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6-12.現実逃避

ナイフでここまでばらせるのか・・・そうでなくて。

もともと復讐でイカレていたがその元はマッドな技術者だったのか・・・

というかそうなるか・・・私の脇が甘かった・・・

気を取り直して立ち上がる。


「何やってるの?」

「この20mmバルカン砲VADSを解体して構造の調査をしておりますじゃ」

「ここまでばらすと元に戻せなくね?」

「構造を解析できれば元に戻すことが出来るはずですな」

分解して仕組みを完全に理解すれば戻せる。確かに機械ならそうなるけど・・・


足元にカメラ部の残骸があった。アイテムボックスに収納して錬金術で修復をする。

全力で修復をかけるとレンズ部やケースは修復できたがICチップは修復できない。

ICチップの構造で知っていることは・・・小さなトランジスタと抵抗が多量に入っているはずだ。

その程度の理解では修復できないのか・・・それともこの知識はまちがっているのか?

それとも作り方を知らないといけないとか・・・ICの作り方なんて知ってる訳がないんだが。


「我が主!勝手に触らないでください。ばらした順に置いているのですぞ。戻せなくなりますじゃ」

「も・・・もうしわけない」


これって俺が謝るとこ?もとの位置に部品を戻す。


「今の踊りは?」



「なに?」

「今踊りを踊っておいででしたが」

「誰が?」

「我が主がですじゃ?」

「わたし?」

「そうですじゃ」

「マジで?」

「そうですじゃ」

「そうですじゃ」


アンテッドがのり突っ込みだと。

それより・・・踊り?


「こういう感じですじゃ。膝を曲げ背中を丸めて腕を前にだし指先を上に向けてパタパタ振って」


そう言うとその踊りを実演した。


「それと同時に ほよほよーほよほよー と言っておいででした」


ほよほよーほよほよーだと!

邪神の召喚でもするのかと言う感じだが。私何かやったっけ?

20mmバルカン砲VADSの残骸をアイテムボックスに収納して錬金術で修復しただけだが・・・は!

もう一度部品をアイテムボックスに収納して錬金術で修復する。


「今踊ってた?」

「それですじゃ」


錬金術なのか?いままで人前で行ったことはないから・・・

いや!孤児院でポーション作った!薬師の婆さんの前でも!

もしやあの時も・・・膝が震えてきた。・・・いや。

さすがにその時になんか言われるだろう。

部品を床に置いて錬金術で修復する。踊ってないよな。


「おお!我が主も錬金術が使えるのですな!」

「今は踊ってなかったよな」

「そうですな。それより錬金術ですじゃ」

「落ち着け。錬金術は使える。ちょっと見といてくれ」


もう一度部品をアイテムボックスに収納して錬金術で修復する。


「踊っていた?」

「そうですな」


同じ部品をアイテムボックスから出して錬金術で修復する。


「踊っていないよな?」

「そうですな。今のは?」

「アイテムボックス内で錬金術を使うとMP消費が減るんだ。だが本人には自覚症状が無いが変な踊りを踊っているみたいだな」

「アイテムボックス内で魔法や錬金術を使うのは不可能ですじゃ」

「本当に?個人差とかじゃね?」

「アイテムボックスに外部から干渉は不可能ですじゃ」

「自分のアイテムボックスに自分でだよ?」

「聞いたことありませんな」


そうなのか・・・いまさらだがもしかするとアイテムボックスでないのかも。

ゲームのキャラクターの技能なのか?


「というか・・・『も錬金術が使えるのですな』ということはすけさんも錬金術を使える?」

「そうですな。申し上げてなかったですかな・・・」

「錬金術が使えるから気前よくここまでばらしたと」

「そうですな。構造をすべて理解すれば修復できるはずですからな。修復できれば複製出来ますからな」


そこら辺のルールは同じのような気もするが・・・

とりあえずこの燃料臭いのをどうにかしないと。これは軽油なのか。ガソリンと思ったが。

燃料タンクが燃料入りで床に置いてある。外してある蓋を取り付けて燃料管を潰して塞ぐ。


「これは中身が揮発するんだ。密閉状態にしておいてくれ」


揮発している燃料をどうにかできないか・・・錬金術で回収。

おお・・・出来るもんだな。

ん・・・燃料臭さは消えたが違う匂いが・・・これは火薬が燃焼した・・・ん?

壁に何かが。これは銃痕?

すけさんが目をそらした。ほほー・・・


「ち・・・違うのですじゃ。勝手にですな・・・」

勝手に・・・

「ああ・・・装弾されていたのが発射されたのか。それはすまない」

「申し訳ありません。これからは気を付けますじゃ」

「いや・・・時間が無かったので説明しなかったからな。次からは装弾されてないか確認する」

「で・・・どういう感じまで進んだ?修復できそう?」

「まだまだ始めたばかりですな。これからですじゃ」


私には無理だが専門家だと出来るのかもしれない。


「久しぶりではありますがいけると思いますな。多量にやってきた実績がありますからな」

「魔道具を多量にばらして複製してきたと?」

「そうですな」

「金に物言わして魔道具を集めたとか?」

「それをやると魔道具の値段が上がりますので・・・借金の担保にしますじゃ」

「それだと手に入らない可能性があるような?」

「裏から追い込んでやるのですじゃ。魔道具はこちらのものですな」


おう・・・どこかの不動産のようなやり口。まあいいか。

何しに来たんだっけ?


「聞きたいことがあったんだ。船用の魔法について聞きたい」

「はい」

「今回戦った帆船が帆無しで急旋回したんだ。なんかそれ専用の魔法があると思うんだが知ってる?」

「たぶんその魔法は知ってはいると思いますが・・・その船は魔道具を使ったと思われますな」

なぬ・・・

「魔道具でも魔法でも同じではありますがよほどの緊急時でない限り魔法使いが魔法で船を動かすことはないと思いますな」

「なぜに?」

「そんなことをすればすぐに魔力が尽きます。魔道具を使っているのが自然でしょうな。魔法使いが多量に動員できて魔石を使いたくないのであれば別ですが」


言われればそうだな。


「ではその魔法は使える?教えてほしいんだが?」

「使う必要がありませんでしたので唱えることはできませんな。魔道具も知識として知っているだけで実物はほとんど見たことがありません。内陸に都市があったので需要が有りませんでしたからな」

「そうか・・・作ったことが無いと。魔道具として作ったことがあるなら唱えられたということか・・・」

「なにをおっしゃいますやら?魔道具が作れても唱えられないですぞ?」

「魔導具の魔法陣に魔法が刻んであるからそれを唱えればいいよね?」

「魔法陣に何が書いてあるなど分かりませんぞ?」


はぬ?


「魔法陣には魔法の詠唱が書いてあるよね?」

「ご戯れを・・・あれは謎の記号ですじゃ」

「読めるんだが?」

「そんなことはありえませんな・・・もしかすると我が主は魔道具鑑定の技能があるのでは?」


ん・・・たしかに。すべての鑑定を含んだのが分析だからな。


「その魔導具がどの機能があるのか起動せずに分かるということではないですか?」

「ああ・・・そうかもしれない。魔法陣が記号と言うのは?」

「いろいろ研究はしましたが解読は出来ないというのが研究者の結論でしたな」


魔導具作って儲けてたんじゃなかったっけ?


「だとすると・・・魔法陣はどうやって作った?そういう都市だったんだよね?」

「魔法陣を完全に複製して作るだけですな」

「以前あの銅製の魔法陣を複製したんが全く動かなかったんだ」

「その銅の魔法陣は保護材ですな。実際にはそれの中に魔法陣があります」


はぬ?


「ミスリルを金でコーティングした糸で魔法陣を作ります。そのままでは加工できませんので銅の板で挟み込みますじゃ」

「その魔法陣の形が銅板と同じ形では?」

「違いますな。それより複雑な図形になります。銅板に図形があるのは銅を少量化するため魔法陣に合わせて要らない所をけずったのでしょう。私の都市はそうしておりましたな」


アイテムボックスにこの間複製した魔法陣があるはずだ。出してみる。


「おお・・・それです。よく取り出せましたな。取り出せないように仕込んであるはずですがな」

「君らもばらして複製したんだよね?」

「まあそうですが・・・我らは専門家でしたがこんなにきれいに取り出すことは出来ませんでしたな」


銅製の魔法陣の中にミスリルと金の糸があると・・・確かにあるな。

錬金術で保護材の銅を剥がしていく。

おおお・・・信じられない精密さだ。これを複製だと?

凄まじい技術だ。そりゃ確かにICチップをばらすはずだな。


「おおお・・・見事ですな。錬金術でここまでの作業が出来るということは元々の技能がすさまじいということですな」


ん?逆だよな。錬金術でないとこんなことは出来ないぞ。


「逆じゃね?錬金術でないとこんなに細かい作業は出来ないよね?」

「手で出来るんであれば魔力だけで同じ作業ができるのが錬金術ですじゃ。自分の技能を超える作業は錬金術では無理ですじゃ」


確かにそうだったかもしれない。だとすると魔道具の複製はなぜに出来るのだろう?

・・・悩むのはやめよう。使えなくなると困る。


「そういえばそうだな。ということは君たちはこの繊細な図形を複製出来たということだよね?」

「分解して精密な設計図を作っただけですじゃ。後は魔法陣を作る魔道具があるのですじゃ」


なるほど。これを作るのは人間の限界を超えてるからな。


「その魔導具はあの都市にまだある?」

「破壊されたか持ち出されたかで残っておりませんでした。使いこなせるとは思いませんがな」


まあそうか。どこかで稼働している可能性もあるが・・・まあいい。


「んでは・・・船用の魔法と魔法陣について知っていることを教えてくれ」

「その船の挙動から考えるに浮遊、水流、風流と言う所ではないでしょうか。たぶんその船に設置する場所があるはずですな」

「確かにそうだな・・・確認してなかった」

「もしかすると外して持って逃げた可能性もあります。高額なものですからな」

「乗員は皆殺しにしたはずだ」

「それはようございましたな。であれば船にまだのっているのでは?」


そうだな・・・むむ。もう日が暮れてるな。大発の改造に時間をかけ過ぎた。

こっそり調べに行くか。いや・・・船は迷宮都市に譲っていたのだった。

明日朝一で確認しに行って魔法具は借りることにするか。

その時に7mカッターを引き渡せばいい。

となるとすることはないはず・・・歩兵砲を地下に保管するとしよう。

ここは今いろいろと部品が広がっているので部屋を増設する。

30mトンネルで降りてきてから南に数mトンネルを作ってこの部屋がある。

高さ3mで大きさは10m*10mだ。

トンネルの北側に作るとしよう。崩れるのを防ぐために部屋と部屋の間は10mにしよう。

ついでだからもっと深くしとくか。縦に30mトンネルを追加する。

トンネルから北に10m通路用トンネルを作りそこに3m*10m*10mの部屋を作成する。

石壁魔法で床、壁、天井を石壁にする。歩兵砲と弾薬、弾薬車をアイテムボックスから取り出す。


「これはなにですかな?」


腰が抜けそうだ。俺の後ろに立つんじゃないと・・・


「これは歩兵砲という銃だ。いや野砲かな。ばらしてもいいけど絶対に撃つなよ」

「これは・・・ただの銃ですな。銃に興味はありませんな」


む・・・そうなのか。マッドサイエンティストじゃないのか。

後は他の銃もここに保存しておくか・・・25mm機銃はまだ弾があるのでこのままでいいか。

他の銃は・・・弾を補充してから保管することにしよう。

今日はいつもの十倍働いた気がするが目標は達成できなかった。

明日頑張ろう。


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