溜まって行って気絶しない?」

「異常値の蓄積は時間で減って行くんで合間を開ければ異常値が無くなるんで連続でなければOKですね。連続で攻撃させるとそうなりますね」

「つまり装備が悪かったと?」

「そうとも言えるんですが・・・初期装備にはダウン耐性はないんですよ。それに例えどんだけレベルを上げようと耐性はつかないのでお金をケチって初期装備でレベルを上げようとするとひどい目にあうという罠ですね」

「攻撃しても敵の攻撃に割り込まれる。こっちから攻撃しても割りこめない。というのは?」

「実際には相打ちになるんです。ただこっちはダウンする。あっちはダウンしないで次の攻撃を入れてくるんで見た目割り込まれた感じになる」

「相手がスーパーアーマ―状態なのもその理屈?」

「そうです。初期装備の武器ににダウン値はないんでいくら殴っても相手はダウンしません。まあ相手をダウンさせるのはまず無理な仕様なんでダウンしない装備にするしかないですね」

「ダウンが無理?」

「ダウン値を積んだ武器で殴ってもダウンする前にHPが無くなって倒れるんです。死体をダウンするさせる必要が無い。ってことですね」

「それって説明無かったよね?」

「そうですね。あのゲームはゲームの中で説明がほとんどないんですよね」

「それはネットでまとめサイトを見たりして情報を集めればいいだろう」

「それは違うと思いますね」

「・・・黒猫がネットでゲームの情報を集めないのはさっき聞いたがなんでだ?」

「ゲームの情報はそのゲーム内で収集するのが筋だと思っています。キャラクターが集めた情報でゲームを進めるということです。プレイヤーがリアルで知った情報でゲームを進めるのは違うのかなと」

「お前頭硬いな」

「そう思われるならそれでいいですよ」


おや・・・何故か沈黙が・・・


「その2。プレイヤーの詠唱が信じられなく長い。なのにモンスターの詠唱は短いうえに威力が桁違い。もしくは踏み込むとダメージ&状態異常の魔法陣がいつまでも消えない」

猫耳さんが沈黙を打ち破った。空気を呼んだ・・ということはないか。さっきその1っていったからな。

・・・誰も何も言わねえな。リーダーどうした?さっきまでPP擁護派だっただろ・・・しかたがない。

「まあ・・・あれはそういうもんだと思うしかないですね」

「は?」


切れないでください。


「魔法に関していえば・・・そういう設定だと思うしかないですね。キャラクターたちの魔法は魔物の下位のバッタ物だと。この分野では圧倒的に魔物が優位の設定だと」

「それでもあれはひどくない?」


おっと。ドワーフ娘よ。ここで油注ぐんじゃない。空気読め。


「確かにPPの魔法は初期魔法で詠唱が5秒くらい?長いのは数分とかあるんでゲームの中では長い方ですね。対して魔物は同じ魔法を数秒で唱えるんで明白に魔法は魔物が優位の設定と言うことですね」

「魔物が優位の設定はいいんだけど・・・・あれ酷いよね。壁の向こうだろうが距離が遠かろうが連続で魔法放り込んでくるよね」


油でなくてガソリンをぶち込んできたな。もしかするとヤバい奴なのか。ドワーフ娘。


「・・・まあPPは後ろから近づこうが前だろうが同じ距離で発見されるんで魔物の目線とかは関係ないゲームでしたからね。どこにいようが必中で魔法をぶち込んでくる。それもこっちが単発の魔法を単一詠唱で連続で放り込んでくる。もし魔法が魔法陣の方なら辺り一面ダメージ&状態異常床になる。人によってはイージスシステムって言ってましたね」

「イージス艦てか。うまいこと言うな」


うまいんだが・・・そのイージス艦のターゲットで撃墜される立場だったんで笑えない。


「そうそう・・・あのおかげで床一面状態異常の魔法陣だらけで移動すら出来ない。じっとして魔法が終わるのを待っていると魔物が来てぶん殴らるか蹴りいれられて魔法陣に嵌ってフルボッコで終了になるんだよ」

「あれは・・・一発目はぎりぎり避けて高威力なのか持続なのかを見極める。持続だったら毎回ぎりぎりで回避して魔法陣の面積を最小にするしかないんですよね」


これを覚えるまでが長かった。凍結して殴られて終了や燃焼してそのまま終了、暗闇になってサンドバックで終了。その他ものものは星の数ほどってやつだ。


「おおお!そういう方法もあるのか」

「え?・・・そっちはどうしてたんす?」

「ダーゲットになったやつは走る。それで対処してた。そうすると魔法陣が床に連続で作成されないから移動出来るだろ」

「あのゲームって走るとダメじゃなかった?」

「そうだ。戦闘状態でないとダメージが2倍強。走ると4倍以上だな。死ぬ可能性が高いんだがまあ床状況を取るか復活力を取るかってことだ。最悪復活力は課金でどうにかなるから」


おおおおお・・・いきなりのブルジョア発言だ。あのゲームで復活力に課金するだと?ありえんな。ログインして神殿に行くとタダでもらえる復活力と全く同じでなんの利点もないからな。


「というか戦闘状態でなくてかつ走ると4倍以上ですね」

「ん?走ると戦闘状態でないよな?」

「槍戦士は戦闘状態のまま走れましたよ」

「マジか・・・となるとかなり強いんじゃねえ。さっきの騎士でエンシェントドラゴンに挑むのも槍戦士がいいだろ」

「ターゲットを指定して突撃で戦闘状状態のまま走れるんですよ。その最中に攻撃されるとダメージは2倍強ですね」

「おおお・・・それではどうしようもないな」

「平地で軽量でいい防具があって数揃えれば強い職なんでしょうけど。もしかするとそういうイベントを実装する予定だったのかもしれませんね」


・・・また沈黙が。


「その3。魔物を見つけたときにはすでにこちらに突撃中。盾持ちでも吹き飛ばされる。とにかく避けないと吹き飛ばされる。で立ち上がって反撃すると敵が無敵状態でダメージが通らない。その繰り返しで全滅。あれは?」

「あれは敵の範囲外から攻撃をして逃げる。敵の行動範囲外までそれを繰り返す。敵がそういう嵌め技で魔物を倒すのを禁止するってルールだ」


その回答はだめですよ。リーダー。そういう回答を求めている訳ではない。


「人の話聞いてた?逆のことをやられてるんだよ!」


メモっておこう。猫耳さんは切れるんでやばい。・・・ん?・・・みんな何故に私を見る?これはもうどうしようもないぞ。ここはドワーフ娘さんが・・・なぜにこっちを見る?ちくしょう。おまえ後でくらわすからな覚えとけ。


「まあ・・・あれはシステムの根本的不適合ってやつですね」

「は?」

「結局ゲームなんで・・・ゲームとして成立させるギミックが必要ですよね。そのシステムもいろんな種類があるんですがそれを組み合わせてゲームにするんですが・・・これの組み合わせが悪いんですね」

「言っている意味が分からないぞ?」


え?・・なぜ分からない?


「ではまず順を追って説明しますね。その状況になるのはダンジョンか夜で斥候がいないからと言うことになります」

「どういうこと?」

「パーティに斥候を入れて置くか斥候の探知系のスキルを入れて置けば先に気付くことが出来ます。その場合少なくと奇襲されることはないですよね?」

「先に気付くってどういうことだ?見え方が変わるわけじゃないよな?」

「モンスターの見え方が変わるわけではありません。なのでダンジョンか夜と言うことです。昼のフィールドなら遠くからモンスター見えますからね」

「だったらどうやって?」

「モンスターに近づくと頭の上にアイコンが出ますよねあのゲーム。それが遠くから見えるんです」

「なるほど・・・アイコンが見えるからモンスターがいると分かるってことか」

「そう言うことです。暗いダンジョンや夜でも結構遠くからアイコンが見えますね。まあそれはいいとして・・・こちらが斥候や探知がないので敵の斥候系のモンスターに奇襲される。ここまではいいですよね?」

「ああ」

「敵は純魔法使い系なら詠唱を始める。それ以外ならプレイヤーに突撃します。なので先ほどの惨劇が発生します。で・・・問題はその状態で敵が初期地点に戻ってその間は無敵状態になるということす。勝手に突撃してきて帰っていくのに今攻撃するのは反則ですよはおかしいだろうということです」

「そうそう。そういうこと」


どうやら理解してもらったようだな。


「で・・・システムの不適合ってなに?」


なんだと・・・お前たちギャグの解説を聞かないと笑えない人間なのか?


「ん・・・結局ゲームとして成り立たせるためにゲームでだけ通用するルールみたいなものがありますよね?モンスターが時間でリポップするとかボスと戦うにはボス部屋に入らないといけないとかというよく考えればなんでだろ?というルール。まあPPはどちらもありませんが」

「そういうのがあるのもあるな」

「結局PPはですね・・・そこら辺の組み合わせが悪いんです。フロアの入り口でモンスターがキャラクターを強襲するロジックを組んでいるからキャラクターがフロアに入れずに吹き飛ばされる。ボスモンスターはその場所にいないといけないのでキャラクターがモンスターをトレインするのを防ぐために一定距離で初期値に戻る。でそれを行ったモンスターは無敵状態で初期値に移動するんでこちらの攻撃が無駄になる。モンスターをそこから移動させたくなければボス部屋制にすればいいだろ?ということです」

「そりゃそうだがボス部屋が存在するのも不自然だろ?なのでマップ切り替えがない仕様になっていると思うんだが?」

「そうなりますが・・・モンスターが無敵状態を繰り返すのよりはいいのではと思います。まあこれは避ける方法があるから発生させなければいいだけですけどね」

「斥候入れるか探知を取るか?」

「そうですね。もしくはモンスター配置を読んで先に強襲すればこの現象ははおきませんから。起きなければどうと言うことはない」

「PPはそういう何故このシステムを組み合せしたんだ?と言うのが多すぎるんですね」

「ああ・・・なるほどね。そのシステムなにこのシステムを組み合したらいけないのを採用しているから別のところでいろいろ問題が発生するわけね。あとは?」


「小さいところでいうと落下ダメージですね」

「普通じゃない?」

「落下ダメージがキャラクターだけに適用されるんです。モンスターは落下してもダメージ無しの挙句にいつの間にかテレポートして戻ってくるんですよ」

「確かにそうだが・・・落下ダメージがモンスターに適用されて死んで経験値だとヌルゲーになるだろ」

「落下で死んだら経験値なしでいいのでは?素材の回収もなしでいいのではないかと」

「おいおい。それだと難易度が跳ね上がるだろ」

「良いんじゃないですかね?キャラクターは落下で死ぬけどモンスターはノーダメでテレポートの不可思議状態よりもだいぶマシでしょ」

「いや・・・それだと苦情が相次ぐと思うぞ」

「苦情が来るからモンスターは落下から無敵にするのであれば最初から落下ダメージを実装しなければいいのです」

「それだと落下したのにダメージ無しになるからそれはそれで駄目では?」

「マップに落下する地形を組み込まなければいいのですよ。落下しないのであればそもそも不都合が起こらない。落下のギミックを入れたいけどモンスターが落下して経験と素材が失われるもやだとかいうのでおかしくなるんですよ」

「まあ・・・不公平感を嫌うか・・・経験や素材を取るかなんでここは好みですね」

「ああ・・・昔PPのクランでゲームを辞めたやつが最後に言ってた。PPはシステムも攻撃の前後のモーションも魔法の詠唱時間もすべてがモンスターがキャラクターをボコボコにするために設定されている。かっこいいモンスターがキャラクター相手に無双するのを見せつけるゲームをしているのではない。不愉快だってね」

「まあ・・・ゲームとしてはそうなりますよね。逆の設定にすると何も考えないで攻撃するだけで勝てる作業になりますから。そんなゲームは要らないでしょ?でもその気持ちは分かりますね。PPはとにかくモンスターの行動に隙が少ない。その少ない隙にちくちく攻撃するしかない。なのにキャラクターは一度攻撃されると仰け反りやダウンから回復する前に連続でモンスターの攻撃を受け続ける。最悪20連発とかになって何もできずに死んじゃうとモンスターのいいとこ見るゲームなのか?ってなりますね」


「あのさーいい?」

「はい?」

「私はPPやったことないんでまったく面白くないんですけど。出来ればここの話にしてくれないかな?」

犬耳さんから突っ込まれてしまった。つい興奮し別ゲームの半死で盛り上がってしまいました。すいません。海より深く反省。

「そうだな・・・たしかにそうだな。すまない。なんの話だったっけ・・・そこのエルフの立ち回りがなってない件だったか」

は!・・・しまった。うまいこと脱線していたのに元に戻った。おのれ犬耳・・・策士なのか?やつめ。


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