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最終夜 屋上にて

 俺たちはルボルトを助けるため、馬を走らせる。

 砦を越え、ニックスへ走らせるとノリトレンが待っていた。その足元にはルボルトが倒れている。

「陛下!陛下、大丈夫ですか!?」

 ジャディの問いにルボルトは答えない。

「お前たちを救うために1人で犠牲になったというのに、とんだ無駄骨だったな」

 ノリトレンはルボルトの頭を踏みつける。

「その足をどけろ!」

 雷をノリトレンめがけて落とす。だが、それはヴリトラとヴリトラハンに受け止められてしまう。

「ふん、貴様の攻撃などこいつらにかかれば何でもない」

「なら、これならどうだ!」

 今度は辺りかまわず雷を落とす。土が吹き飛び、あたりは土煙で周りが見えなくなった。

 土煙が晴れると、水を操る魔法で作られた大きな鏡が。そこにはノリトレンが映り込んでいる。

「鏡…?そんなもので一体なにを…しまった!」

「強制教育!」

 俺は水鏡に映っているノリトレン目がけて強制教育をかける。ノリトレンはぶらりと腕を垂らし、洗脳にかかっていく。俺がノリトレンにかけた洗脳は「世界1の賢王になれ」というものだ。

 

 ノリトレンは馬にまたがり、ニックスへと帰っていった。

 ネーシャは倒れているルボルトのもとへ駆け寄ると、治癒魔法をかける。

「よく助けに来てくれたな。これでなんとかニックスも変わってくれるといいが」

「大丈夫ですよ、これからは俺がノリトレンを教育し続けます。決して解けないように、何年かかってもやります」



 それから数年後。

 ニックスは変わった。税率は下がり、腐敗した官僚たちはすべて駆逐された。

 また、新たにモンスター討伐隊を世界に先駆けて作り、雇用を創出した。

 フォンスへ逃げてきた者たちも、ニックスに戻り、元の暮らしを取り戻した。


 俺は元の世界に戻って今日も市の職員として働いている。毎日難しい仕事に頭を抱えているが、なんとかやっている。フォンスやニックスが目標になるような、大都市として恥ずかしくないような姿になるために今日も俺は市庁舎を駆けずり回る。


 たまに壁にぶち当たったとき、屋上に逃げ込んでいるのはここだけの話だ。

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