6-22.小糠祝い
さて・・・どうなることかと思ったがどうにかなったな。
ただし最速で宿題を片づけないといけない。
まずはスライムの死骸だな。
これは今から一気に処理しよう。
これからダンジョンに行って・・・その前にいったんアイテムボックスを空にしないといけない。
硝石の分離は終わっているようなので領地の肥料入れに走ってアイテムボックス内のスライムの死骸をすべて入れることにする。
魔道具の件は魔法陣を少しづつ作ってストックしておくしかない。
魔道具のガワは石さえあればいくらでも作れる。
生活水用水はどうするか決めてもらわないと・・・だから風車と言っているのか?
風車を使った動力で生活用水を汲みあげる機構をどこかに作るか・・・
そういえばパン窯を作ったので粉を挽く用の風車を作るろう。場所はパン窯の部屋に・・・それはいかんのか。粉じん爆発はしないだろうが別にしておくか。
あっという間に自分の領地に到着する。肥料入れにアイテムボックス内のスライムの死骸をすべて入れる。
しまった・・・土を入れた後に少し入れるんだった。まあいいか。
さて・・・今日やらないといけないのはまずスライムの死骸の回収。
その後は農地のトイレだな。石と木材の準備がいるので丸太をオリハルコンの大剣で切るか。
良く考えれば一度手で切っていて錬金術で出来るはずなので丸太をアイテムボックスに入れて加工を行う。トイレは昨日作った家の4m*4mの構造を流用して屋根も同じ作りにしよう。
ただし床は高床式にはしないでいい。トイレの構造自体は同じでいいだろう。
建物は4m*4mで2m*2mの個室を2個で1ユニットにする。
そのトイレを見張り台の下に設置。入り口の西側にはそのユニットを2つにして生活用水有にしよう。
石材の予備が無くなっているので掩体壕の床の石を取り出してアイテムボックスに入れる。
違うな・・・今からアイテムボックスにスライムの死骸を入れるので石は領地に置いていくか。
錬金術での木材の加工は・・・続行でいいだろう。
よし。ダンジョンにスライムの死骸を取りに行ってその後にトイレ作成だな。
農地の入り口まで爆走した後ダンジョンまで急ぎ足で移動する。
12区の新規ルートのスライムの死骸が流れ出ている場所まであっという間に到着した。
「アクアブレス」
魔法発動<アクアブレス>
まずは何度も来るのは面倒だからスライムの死骸を一気に回収する。
錬金術で硝石の抽出を開始する。
後は・・・硝石の調査だな。
忘れる所だった。
スライムの死骸に全部含まれるのか?それとも下水が溜まって居る所に多量にあるのか?
「フローティングコントロール」
魔法発動<フローティングコントロール>
「フライ」
魔法発動<フライ>
下水を流し込んでいる空間まで飛んでいく。
ついでなので流れていく死骸の中の硝石の反応を調べていくが変化はない。
下水が溜まっている空間に着たが反応に変化はない。
がここの底に硝石が溜まっている可能せいはあるな。
と言って潜って調べる訳にもいかず・・・どうするか。
おお!
水流の魔法で攪拌すればいい。水流の魔法を使って下水だまりをかき回す。
!私の真後ろに誰かがいる!ばかなこんなところで。
「えい!」
背中に衝撃があり下水にそのまま落ちた。えい!と聞こえた気がする。
ということは・・・ダンジョンマスターか。なにやっとんねん野郎。
まあ仕方がない。一旦底まで行って硝石を調べるか。
反応は同じ。硝石はスライムの死骸に含まれるようだな。
フライの魔法で下水から飛び出る。アクアブレスの魔法を掛けてなかったら地獄だったぞまったく。
「こんにちはー相談あるんですけどいいですかー」
「・・・今えいって言って蹴りませんでした?」
「そうですねー」
「何故に?」
「クルーソーさんだからじゃないですか。聞くまでもないでしょう。それとも剣がいいですか?それだと死にますよ」
全く話が通じてない。あああ・・・いつから話が通じると思っていたんだってことか。
「で・・・本題ですけどーミスリルゴーレムが倒されたんですよーまたクルーソーさんだと思ってしばきに行ったら違ったんですよー」
何故私を疑う・・・蹴られるのが分かっているのに行くはずがないだろう。
「それでーですねー大剣全部と頭と手首、足首を持って行かれたんですよーミスリルの補充が追いつかないんですよーどうすればいいですかねー」
「全部持って行ったわけじゃないんですね」
「そうですねーあれを格納できるのはクルーソーさんくらいですー」
なるほど。
「そうだとすると持って行かれ過ぎでは?」
「人数が多かったんですよー」
「1区のあそこまで団体で来たんですか?そりゃまた凄腕がそろったんですね」
「1区じゃないですよー」
「ああ・・・違うゴーレムなんですね」
「形は同じですが身長は半分位ですねー」
となると身長で4~5mと言う所か。だとしても相当の強さの気がする。
「全部持っていかれなかっただけ幸運じゃ」
みぞおちにつま先がめり込んだ。見えないっすね。ハハハ―
「そんなこと言ってると蹴りますよー」
今蹴ったじゃん。は!これは蹴り以下と言うことか!
「別にどうでもいいのでは?ミスリルが溜まってから修復してからまた出せば」
顎に膝を喰らった。たしかに蹴ってはいないな。
「階層主が長期不在はダメですーそれにまた同じことをするでしょ連中ーまさかぶっ殺す訳にもいきませんしー」
そういうことな。
「ミスリルゴーレム2機体制にして倒されないように・・・はダメですね。思い切って持って行かれた部分は鉄にすればいいんじゃないですか?魔鉄でもいいですけど」
「一部材料の違うゴーレムですかー超ダサいですねー」
元々はおめえの采配ミスだろうが・・てなことを言うと蹴られるな。
「ミスリルの価値と倒す手間のバランスを取ればいいんです。もし連中が連続でやってきてミスリルを持って行っても今のゴーレムにミスリルを補充しなければミスリルの在庫は減らないでしょう?」
「まあそうですけどーその場合魔鉄を持って行かれるんですよねー」
「魔鉄を持って行ったらその部分を鉄に変えればいいでしょう。もし鉄の補充が追いつかないと言うなら石にでもすればいいんですよ」
「おおーなるほどですねーそういうルールにしておけば金属の欠乏に悩まされずにすみますねーそうしてみますー」
そういうと軽やかにダンジョンマスターは去って行った。
いつか頭かち割っちゃる。だめか・・・ダンジョンコアさんにかわいがられてしまう。
フライの魔法で12区の新規ルートの入り口まで飛ぶ。後は急ぎ足で農地の入り口まで移動する。
急ぎ足で移動していると同じように急ぎ足のジークさんとすれ違う。
「ちょっと待った!」
ジークさんに呼び止められた。なんだ?
「ちと相談があるんだかいいか?」
「え。はい」
「おぬしの防具と武器はミスリルを使っておるよな。どこで作ってもらった?」
「?自作ですけど」
「なんじゃと!ミスリルも扱えるのか!」
「あれ・・・言ってませんでしたっけ?職人ですけど」
「職人だと言ってもな・・・まあいい。ミスリルの剣も作れるということだな」
「私の大剣は魔鉄にミスリルコーティングなんですよ。ミスリル100%ではないですね」
「見せてくれ」
魔鉄とミスリルの大剣を見せる。
そういえば職人と言ったのは薬師の婆さん相手だったか。
ジークさんとは鋼の話をしたのだった。
「で・・・なぜにミスリル?」
「実はミスリルが持ちこまれたのじゃがミスリルを弄ったことがあるやつがほとんどおらんのじゃ。儂が作業するしかないのじゃが鋼の剣の多量発注があってのう。身動きがとれん」
ピコーン。
ピンときた。どうにか誘導してというか・・・金に物を言わせてミスリルをゲットするか。
というか鋼の剣の多量発注?
「戦争でもあるんですか?」
「はあ?どういうことじゃ?」
「冒険者が多量に発注しないですよね?だとすると軍隊用になります。新設部隊用ということも考えられますが・・・普通にかんがえれば現状の部隊の戦闘能力を上げるためかと。ここの兵士さんの武器は鉄製ですよね。莫大な金を使ってでも戦闘能力を上げないといけないとなると・・・戦闘が避けられない。もしくは可能性が高いということでは」
「なるほどのう・・・たしかにそう考えればそうじゃな。不自然だなこの発注」
なんか悩みだしたな・・・
「そんな顔をしても発注元は教えんぞ」
「聞かないですよ。聞いても分からないですからね。それに問題ないですから」
「なぜじゃ?」
「ここと敵対している集団に武器を売ってるわけではないんでしょ?」
「・・・まあそうじゃな」
ミスリルに話を戻さないといかん。だが私から話を振ると不自然だな。
「材料持ち込みで武器作成と言うことですか?」
「そうじゃ。ダンジョンでミスリルゴーレムを倒したらしい」
ビンゴ。だがとぼけなくては。
「ほほー。そのゴーレムの場所は?」
「聞いとらん。まあ聞いても教えんじゃろうな」
「まあそうですね。ですが・・・すぐに公になるでしょうね」
「どうしてじゃ?」
「ミスリルをゲットできるのであれば金に糸目は付けない連中がいるでしょう。それに儲け場を秘密にして独占と言うのはよほどのことがないとうまくいかないのですよ」
「まあたしかにな。芯が魔鉄で表面がミスリルなら作れるということじゃな?」
「そうですね。ミスリル100%でも作れそうな気はしますが・・・面倒ですね」
「面倒?」
「ミスリルだと型に流し込んだ後に鍛造するのが無理っぽいんですよね」
「鋳造の後に鍛造?」
「鉄や魔鉄だと大まかな型に流し込んだ後で鍛造して手間を省くんですけど・・・やらないですか?」
「鉄の数打ち品ではそういうことはするが・・・気泡やひけが怖いからな。鋼より上ではせんぞ」
「流しこむ材料の質をあげて温度も上げれば防げますよ。叩かない訳ではないし検査もできますからね。ミスリル100%だとインゴットから叩いていかないといけないと思うんですけど・・・魔鉄よりも多く叩かないといけないですからね」
「原料の質と温度はそうなんじゃが・・・検査はどうするんじゃ?まあ魔道具を使えばいいんじゃがあれは最終検査にしか使えんからな」
「叩いて音を聞くんですよ」
「音か・・・そえういえばそうじゃな。そういえばなぜ表面だけミスリルなんじゃ?」
「ミスリルが希少と言うのはありますが・・・武器としては魔鉄で十分なんですよ。ただ魔法を使うことを考えるとミスリルがいいということで表面を覆ったんですよ・・・折衷案ですね」
「これだとミスリルの量は減らせるが作る手間がすさまじいのう。もしミスリル100%の剣、大剣、小剣を頼んだら受けるか?」
「もともと自分の武器を作るだけなんで・・・というかさすがに今の状況では無理ですね。というか3種類もですか?」
「20人でグループを組んだらしくてな・・・20本頼まれとる」
「ミスリル製を20本作成依頼ですか。金持ちなんですね」
「いや。材料と相殺じゃ」
「相殺?」
「余った材料が作成者の取り分だ」
「そんなに多量にミスリルをゲットしたんですかね」
「こっちの取り分が5分の1になるくらいじゃな」
「それだと割が合わなくないですか?」
「んーん・・・そうなんじゃよな。希少金属なんで高額ではあるんだが・・・作業の手間がな」
「ミスリルでないといけない理由があるんですかね?そうでなければ鋼でいいのでは」
「まあそうじゃがな。ミスリルを手に入れたのでミスリルを使いたいということじゃろう。気持ちは分かるし連中は鋼の武器は持っとるしな」
「それなら魔鉄でいいのでは?」
「魔鉄だとこちらで常備しとらん。それに手間がかかるのはミスリルと同じじゃろ」
む・・・ミスリルゲットから話が遠のいていく。
「そうなんですね・・・大剣と剣ならありますけどね」
「マジか?見せてくれ。というかなぜ持っておる?」
「ゴーレムを強化しようと思って作っているんですよね」
実際は鉄製だったのをジークさんの鋼を真似て鋼にした後に魔力を込めて魔鉄化したんだがな。
「おい・・・これは魔鉄じゃないぞ」
ジークさんが小声で言った。なんですと・・・詐欺師の仲間入りしてしまった。
「これは黒魔鉄じゃぞ」
「黒魔鉄?」
「魔鉄よりも上でミスリルより下じゃ。めったに見ることはない。ミスリルよりな。どうやって手にしてたんじゃ」
魔力で強引に。とはいえん。
「ジークさんの鋼を真似て魔鉄を鋼化したんですよ」
「なんじゃと・・・そんなことが出来るのか。というか魔鉄に鋼の処理か・・・それで黒魔鉄か。鉱石が違うのだろうと思っておったな。いいこと聞いたな」
なんかうやむやになってラッキーだ。
「そうじゃな・・・なんだったか。これを20本準備できるか?」
小剣は作らないといけないが・・・でっち上げればいいのか。
「ストックは有りますね」
「そうか・・・もしこれを売ってくれと言ったら?」
売るのは困るんですよ。
「同じ重さのミスリルと交換と言うのはどうでしょう」
「ああ・・・なるほどな。素材としてミスリルを売ったとしてそんなもんかもな。それで交渉してみるか・・・相手がそれでいいと言ったらそれでいいか?」
「そうですね」
話を詰めるとジークさんは去って行った。
さっきから気になっていたが聞き耳を立てていた奴がいた。
どうやら兵士だったようだがジークさんの後を追って行った。と言うことは護衛なのか?
まあいいミスリルをゲットしたぞ。
何を作るか?全身鎧か?それとも今の大剣をミスリル100%に変えるか?
まてまてまて。あわてるな。まだゲットした訳ではない。落ち着け。
夜にでも冷静に考えよう。その前にいろいろ片づけないといかんが・・・なにやってったっけ?




