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BIG DREAM(6)  作者: ひでかづ
4/11

思春期

とある練習試合での出来事。


カキーン!

バシッ!

「大夢ナイスキャッチ!」

「素晴らしい打球反応だ!」

ピッチャーとしての大夢は相変わらずだが、

フィールディングで頭角を表していた。

監督は新人戦のメンバーを選ぶのに悩んでいた。

「どうしようか・・・今の2年生は飛び抜けているし、1年生も上位の子は積極的に使いたい。しかし、何を重視するかによって欲しいメンバーも変わってくる。一芸に秀でているか、バランスミックスさせるのがいいか。それとも全員共通の得意技で固めるべきか・・・」


試合後、大夢は榛名の実家にバスで帰る。


なんだろう。

自分では実感がよく湧かないんだよな。

野球が上手くなってる、ということが。

こんな俺でも、一軍に混ざって練習と試合をこなしている。

そんなに肩を並べるくらいの実力があるっていうのか?

見込みがあるってことか?

それとも、逆に高商のレベルが落ちてきてるってことか?

正直分かんねぇや・・・。

俺みたいな奴がベンチ入りしたらOB達に申し訳ないな。

まぁ、最も嬉しいのは他のライバル校だけども。


里見のバス停にて降りて僅かに歩くと大夢の家だ。

「ただいまー」

珍しく父がいた。

「おかえり!今日はどうだった?」

「まぁまぁだったよ」

「そうか、新人戦出れそうか?」

「さぁ、わかんない」

「そうか。監督が大夢のこと期待してるってよ!」

「ははっ、期待に沿えなくてって謝ってくるよ」

「そんなこと言うなぁ!毎日のように頑張ってんだからよ、選ばない方がおかしいと思うぜ!」

「その確信どこから生まれるんだよ」

「なんだ?そう弱気になんなって、そこまで頑張ってるの大夢くらいしかいねーよう」

「頑張るも何も普通のことしてるだけだよ」

「その普通が別次元なんだよ、まぁいいや、今日は母さん遅番だから作っといたカレー食べちまいな!」

「はーい」


寝る前の大夢。


俺って何がしたいんだろうな。

とりあえず、三者面談では第一志望公務員って答えたけど。

高卒対象試験は倍率めちゃくちゃ高いし、

受けたくねーなぁ・・・。

なんつーか、公務員になるためだけに勉強したくねーな。

俺はせっかく野球の道を選んだんだから。

亘秋なんか陸上部だから練習早めに終わって勉強時間も充分確保できるわけで。

俺はまったく勉強できてない。

むしろ睡眠時間削ってまで取り組んでる。

効率悪いよなぁ、なんつーか。

せっかく野球やってるんだから、今しかできないこと、一生懸命取り組むわ。

あっ、そうそう、「実力だけじゃなく運も大切」だったな。

一生懸命やるだけじゃない、周りとうまく協調しなくてはな。

せっかく流通ビジネス学んでるから、色んな資源や人のつながりも知っておかないとな。

社会に出てからも使えるんなら、野球とかのスポーツにも活かせそうだ。

・・・。

小さい頃から体動かすの好きだったな。

まぁ半分は両親の影響もあるけど。

ただ、俺は大学に行きたくねーな。

早く社会に出たさはある。

家は工業系で、学校までの距離も遠い。

それでも俺は幸せ者だ。

・・・。

ちょっと気になるんだ。

・・・。

いや、心に思っていても、恥ずかしくて言葉にできない場合もある。

例え誰かに知られないとしても。

自分の心の中だけで完結してしまうのだとしても。

・・・。

トイレ行ってくるか。


ジャーッ。

バタン。


ふーっ、スッキリした。

・・・。

やっぱり気になるものは気になる。

わからないからこそ余計に・・・。


良いんだ、しょうがない、人間だもの。

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