5-17.地下都市
もう太陽がてっぺんを回っている。休憩はどうするべきか。
昼寝て夜移動の方が安全な気もするが・・・早く帰ったほうがいい気もする。
ここは使い魔をフル活用しよう。
馬ゴーレムにしがみ付いて寝よう。そのまま巡航させて針路は使い魔に監視させよう。
ぴーちゃん。すけさんまかせた。
馬ゴーレムに揺られながら睡眠をとれるだろうか・・・
おお・・・爆睡していた。出来るものだな。
夕御飯を食べてから馬ゴーレムで爆走する。
野草などを採取しながらだが馬ゴーレムの最高速度で移動する。
馬ゴーレムの魔力が減ったら魔力の補充を行わず馬ゴーレムを交換し最高速度を維持する。
野草のコロニーを見つけては瞬間的に採取を行い移動を続ける。
もちろん採取で全部取ることはしない。
何事もなく朝を迎えた。
朝御飯を食べて自分は寝ながら移動の番だが・・・
トロール族と竜人族への街道の分岐点が近いはずだな・・・
どちらにしても迷宮都市の北側に移動しないといけないので今のうちに分岐点から西に延びる街道の北側に移動する。
街道の北側に抜け森に入り込む。
ここだと移動速度は落ちるが商人とかに見つかることはないだろうからいいだろう。
ぴーちゃん。すけさんまかせた。
何事もなく夜になった。やな予感がするくらい順調だ。
夕御飯を食べてから馬ゴーレムを交換し爆走する。
朝までには拠点にたどり着けるのではないだろうか。
街道の端と言うか森や林と街道の狭間を爆走する。さすがに夜だと商人もいない。
採取をしながら進むと都市が見えてきた。迷宮都市の東にある商業都市だ。
ここからはいったん北の森に針路を変える。
ただしあまりに北に行くと村があるのでその途中を横切る形で。
もうここら辺では採取は行わない。帰還を優先することにする。
聖気を魔力で包んでからの魔力遮断もずーとやっていたのでかなりまろやかに出来るようになってきている。
気配遮断と隠蔽も効果が上がっている気がするがまあ理論上そうなるよな。
むむむ・・・
誰かが森の中にいるな。この反応は・・・人。
一体何者だ?近寄って何者か確かめるか・・・いや。
何かを感じる。これはなんだ?移動を止めて監視をする。
この感触はあちらもこちらを見ているな。
見ているというよりこちらと同じく監視していると感じだな。
どうしたものか・・・さすがにあいさつするわけにもいかず・・・
エルフで夜目が見えると言ってもこの距離ではな。
鷹の目と言う技能が有ったな。使ってみると・・・見えた。
革の鎧に獣の毛皮を羽織ったおっさんというか爺さんがいる。
そこにはテントがある。冒険者かハンターで交代で見張りをしているということか。
馬ゴーレムをアイテムボックスに回収して徒歩で静かにその場を離れる。
野外で活動する冒険者やハンターに興味があるが拠点に籠っていることになっているんで見つかりたくない。
もしかしたら迷宮都市の冒険者かもしれないからな。
ある程度距離が離れてから馬ゴーレムでの爆走を再開する。
日が昇ったが拠点にはまだ到着しない。このまま休憩なしで拠点まで移動しよう。
拠点の北側に到達した。
見張りの兵士がいないことを確認してから北門の場所から侵入する。
自分の拠点に侵入とは不可思議だが仕方がない。
拠点の外堀の出入り口はここだけで常時閉まってるからな。
そのまま内堀の中に移動しようとしたが真ん中にある森に結構な人数がいる。
装備は冒険者っぽいな。薬師ギルドには見えないが・・・採取の依頼でも出したのか。
一旦東側に移動して森から死角になる地点から内堀と塀を飛び越える。
そのまま家に忍び込むことに成功する。
これでわたしは1週間ほどここに籠っていたことになる。ミッションコンプリートだな。
さて寝るか・・・違うか。
まず忘れそうなことをやろう。
採集した野草を植えに行く。
およ・・・
クレイゴーレムがダンジョンから持ち出されたであろう癒し草を畑に植えている光景が目に入った。
結構な面積がダンジョン産の癒し草で植えられている。
自然に生えていたのは家の東側のこっち側だったな。
植えようと野草を取り出すとクレイゴーレムたちが勝手に植えだした。
まあいいか。任せることにしよう。
さて寝るか・・・
とも思ったがこのまま夜まで頑張って起きとくか。
で強制的にリズムをもどそう。明日にイケメンエルフに報告に行くとしよう。
朝食を取りながら予定を考える。
魔鉄でゴーレムを増やすのとゴーレムに紛れるこむためにゴーレムと同じデザインの鎧を作成。
それと使い魔のもんさんとすけさんの暗躍用鎧。
これは私用も作っておこう。
本当なら普段使いの鎧も作りたいが・・・
今の水竜の革鎧にミスリルの部分鎧で強化をした状態を超える鎧を魔鉄では作れないからな。
鎧は迷宮都市アビリアに攻めてきた騎士の鎧を見本にするか・・・
これはフルプレートの一歩前と言う感じだ。
作るのに手間が掛かりそうだからやめておく。
ゴーレム魔法で中空でゴーレムを作ってそれを利用しよう。
その前に今の魔鉄ゴーレムの装備を変更する。
長剣を2本ずつ持っているのでこれを材料に・・・
いやこれは銃補佐のストーンゴーレムに廻そう。
32体分の大剣と大盾を作成し魔鉄ゴーレムを20体追加で作成する。
これで元リビングアーマーゴーレムのそっくりゴーレムが32体。
元リビングアーマーゴーレムと合わせて36体なので3体1組で運用すれば12組。
適当に作っているようだが12には意味がある。2つにも3つにも分けられる。
1部隊が戦闘で1部隊が支援で1部隊は予備兵力。
とかの運用なら3で割り切れたほうが都合がいい。
・・・よく考えたらこれは私が持ち歩く兵力なんで意味ないな。
魔鉄ゴーレムの重さは50kg程度だが・・・
これをまた10分の1以下にしてゴーレムを作成する。
これは外見が元リビングアーマーゴーレムなだけで実際は中空だ。
元リビングアーマーゴーレムは・・・
よく見たらちゃんと鎧状になっているな。
ならばこれを完全に真似るか。
ムムム・・・関節部分がうまいこといかんな。
誰かが着るようにはなってない。
しかたがないのでそこだけ鎖帷子で繋ぐ。
大剣と大盾も作成する。鎧を装備変更で装備して様子を見る。
いけるようだな・・・
というかもんさんはともかくすけさんはアイテムボックスを持っているだろうか。
そうでなければ正式に装備するしかないがそうなると作りを変えなくてはならなくなるな。
すけさんを呼び出す。
ん・・・。
いままでは気がつかなかったがなんだがオーラを纏っているなすけさん。
もしかすると瘴気か。
だとするとまずいな。だれかに気が付かれるかもしれん。
「どうなされました?我が主」
「この鎧を着てもらおうと思ったのだが・・・すけさんて瘴気出てね」
「それはそうですな。アンテッドですからな」
「それってひっこめられない?」
「いま最小の状態ですじゃ」
むむむ・・・
「なにか問題ですかの?」
「探知能力があれば感づかれる可能性がある。それって探知を誤魔化す方法って知ってる?」
「主に格納されている状態なら探知はされないのでは?」
「確かめたことはない。自分なんで」
「なるほどですな・・・地下深くや石に囲まれていれば探知能力は下がるはずですな」
「となると・・・地下に部屋を作ればいいか」
すけさんをいったんアイテムボックスに格納する。
もしこの状態で瘴気が漏れていて探知されると厄介だがアンテッドのすけさんが見つかるよりはいい。
トンネル魔法で縦穴を作成する。とりあえず・・・30mでいいか。
入り口はどう処理するか・・・塞ぐと出入りが出来ない。
積んでおいてある石を材料に直径10mの円の壁を厚さ1m高さ2mで作成する。
出入り口を東西南北に作成する。
出入り口は余っているストーンゴーレムを歩哨として立たせる。
天井を石壁で作成する。厚さは10cmでいい。
なんの施設と言われたら見張り台とでもいうことにしよう。
というか木を組んで実際に見張り台にしよう。
この下は倉庫と言うことにして縦穴の上には荷物をおこう。
予備の石をアイテムボックスに収納して縦穴の底に下りる。
一旦横穴を作ってからトンネル魔法と掘削魔法を使って地下室を作る。
高さ3mで幅10m奥域10mで壁と天井と床は石壁呪文で石壁にする。
すけさんをアイテムボックスからだす。
「申し訳ないがすけさんはここで生活してくれ。後で部屋数は拡大することにする」
「こちらこそ申し訳ありませぬ。主の技を身に着け瘴気を出さぬように精進いたします」
「私の技?」
「瘴気や聖気を魔力で覆いその上で魔力遮断をおこなうことですじゃ。やってはおるのですが完全遮断には至りません」
「なるほど・・・で。この鎧を着て貰えないかな?というかアイテムボックスは使えるよね?」
「アイテムボックスは使えますが・・・鎧とどのような関係が?といいますか私は物理攻撃をほぼ無効化出来ますので鎧か要りません。それも魔鉄ですな・・・魔法の効率がさがりますな」
「アイテムボックスがあれば装備変更が出来るね。この鎧はわたしの持っているゴーレムがほぼこのデザインなんだ。これを装備していればゴーレムに紛れて作業できるしもし見つかってもゴーレムですむ」
「たしかにこのままの恰好ではなにもできませんな。装備変更とはなんでしょうか?」
「こんな感じで装備変更出来るよね?」オールオリハルコンの鎧に装備変更してみせる。
「それは瞬間装備変更という技能だと思われますが・・・たしかにアイテムボックスを持っていれば有用な技能と思います。もともと技術者だったのでその技能は持っておらんですな」
そうなのか・・・
そういえば装備を瞬間的に変えることが出来るのはゲームの都合だな。
実際はそれ専用の技能なのか。
ん?今実際私が使えるが瞬間装備変更の技能ではないはずだ。
と言うことはアイテムボックスがつかえれば出来るのでは。
「では・・・アイテムボックスに鎧を入れてくれ」
すけさんに鎧を渡しアイテムボックスに格納してもらう。
「で・・・鎧をアイテムボックスから出す時に自分に纏わせるように。もしくは鎧の中に自分を入れるように。やってみて」
「なるほど・・・主はそうやって身に着けたということですな」
鎧が出て来たが装備は出来ないようだ。
アイテムボックスからの出し入れを繰り返しているが出来ないようだ。
むむーこれでは駄目なのか。となるとほかの方法を考えるしかない。
お!そう思ったら装備できたようだ。
「出来るようになりました。瞬間装備変更の技能が身に着いたようですじゃ」
そうなのか・・・わたしはその技能じゃないような。
まあいい。大剣と大盾を渡す。
「もし外に出ないといけない状況になるのであればその鎧を着てくれ。まあ見るからないのが一番だが」
「クルーソー様。お帰りなさいませ」
もんさんが地下室に現れた。ちとびっくりした。確かに地下にいると探知が衰えるな。
「その鎧はいったい?」
「ああ・・・もんさん。新しい使い魔のすけさんだ。よろしく頼む」
「お噂はかねがね。よろしく頼みますじゃ。もんさん殿」
「ええ。しっかりとお仕えするのですよ」
「お噂って?」
「ぴーちゃん殿から説明は受けております。それにほかの使い魔の存在自体は分かりますじゃ」
「ダークロードが使い魔になったのは分かっていました。で・・・この鎧は?」
「なるほどな。この鎧はゴーレムに紛れ込むのを目的に作った。もんさんだとメイド姿であれば最悪謎のメイドですむが・・・すけさんは骸骨だからな。討伐隊が結成される。この鎧と同じものをもんさんと私用に今から作る。まあ使うことはないとは思うがな。後は暗躍用に全く別の鎧を作ろうと思っていたんだが・・・よく考えると黒装束とかのほうがいいのかもしれないな。これはまた再度考える」
わたしにはもう黒装束がある。
しまったな・・・黒装束で発見されていた。
それもその恰好でダンジョンマスターと誤認されている。
んではさっくり2体鎧を作成するかな。
「それはそうとクルーソー様。迷宮都市の兵士が通常とは違う行動を行っております」
「ん?」
「騎乗した兵士がこの拠点に正門から騎乗のまま侵入しました。現在半数が森にいる冒険者を取り調べています。残り半分は北門に向かっています」
「見回りってことじゃないの?」
「見回りは通常外側の壁の上を移動するだけです。拠点内に兵士が来たのは前例がありません。過去領地の内側に入ったことがあるのはアンジェ様とレオノーラ様だけです。そのため現在拠点防御のゴーレムが全機臨戦状態になっています」
「森にいる冒険者が問題と言うことかな?薬師ギルドの依頼で来たと思ったんだが」
「ここの森に冒険者が採取に来たことは過去ありません。それと迷宮都市側の北門に兵士が多数集結しております」
おごごご。
なんかがばれて・・・私を討伐しようと軍事行動を起こそうとしてるとかじゃないよね。
思い当たることは・・・有り過ぎてどれか分からない。




