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6-26.皆さんの視察

・イケメンと婆さんとお姉さんの視察

クルーソーの建てた孤児用の家を見に行こうかだと・・・何を考えてる?

何じゃこの細長いのは・・・美的感覚がないのか?

魔道具で動く窯。

魔道具満載の食堂。

一晩中ついているライト。

4m*12mで一人用。

トイレもシャワーも魔道具。

魔道具も魔道具用魔石も自作。

いかれてるな・・・儂を呼んだわけだ。

おいおい・・・すべて放置か?

とりあえず農地のトイレだけねじ込んでおく。

あやつが異常なのは・・・今に始まったことではないということか。

とりあえず孤児院に行くか。おや・・・こいつらも行くのか?

孤児院には院長のマリーがいた。


「ちょうどよかった。マリー。頼みがある」

「はい。ん?えーとこの方は?孤児院の制服を着ているようですが?」


この女孤児院の職員ではないのか?


「ああ・・・制服だけ借りたんだ。彼女はルーベルトの部下なんだ」


どういうことだ?


「えっと・・・まあこちらへどうぞ」


孤児院の応接室に通された。まあ儂はいなくていいのだろうが聞いておくか。聞きたいこともあるしな。


「でこれはどういうことでしょうか?」

「クルーソーさんの所の誘拐された子供たちの保護と監視のために彼女を借りたんだ。武装していては女の子たちが怖がると思ってな制服を借りたんだ」

「保護は分かりますが監視とは?」

「彼女たちの中にヤバい人物が紛れ込んでいるのではないかということで調査したんだ」

「なんてひどいことを!」

「わたしの考えじゃない。クルーソーさんがチェックしろと言ったんだ」


・・・なぜにそんなことを?


「で・・・何か分かったのか?」

「ヤバい人物が紛れ込んではいなかったが・・・」

「が?」

「みんな優秀すぎる。特にあの子はな」

「セラフィーナのことか・・・確かにしっかりしすぎだな」

「街が襲撃されて流民になった後奴隷狩りに遭ったという話だったが・・・貴族ではないらしい」

「本当にか?あれはどう考えても結構な高等教育を受け取るぞ」

「どうやら本当らしい。少なくとも嘘ではない」


まあこやつがそういうならそうなんだろうな。


「でだ・・・クルーソーさんの所を手伝ってほしい。とりあえずは食材の買い出しだけでいい」

「そうですか・・・分かりました。誰かを送ることにします」

「いや・・・出来れば院長が出張って欲しい」

「それは何故でしょう?」

「設備と言うかな・・・女の子の扱いが異常なんだ」

「それは・・・悪いということでしょうか?それならば」

「いや。常軌を逸して良いんだ。なので他の職員は送らないほうがいいだろう」

「良い?」

「高級宿・・・は言いすぎか。だが広さや魔道具によるキッチン、トイレ、シャワー完備。中の上の宿以上だ」

「中の上?それは言いすぎじゃろ。あの外見はないわー」


ないわー


「たしかにそれはある。君はどう見た」


アルゴランがルーベルトの部下にふった。


「柱は20cm以上で板厚が10cm以上ですべてはめ込み式。天井板も無しで床下は外から丸見えです。防諜対策なのではと思います。侵入は内部からの手引きが必須ですし隠れる場所もありません」

「君らだとそう見るのか・・・わたしはスタンピート対策と見たがな。ダンジョン出口から出てくる小型の魔物ならあれで十分だし中型の魔物でもかなりの時間稼ぎにはなるだろう」

「なるほどな・・・両方を兼ねとるのかもしれんな。そう考えると住居が砦になるわけだな」

「それはまた・・・考えれませんが?」


マリーがそう答えた。まあ・・・見てみないことにはあの異常さは分からないだろうな。


「私にも分からんよ。単純に常識が無いのか?自分はもっといい環境で育ったのか?こちらの孤児院の環境を改善しろと暗に言っているのか?そこら辺を出来れば探って欲しいというのもある」

「ああ・・・なるほど。であれば他には任せられませんね」

「そうだ。ただしくれぐれも慎重に頼む。間違っても刺激しないようにな」

「刺激ですか?彼女はスクロール事件を起こしましたが・・・孤児には優しい方だと思いますが?」


まあたしかに。あれは孤児のことを思ってのことだろうからな。


「それは儂もそう思うぞ」

「その優しさの範囲は全く不明だ。もしかしたらこの都市の全孤児の面倒を見てくれるかもしれんが・・・間違いなく私たちはその範疇外だろうからな」

「こちらの孤児も面倒を見てくれる?そういうことを探れと?」

「そうだな・・・いや。やめてくれ。それは私の方から頃合いを見て探る。私がなにか言って不興を買っても構わないだろうが孤児院の院長だと後々まずかろう。君は優しいが時には厳しい孤児院の院長と言う感じでやってくれ」

「どうした?アルゴラン?えらい慎重だな」

「たしかにそう思うよ。例えれば・・・婆さんは薬師であり戦略兵器でもあるよな。それと似たようなもんだ・・・彼女の矛先がこちらに向かない保証はない」


戦略兵器とはな・・・酷い言われ用だが儂がこの都市を攻撃することはないぞ。

やつは・・・よう分からん。


・領主と魔導兵団隊長と魔導兵団隊員の視察

やっとのことで魔導兵団に入団できました。

最初はメイド修行の名目でやってきてから・・・

何があってもかまわないという実家からの手紙を添えて魔導兵団への入隊を嘆願しました。

そんなものはすべて無駄だったとは思いもしませんでした。

魔法が使えて志願すれば誰でも見習いとして入隊できるとは・・・

ここは貴族であることが全く考慮されないと聞いてはいましたがこれほどとは。

実家からの手紙を偽装したのが無駄になりました。

調べてみると貴族の子弟でここの魔導兵団の隊員と言う人は結構いるみたいです。


今日は隊長のエイレン様と先輩のオクタビア様と一緒に孤児院にむかいます。

オクタビア様は隊長の右腕と呼ばれている方だそうです。

薬師のギルドマスターが魔法の講義をするということですが・・・

薬師?そんなものを聞く不要があるのでしょうか?

!土魔法で講義場を作りました。無詠唱?それにあの方はどこかで見たような?

魔法の区分を否定しました!詠唱も意味がないと!

今まで読んだ本にはそんなことは書いてありませんでした。

あわわわ・・・オクタビア様が薬師のギルドマスターと口論を始めました。

隊長のエイレン様の命令でオクタビア様は兵舎に帰って行きました。かなり怒っておいでです。

銅のインゴッドをヒートの魔法でで溶解した?ばかな!そんなことをすれば魔力が持ちません。

それにどうやって持っているのでしょう?それは先ほどのギルドマスターもですが・・・

!・・・

女の子たちがヒートやアイシングの魔法を唱え始めました。

バカな。そんな・・・こんなことで魔法を覚える?これまでの私の苦労はいったい?

ありとあらゆる知識を学ぶ必要がある?魔法の知識だけ学ぶと成長が止まる?初めて聞く話です。

領主様とギルドマスターとその助手さんが話をするのを聞いていましたが薬師とする話でありません。

それと助手さんはクルーソー様とのことですが・・・どこかで聞いたような?

その後隊長のエイレン様について歩いていると領主様からの叱責が始まりました。


「エイレン・・・どういうつもりだ?なにを考えている?」

「申し訳ありません。このようなことになるとは・・・」

「薬師の婆さんはここで一番の黒魔法使いだ。いや・・・ここらへんの国すべてのなかでもというべきだな。その話を聞ける機会だというのにチャチャを入れるとはな・・・」


?薬師なのに?


「シャハラザード様のおっしゃることはどの流派のどの教典や魔導書の内容ともかみ合いません」


シャハラザード!あの伝説の魔法使い?電撃の魔人といわれた?まだ生きてるの?


「・・・だからお前はダメなんだ。お前はエルフの女性なのに白魔法が使えないが黒魔法には才能があった。だから魔導兵団の隊長を任せた。だが・・・今や魔導兵団は貴族連中の社交場になっている。いや・・・接待だなあれは」


接待・・・たしかにそういう面はいなめない。安全に実戦を経験できる場所を提供してるという意味で。


「この都市で黒魔法の使い手の一番はシャハラザードの婆さんで次がわたしだ。その下はマリアがいて・・・かなり下にお前だな。その差が詰まることもないし下が育っている様子もない」


うそでしょ・・・隊長より上がいる?


「現状ダンジョンの間引きににすら魔導兵団は役に立っていない。雑用をこなすしかないが十分な数もそろえられない。このままではあの子たちにとって代わられるぞ」

「魔法使いを増やすのは困難です。魔法が使える人を集めると貴族ばかりになってしまいますし・・・」

「・・・クルーソーさんがスクロールを使って魔法を覚えさせた話は信じないのか?私の目の前で起こったと言ったよな?」

「え゛」


・・・隊長のエイレン様が真っ青な顔をしてこちらを見ています。なに?


「いいぞ。発言を許可する」


許可?許可が無いと発言してはいけないの?ここは軍隊だとは言われたけど・・・


「私もスクロールで魔法を覚えました・・・」

「え?本当なの?あなたの家ではそうだということ?」

「いいえ・・・十数年学習を行ったのです。有名な先生にも付いたのですが魔法を使えるようにはなりませんでした。すると胡散臭い魔法使いがやってきてスクロールでの習得を提案してきたのです」

「なるほど・・・表ざたにはなっていなかったが貴族の間では行われていたということだな。と言って魔導兵団で魔法の初歩を教えて人数を増やすのは問題が多いか・・・婆さんはこの方法は嫌っているようだしな」

「・・・そうですが・・・孤児に魔法を教えるというのはある意味で画期的です。いろいろな問題が解決するでしょう」

「まあそう思ってやったらうまくいったということだ。であの隊員はなんだ?婆さんに喧嘩を売る度胸は認めるがな」

「オクタビアといいます。魔法兵団の中で実力は私の次かと思います。副隊長にしようかと思っているのですが・・・」

「隊長以上に頭が固い訳だな。まあいい。隊長はお前だ。魔導兵団はお前に任せているのだからお前の好きにしろ」


そういうと領主様は館に帰って行かれました。


「わたしは領主様はもっと優しい方だと思っていました」

「そうね・・・あなた方には優しいでしょうね」

「?」

「アルゴラン様は決して兵に無理はさせないわ。待遇も装備も近辺の国ではあり得ないぐらいいい。成果が上がらなくても叱責もないわ」

「では先ほどのは?」

「待遇も装備もいい・・・それなのに成果が上がらないのは上が悪い。と言うことよ。上とは魔導兵団なら私になる」

「そんな・・それはあんまりでは」

「そう?あれは叱責ではない。嫌味にもならないただの愚痴。わたしは逆につらい」

「え?」

「待遇や装備や制度が悪いのならば対応してくれるわ。それが無いということはそこに問題はない。つまり問題はわたしと言うことになるのよ。でも叱責されることもない。つまり・・・期待されていないのよ。私たちはなにも」

「そんなことはないのでは?」

「アルゴラン様は何でもできる。切り合いで勝てる兵は騎士団にも軍団にもいない。黒魔法は私たちより上。白魔法魔はマリア様が上かもしれないけど・・・救護団の団長より上でしょう。それに聖魔法を使えるわ」


無茶苦茶なような・・・

忘れていた。王都のダンジョンのダンジョンマスターを倒した伝説の人物だった。

普通であるはずがなかった。


「ダンジョンの間引きがうまく行っているから誰も何も言われない。だけど魔導兵団と救護団は問題を抱えているのは確かよ。どうにかしないといけないのは分かっているんだけど・・・」

・・・そんな話は聞きとうなかった。深刻すぎてゲロはきそう。

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