きれいな人
きれいな人が好きだ。
そりゃあ誰だって好きだろう。
わたしは、同性のお姉さまで、きれいな人が好きだ。
昔からそうだった。ひどく憧れてすごく大好きなのに、声をかけることも、仲良くなることもできない。でもとにかくすごく好きなのだ。
その人のなにを知っているでもなく、急に好きになるのだ。
小学生の頃は、同じ習い事をしている当時高校生のお姉さんに一目惚れをした。
ショートヘアがよく似合っていて、とてもかわいい人だった。わたしはとても仲良くなりたかったが、人見しりな事と憧れ(?)が強すぎて結局その人が辞めてしまうまでに2、3回しか話す事ができなかった。
あの猛烈に好き、という気持ちはなんなのだろうか。
芸能人に対する好意となんだか似ている気がする。
大学生の頃働いていたバイト先の社員さんにもとてもきれいな人がいた。
とても気さくで親切で、声もかわいいし接客もとても良くて、とにかく大好きだった。仲良くなりたかったのだが、違う店舗の人だったのであまり会えず話せず結局辞めるときに挨拶をして、さようならだった。
おそらく、仲良くなれたとしてもわたしは緊張してしまってうまく話せなかったと思う。
そして、これはどうにも矛盾しているけれど、わたしは仲良くなる事は本当は望んでいないのかもしれない。いやきっと望んでいないのだ。届かない存在でいてほしいと心のどこかで思っているのだ。