第一話:冒険連ラクロス支部遭難者相談窓口
身内の冒険者が迷宮に入ったまま戻ってこなくなった――そんな話は国中に、いや世界中に溢れかえっている。溢れかえっているからといって、無視はできないのが人情というものだろう。
迷宮の奥には、時として世界の法則を変えかねない大いなる神々の遺産が眠っていることもあるため、迷宮探索は個人が趣味で行ってよいものではない。すべて自己責任などといって放置されてしまっては、我が子を冒険者にしようと思う母親もいなくなる。それ故に、冒険者が関わる業務全般を委託されている冒険者連合組合略して「冒険連」の施設には、「遭難者相談窓口」の常設が義務付けられているのだ。
とはいえ冒険連ラクロス支部の迷宮課遭難係遭難者相談窓口は、付近の迷宮が一部を除いてそれなりに成長した中級冒険者向けかつ攻略難度の低いものばかりであり、迷宮探索のイロハとコツを掴んだ彼らが迷宮内で遭難することは希な事であったため基本的に暇だった。
おかげで相談者がほとんど訪れない遭難者係は規模を縮小され続け、いつしか窓口担当は他の課の日替わり当番制となり、最近では、窓口の割り当て人数は一人になった。
それに引き換え、同じく迷宮課の調査係の面々は、近年では例を見ない忙しさに見舞われ、職員たちは異例の三交代勤務を強いられ、過労死寸前の状態である。諸君には、それほどに迷宮課の職員たちを忙殺し、のちに物語の主人公も訪れることになる遭難者相談窓口を縮小させた出来事とは何かを説明しておかなくてはならない。それは、「新しい迷宮の発見」である。
ラクロス周辺にはもともと三つの迷宮があった。地図上でそれらを繋いでみると、巨大な正三角形が描かれるため、冒険者たちはこれを「ラクロス大三角」と呼んでいる。詳細についてはのちに語る機会を設けるが、ラクロス大三角を成す三迷宮は重大な繋がりをその最奥に隠している。ラクロスはその中心から北へ徒歩二時間程の距離にできた宿場町で、北の都と南の港湾都市を繋ぐ長い街道沿いにあるため人と物資の行き来が盛んであり、理想的な迷宮攻略拠点として冒険者たちにも重宝されていた。
冒険者相手に商売を営む連中が多い宿場町では、周囲の迷宮攻略が進むと、自然と冒険者たちは新しい謎を求めて離れて行ってしまう。そのため冒険連支部ではだいたい百年に一度くらいのペースで「新規迷宮捜索事業」を行う必要があった。不幸にも新たな迷宮が見つからず、寂れてしまった町が廃墟となり、やがてゴーストタウンという名の初心者向け迷宮と化すことも珍しくはない。とはいえ人と物資が潤滑に流れるラクロス支部はではそのような心配もなく、この度の新規迷宮捜索事業も普段の業務の片手間に行われていたのだった。
事業の開始から百三十年。ラクロスの冒険連支部が六人目の新たな支部長を迎えてさらに五年目の春、とうとうそれは実を結んだのだ。
新支部長は適当に地面を掘ったり空を見上げたりしていた事業内容を見直し、また町と迷宮攻略情報からラクロス大三角の中心には何かあるだろうと当たりを付けた。しかしそこは街道を横切る幅二キロにもなる河川が通っているため、迷宮探しも容易ではなかった。五年に渡る迷宮捜索の結果、川沿いに多数の三日月湖を造ってしまったラクロス支部が焦りを募らせていたところへ、迷宮発見の報は大きな安堵と大量の仕事をもたらしたのだった。
冒険連が新たに迷宮を発見した場合――ちなみに冒険連以外の民間企業や個人が迷宮を発見してこれを秘匿し私的に探索等を行った場合、厳罰に処されると世界法で決まっているため、注意が必要だ。迷宮は人類共通の財産であるという理念が、この世界の常識なのだ。万が一、「この先に迷宮が広がっているかもしれない」という場所を見つけてしまったら、速やかに近くの冒険連迷宮課へ連絡することをお勧めする。
話を戻そう。新たな迷宮が発見された場合、まず動くのが迷宮課である。迷宮課は調査係、管理係、遭難係にわかれており、まずは調査係が新迷宮の上層階を踏破し、迷宮の特性を子細に調べる。大きな危険が伴う仕事であるため、手練れの冒険者などが現役引退後に職を斡旋されて務めている場合が多い。発見された新迷宮へ最初に足を踏み入れるという栄誉には預かれるものの、そこで得られた情報や物資の全てを冒険連、ひいては所属する国家へ供出しなければならないため、物欲旺盛なものが多い冒険者には大変に不人気な職業でもある。
さて、いくらこの世界が迷宮だらけと言っても新迷宮は探せば必ず見つかるというものではなく、新迷宮の捜索自体が日常的に行われているわけでもないことは前述したとおりだ。したがって調査係は、同じく迷宮課の遭難係を兼務していることが多い。
ラクロスも例にもれず調査係は遭難係を兼任しており、二十四人の元冒険者が在籍している。ところで諸君はこの数字を目にしてどう思うだろうか。ラクロス支部が昨年度まで管理していた迷宮は三つ、それに対して遭難係を務める元冒険者が二十四人。これは一般的に見て多いか、それとも少ないのか。
冒険者たちは通常、「パーティー」と呼ばれるチームを組んで活動している。さま々な罠が仕掛けられ、魑魅魍魎悪鬼羅刹が蠢く迷宮探索には「戦闘」と「探索・罠解除」そして「回復」のスキルが必要不可欠であり、一人ですべてをこなすエキスパートとなるには長い年月が必要だ。だからといってほとんどの迷宮内部は人が三人並んで両手を広げれば一杯になってしまう程度の割と狭い通路で構成されているため、大人数で探索することはかえって危険である。一つのパーティーは最大で六人まで、というのがこの世界の常識的な数字だ。
さて迷宮課の調査係は迷宮内で遭難したものを速やかに救助し、安全に連れ帰るだけの実力を求められ、かつ危険な任務を少人数で成功させるだけの実力者でなければ務まらない。
例えばラクロス北の地下墓地迷宮、その最深部地下百十一階で二人の遭難者が出たとしよう。中堅クラスの冒険者が六人で潜る迷宮へ、調査係は四人以下で入らなければならない。なぜなら遭難者のほとんどは発見される前に迷宮内で死亡しており、調査係はその遺体を持ち帰る必要があるからだ。賢明なる諸君はもうおわかりだろう。行きはまだしも、帰りは遺体を担いでモンスターと戦いながらの行程を確実にこなせるだけの実力者が、迷宮三つに対して二十四人。これは贅沢な数字だと言えるのだ。
ところが現在、彼らのうち二十三人と迷宮課の面々は「ラクロス新迷宮」と仮に名付けられた迷宮の調査に出払っており、ラクロス支部に残る迷宮課職員は滅多に相談者が訪れない遭難者相談窓口に座った男――トーマのみである。
うぉ、本当に来やがった。
渋々遭難者相談窓口担当者となった「居残り番」トーマは、昨晩の当直からの引き継ぎ通り――引き継ぎなどなくてもその顔は十分に見知っていたが――朝一番で戸口に現れた女の顔を見て気づかれないようにため息をついた。
女はよく磨かれたフローリングの床を板の継ぎ目に突き刺さりそうなほど細いピンヒールの踵で打ち鳴らしながら、一直線にトーマの元へ駆けてきた。
くそったれ。どうして今日に限って風邪を引いたりしなかったんだ。俺の健康体が憎らしい! トーマは内心で毒づきながらも、早くも汗が浮き始めた顔ににぎにぎしい笑みを浮かべて来訪者を迎えた。
「おはようございます、ララ・クライスンさま。昨晩お電話をいただいたそうで」
「おはようじゃないザマス! わたくしは主人が心配で、心配で……昨晩は一睡もしていないザマス!」
窓口と言っても、天井からそのように記された看板が吊り下げられているだけで、来訪者の女とトーマの間に壁はない。鷹揚にあいさつを返した女のキンキンと頭に響く声以上に、どう考えても口中に病気を持っているとしか思えない口臭がトーマの鼻を突いた。
「宅の主人が帰還予定を過ぎても迷宮から帰ってこないザマス! 遭難したに違いないザマス!」
明り取りの天窓から降り注ぐ陽光を遮る豊満な身体を揺すりながらカウンターの向かいに腰を降ろした中年の竜人女性――ララが続けた。
「落ち着いてくださいクライスンさま。ご主人といいますと、冒険者のズズ・クライスンさまで間違いございませんね?」
鼻が曲がりそうな口臭と香水が混ざり合った臭気に顔を引きつらせながら、これでは腐肉漁りのウーズも逃げ出すのでは、とトーマは思った。ちなみに竜人族がみな口臭持ちだというようなことはない。クライスン夫人は昨夜帰宅予定だった夫の身を案じるストレスから臓腑を病んでしまっているだけだ。
それはともかく彼が内心をおくびにも出さずに対応を続けたのは、さすがと言わざるを得ない。それほどにクライスンが放つ臭気は強かった。トーマの背中には職員たちから羨望と憐憫の籠った視線が注がれていたが、クライスンは彼の雄姿を目の当たりにして怒りに顔を歪め、「当たり前ザマス!! わたくしが主人と言ったらズズ・クライスン以外には考えられないザマス! あなたまさか、まさかこのララ・クライスンが、不貞を働くような女に見えると言うザマスかァ!?」と口角泡を――いや涎を飛ばして詰め寄った。
そもそも人族の俺からすれば女にすら見えないなどと思いつつ、トーマは口中で「小さき障壁」を唱えて自分の身体の周囲に薄い魔法の盾を出現させた。
「とにかく落ち着いてください、クライスンさま。ご主人がどうなさったのです?」
「さっきから迷宮で遭難したと言っているザマスー!!」
「なるほど。ではこちらにご主人のお名前と、攻略に向かった迷宮の名称を書いていただいて」
ララが絶叫し、まさかブレスを吐くのでは思わせるほどに顎門を開いた。窓口係がトーマでなく、一般の職員だったならすぐさま逃げ出していただろう。魔力の障壁によって臭気と涎から守られているトーマは笑顔を崩さずに「遭難者申請用紙」を取り出して、テーブルの上をララの方へ滑らせてから、「お調べしますからねぇ」と続けた。それを聞いたララはさらに感情を高ぶらせた。
「こんなものいちいち書かなくても、昨夜当直の方に電話でお伝えしたザマス! だいたい調べるってあなた、何を調べるザマス!?」
「迷宮の入退出記録を調べるんですよ。多少予定が遅れているだけで、ご主人はもう迷宮を出たかもしれませんからね」
「そんな悠長なことを言っている間に、主人が死亡してしまったらどうするザマス!? ああ、こうしている間にも、地下であの人が一人彷徨っているかと思うと胸が張り裂けそう! あなた、責任を取れるザマスか!?」
ララは申請用紙を突っ返すと、椅子から立ち上がって再びトーマに詰め寄った。彼女の気持ちは分からないでもないが、トーマにしてみれば責任がどうこうと言われるのは心外だった。不可視の障壁の向こうで涼しい顔をしていたトーマは、ララの「一人」という発言を聞いた瞬間、その顔に張り付かせていた笑みを消した。
「クライスンさま……今、ご主人は一人でとおっしゃいましたか?」
「い、いいえ!? 言ってないザマス!」
ララは深緑色の鱗で守られた手をブンブンと顔の前で振って否定したが、その顔には「しまった」と書いてあった。
トーマは心の中でガッツポーズを取っていたが、表情を消したまま立ち上がった。
「いかに輝かしい経歴をお持ちのズズ・クライスンとはいえ、単独で迷宮に潜るのは危険だと、我々は“攻略計画書”を提出したご主人に計画の見直しを再三要請しました。修正された計画書には、ご主人以外に三人の冒険者が同行すると明記されており、それをもって“攻略許可証”を発行したはずですが?」
すでに最深部まで探索が終了している迷宮に潜ろうとする冒険者は、冒険連の迷宮課管理係に対して「攻略計画書」を提出し、「攻略許可証」の交付を受けなければならない。計画書にはパーティーメンバーの住所、職業、年齢や出身地などのプロフィールはもちろんのこと、攻略にかかる見込み期間なども記す必要がある。ずさんな計画や明らかに実力不足のパーティーには許可証を交付しないことになっているのだ。このシステムの利点についてはもう少し詳しく説明する必要があるが、それはまたの機会にさせて頂こう。
「そ……そうザマス。そう、他の三人は、も、もう帰って来ているザマス!」
ララは鱗の上からでもわかるほどに顔を青ざめさせていた。尖った鼻の両脇に生える長い触角の細かい震えが、彼女の不安を現していた。そんなことにはお構いなしとばかり、トーマは一気に攻勢に出た。
「左様でございますか? でしたら、そのお三方にも事情を伺う必要がありますね。お手数ですが、同行者のお名前も申請用紙に記載願います」
「それは、その……」
「ああ、もしかして同行しているはずのお三方のお名前をご存じないのですか? なるほどたしかに、計画書を作成したのはご主人だ。奥さまがそれをご存じないのも無理はない。これは私がうっかりしておりました。無理なお願いをして申し訳ございません」
一方的にまくし立てたあと、トーマが深々と頭を下げた。それを見下ろすララの顔に一瞬で赤味が戻った。
「そ、その通りザマス。わたくしはその三人を存じ上げませんの!」
「左様でございますか……」
トーマは声のトーンをわざと落とした。ゆっくりと上がってきた彼の顔には、再び笑みが形成されていた。ただし、先ほどのようなにぎにぎしいものではなく、冷笑であった。
「恐れながら奥さま、お三方をご存じないあなたがどうやって彼らの帰還をお知りに?」
「あ……」
再び蒼白となったララの顔を一瞥すると、トーマはカウンターの申請用紙を指先でつい、と彼女の方へ送り返した。
「クライスンさま、ご主人の件は色々とお調べする必要があるようです。いずれにしましても、まずはこちらをご記入ください」
「わかったザマス……」
身長二メートルを軽く超える竜人族のララは、眼下に迫る元冒険者の迫力に押される形となって椅子に崩れ落ちた。
「記入台はあちらです」
項垂れるララの上から、無慈悲に告げたトーマは同僚たちを振り返って小さくピースサインを出した。さすがに歓声を上げるようなことはなかったものの、彼らは大きく頷き合い、トーマに賞賛の意を表していた。トーマがその中に以前から声をかけようと思っていた女性職員の姿を探し始めた時である。
「……竜人族の奥さん、かわいそう」
トーマの耳に、鈴の音のような声が届けられた。
「……何かご用ですか? お嬢さん」
振り返ったトーマは、カウンターの向こうに人間の少女が立っているのを見て、目を細めた。彼女は若く、とても魅力的に見えたからだ。身長はトーマより頭一つ小さい。160㎝くらいだろう。亜麻色の髪を左サイドで束ねて結い、鎖骨の辺りに垂らしていた。ラクロスの辺りでは見かけたことがない、黄金色の瞳がまっすぐにトーマを見つめていたが、その視線には軽蔑の色がありありと浮かんでいた。
「旦那さんが帰って来なくて困っているのに、あんな風にやりこめることないと思います」
「…………」
トーマはせっかくの愉悦に水を差されて渋面を作ったが、相手が美少女であることを鑑みてどうにか笑顔を取り戻した。少女はそれを見てもいささかも表情を和らげることはなく、線の細い身体を包む淡い水色のワンピースの裾を掴んで口を開いた。
「……迷宮に行ったきり弟が帰って来ないんですけど、ここでは探してもらえないんですか?」
「そんなことはありませんよ? 遭難者の申請でしたら、用紙を――」
「書いてきました」
細く、しなやかな腕が持ち上げられ、その手には記入済みの用紙があった。
「ああ、そうですか。では拝見――え?」
用紙を受け取ろうとしたトーマの手が空を切った。
「あなたみたいな人に、担当してほしくありません。他の方をお願いします」
カワイイ顔をしているからと思って優しくしてやりゃ、つけ上がりやがって。トーマが笑顔を消し、腕を組んで少女を睨みつけた。
「あのなあ、お嬢ちゃん。迷宮に入って戻ってこられなくなったのは、弟だったか? それは別に俺たちのせいじゃないんだぜ? 完全に、間違いなく、誰がなんと言おうとそいつの実力不足のせいだ。冒険連はそんな間抜けを無償で助けてやってんだ。ちいっと書類を書けと言ったぐらいで非難される謂れはねえ。だいいち、さっきのトカゲ女のダンナは、提出した計画書とは違うカタチで探索を始めた――いいか、こいつは犯罪だぞ? 奴が遭難したのは自業自得。新迷宮が発見されて大忙しの今、わざわざ犯罪者の捜索なんてすると思うか?」
「それでも、あの人は旦那さんが居なくなってすごく不安に思ってるはずです。罪を犯したなら償えばいい。自業自得で遭難したからって、助けなくていい理由にはならないわ」
トーマが冒険連職員の仮面を半ば以上脱ぎ去って放つ怒気に一歩も引くことはなく、少女は尖った顎をツンと伸ばして言い返した。それを聞いたトーマの目がいっそう細められ、顔には嫌な笑みが張り付いた。
「ご高説は大変にご立派ですね。それなら後ろに並んだご婦人に順番を譲っていただけますかね?」
慇懃な口調に戻ったトーマが少女の後ろを指差した。そこには、沈んだ表情のララが佇んでいた。
「……どうぞ、奥さま」
脇に避けた少女の顔を、ララが目を丸くして見つめた。
「どうぞ、クライスンさま。遠慮なさることはありません」
「彼の言う通りです。私は順番を待ちますから」
「そう……ありがとうザマス」
ララはそそくさと椅子に腰かけ、殴り書きの申請用紙をトーマに手渡した。恭しく受け取ったトーマは、「なんと、東の滝迷宮とは!!」と慄いて見せたのち、後方に下がって佇む少女に向かって口を開いた。
「申し訳ございません、お客さま。当館で現在遭難者相談窓口は一つしか稼働しておらず、調査係の職員も私以外は皆出払っております。こちらの奥さまのご申請を受理致しますので、お客さまのお話を伺えるのはいつになることやら……」
「構いません。他を当たります」
少女は毅然とした態度で踵を返し、トーマに背を向けた。
けっ、いつから潜ってんのか知らないが、とっくに死んでらぁ。
トーマが思い切り舌を出して見送った少女の名はリル。
リルはラクロス大河を越えて南へ十五キロほど街道を進んだ農村に弟のネルと両親と共に暮らしていた。ネルは十五歳で幼馴染たちと一緒に冒険者となり、ラクロスで発見された新迷宮の探査クエストに応募して当選したのだ。意気揚々と旅立ったまま戻らないネルの安否を確認するためにラクロスまでやって来たリルの物語が、今始まる。