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BIG DREAM(6)  作者: ひでかづ
6/11

気楽に行こうぜ

マウンドで大夢と山田が打ち合わせをしている。

「大丈夫だ、大夢。君の意図は大体わかった。」

「先輩、良いんです。悪いのは俺ですし。」

「そんな、気にするなって!大夢にとってはチャンスだし、島田も勝ちが決まってるのに出る意味があるかい?気楽に行こうぜ、野球を楽しめ!」

「野球を楽しむ・・・ですか。」

「あぁ、いつもやってるじゃないか、特別なことする必要はないさ。リラックス、リラックス。」

「あっ、そうだ、先輩」

「サインのことだろ?」

「はい」

「球種が豊富なのは知ってるよ、恒輝から聞いたよ。だから心配するな。島田は単細胞なだけだから、いいか、俺に任せろ、嫌なら遠慮なく首を振れ、投げたい球を投げさせるから。」

「あ、ありがとうございます」

「じゃぁ行くぞ」

「はい」


山田勇喜は名前以外はドカベンの山田と瓜二つだ。

捕手で左打ちで体格が大きい。

そして性格が明るくチームのムードメーカーだ。

大夢はワクワクしてきた。

勇喜は配球を考えていた。

「大夢は直球だけでなく変化球のコントロールも自由自在に利かせられることは知っている。足腰の強さは本物だ。筋力や体格などスケールアップすればもっと怖い存在にはなるが、鍛え方でどうにでもなるだろう。今は何でも経験だな。」

バッターが右打席に入る。勇喜は大夢にサインを出す。

「全部変化球のサイン出すか。絶対大夢は嫌がると思うが。」

一球目は外角から入るシュート。

見事にストライクが決まる。

二球目は外角に逃げるスローカーブ。

大夢は首を振った。

「やっぱりな。じゃぁストレートか」

大夢は首を振った。

さっきのサインでと指で伝えた。

「なんだ、さっきのサインって、」

コースと球種が大夢に見えると。

大夢は、「ただの外角ではなく、敬遠気味」でのコースを伝えた。

山田は納得した。

「相手に手加減するのもそうだけど、ストライクならいつでも入るよっていう自信の現れか」

2球目はただの外角ではなく、大きく外れる外角のスローカーブ。

3球目は内から真ん中に入るナックルカーブ。

見送ってストライク。

大夢は打たれると思って用意していたが、振らなかったことに驚きを隠せなかった。

大夢は苦笑いする。勇喜はやっちまった的な顔をした。

しかし結果オーライだ。

これでバッターは変化球は捨てていると見切った。

「これで全球変化球でもやっていけるな」

ただし、スライダーとシンカーはほとんど首を振った。

高校に入って習得した曲がりの大きい変化球は使いたくなかった。

使えないわけではなかったが、よほど強い相手にしか使わない。

2イニングで投げた42球中ストレートは僅か5球だった。

主に変化の小さいシュートとカーブ系の変化球を投げた。

初戦は25-0のコールド勝ちだった。

その後順調に高崎商業は勝ち進んだ。

少なくとも、4回戦までは。

準々決勝はライバルの前橋商業相手に接戦をものにする。

準決勝は強豪私立の桐生第一に延長の末、サヨナラ勝ちした。

決勝は同じく延長の末にサヨナラ勝ちで優勝候補の樹徳高校を破った高崎高校と対戦する。

関東大会に出場する群馬県代表は高崎商業と高崎に決まった。

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