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憂鬱について
憂鬱とはある種の美だと私は思っている。
生きていくからには、生活に少しは美しいものが必要で、それは人によって、花であったり、自然であったり、太陽の光を浴びてキラキラ光るガラスであったり、手であったり、はたまた食べ物や飲み物であったり、きれいな人であったり、と他にももっとたくさんあるだろう。
わたしは憂鬱が美しいと思う。それも、日常の中にふいに訪れる憂鬱。
わたしが抱える憂鬱のイメージは、少し紫がかった深海のような濃い群青。それと、少し瞼を伏せた横顔。
ふいに思い出す心の痛みや、やなこと、悲しみ、未来のこと。
それらは、普段の騒がしい世間からは少し奥まったところにいて、ひとりになった時やなにかきっかけがあった時に顔を出す。でも、それらはとても要るものだし、なければそれはなんてつまらない人生だろうと思う。
たとえばきれいな人の憂鬱な横顔なんて最高じゃないですか。