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転生少女の履歴書  作者: 唐澤和希/鳥好きのピスタチオ
第2部 転生少女の青春期

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新入生編⑤-今、あなたの後ろにいるの-

今日は3話あげることになりそうです。

こちらは2/3話目です。お気をつけください。

「あ、あの、す、すみません、でした」


 突然、迫力美人に声をかけられたシャルロット嬢は怯えたような様子で下を向きながら、謝る。


 その様子を見ていた、カテリーナ嬢の隣にいる女の子が眉をひそめた。


「シャルロットさん、カテリーナ様が話しかけてくださっているのに、目も合わせないなんて、失礼ですわよ」

 左目の泣きボクロが色っぽい薄茶色のウェーブのかかった髪の女の子で、色っぽい見た目どおりの鼻にかかった艶めかしい声で、注意していた。

 確かあの色っぽい子は、サロメ嬢だったかな。カテリーナ嬢やシャルロット嬢と同じでグエンナーシス領出身。騎士爵の娘で、魔法使いではない私と同じ一般の生徒だ。


 万が一シャルロット嬢と友達になった際は、5時限目になると、別教室になるので、出来れば一般生徒であるサロメ嬢ともお近づきになりたい。

 私はこっそり、強烈な熱視線を送る。


「よろしくてよ、サロメさん。まだ言葉もおぼつかない様子ですもの、何を言っても無駄ですわ。私達の言葉が理解できるかどうかも怪しくてよ」


 そして、カテリーナ嬢は色々と厳しい言葉をシャルロット嬢に言い続ける。


 最近、カテリーナ嬢はシャルロット嬢にご執心だ。休み時間の合間に結構話しかけにいく。

 何を狙っているのだろう。友達になりたいのだとしたらもう少し優しく接したほうがいいような気もするが、しかし現在友達作成レベル1という底辺の私だ。もしかして、アレぐらいアグレッシブなほうがいいのかもしれない。


 そんなことを考えてながら、ずっとそちらに熱い熱視線を送っていたため、とうとうサロメ嬢と目が合ってしまった。

 

 キャ!


 サロメ嬢は、何故かちょっと怯んだ顔をした後、カテリーナ嬢の腕に手を置いて、何か耳元でささやいたかと思うと、カテリーナ嬢も私を見てきた。


 キャ!


 カテリーナ嬢と目が合ってしまった。彼女は1年生の女子の最大派閥のトップだ。交友関係抜群な彼女と目が合ったのだから、もしかしたらこのまま友達申請があるかもしれない!


 期待の眼差しで見つめ続けていると、カテリーナ嬢は、渋い顔をして、サロメ嬢を伴って、遠くの席にいってしまった。


 なんで!?


 私はまさかの予選落ちという事実に打ちのめされ、下を向いて机とにらめっこ。


 おかしい。何がおかしいって、私の友達作りスキルが低すぎておかしい。前世の年齢を足すと20歳は超えているはずなのに、女友達の作り方すらわからないなんて。


 ガリガリ村のときもなんか女の子を前にすると縮こまっていた気がする。なんか女の子のおしゃまな感じに、ビビッてしまう。


 私はため息をついて、隣に座るアランを見る。なにやらリッツ君と楽しげに話している。アランですら友達が出来ていると言うのに、私ときたら。


 でも、アランは、私の友達と言ってもいいよね? 今は友達と言うよりもストーカーだけど、むしろただのストーカーだけど、生温い目でみれば友達だと思っている。でも、女の子の友達を作るのに、アランみたいに雑に扱うのは良くない気がする。女の子だし。


 なんていうか、今まではずっと私にとって、格下(アラン)か格上(カイン様、コウお母さん、親分、アイリーンさんなどの大人)かで、接し方を変えているところがあったから、比較的同じ立ち位置の子を前にするとどうすればいいのかが分からなくなっている、気がする。


 みんな、なんで、すんなり友達が出来るんだろうか。前世に友人関係の付き合いをおろそかにしていたことが悔やまれた。



*



「そんなぐずぐず考えないで、友達が欲しいのなら、声をかければいいのよ! そうやって、心の中で、もんもんと考えすぎて思い込みすぎちゃうところはリョウちゃんの悪い癖よね。なんでそんなに及び腰なのかしらー」

 どうにか放課後アランを振り切って、親子水入らずな夕食中に私の最近の悩みをコウお母さんに打ち明けた。

 最近の腑抜けな私に厳しく返してくれる。


「だって、なんて声をかけていいのか分からないですし」

 と、いじけながら伝えると、コウお母さんの大きなため息が聞こえた。


「何でもいいのよ。挨拶だってちゃんとしてるの? それに、相手の髪型を褒めたり、ちょっと気になったことを言うだけでいいのよ」


 挨拶は……そういえばアランとかカイン様とかの知り合いにしかしてない気がする。だ、だって、挨拶してもいいのかどうか分からない微妙なラインて、あるし、そういうの考えちゃうと、タイミングを逃してしまうしー。


 と、いいわけばかり出てくる自分……。

 どちらかと言うと今までは受身で友達を作っていこうと思っていたけれど、無理そうなので、私はコウお母さんのアドバイスに従い自ら話し掛けることを真剣に考え始める。


「今度は自分から話しかけてみます。……でも、それにしてもおかしいです。計画通りにいかない。本来なら、大多数の女の子が、私の魅力にまいってしまい、私の隣の席を連日大行列で順番待ちをしているはずだったんですよね。私はそれをちぎっては投げ、ちぎっては投げの勢いで、優雅にさばくみたいな、そういう予定だったんですよね」


「リ、リョウちゃん、なんでそんな風に思えたの?」


「だって、私、髪とか綺麗に手入れしているじゃないですか。それを見て、女の子達が、私にも手入れの仕方を教えてーと言って、まるで砂糖を求める蟻のようにたかってくると思ってましたし、頭だっていいですから、勉強教えてーという感じで、蝿のように群がってくると思っていたんですよ」


「ちょ、学校に通っている女の子達をなめすぎよ! ていうか、さりげなく例えが女の子をバカにしているとしか思えない! アタシどこかで育て方を間違えたかしら!」

 コウお母さんがムンクの叫びみたいなポーズで嘆く。


「へへ、冗談です。もう少し頑張ってみます。コウお母さん、話を聞いてくれてありがとう」

 私がそういって、テヘペロをすると、コウお母さんが、もうこの子ったら! みたいな感じで、頭を撫でてくれた。

 まあ、まるっきり冗談じゃないけど、私のポテンシャルなら受身でも十分友達できると思ってました、テヘペロ!


「あんまり言うと気にしすぎちゃって、良くないかと思ってたんだけど、リョウちゃんはちょっと特殊な境遇での入学だから、周りの子ども達は警戒してるかもね。リョウちゃんが素敵な子だって分かれば、自然に友達も出来ると思うから、ちゃんと話しかけてみなさいね」

 私はうんと力強く頷いて、コウお母さんと一緒にゆっくりと夕食の時間を楽しんだ。

 ご飯をゆっくり堪能した後は、もう日も暮れてきて、そろそろ寮に帰るために、帰りの準備。

 本当は一緒に住めるのが一番なんだけどなー。図書館に寄る日は時間的な問題で、コウお母さんのところに行けなかったりする。

 そんなことを思いつつ玄関のドアを開けて私は戦慄した。


「あ、リョウ、もう帰るのか? 一緒に帰るぞ」


 外のほの暗い明るさの中で、ストーキングボーイアランが待ち構えていた。

 

 私はそっと扉を閉める。


 何これ、幻? アランのようにも見えたけれど、まさかそんな。

 ま、ま、まさかそんな。


 アランじゃない突然玄関の前にいる人影というと……新手のメリーさん? 前世で出没したと言うお化けの。


 もしかしたらポストにメリーさんから、『今あなたの家の前にいるの!』とか言う手紙が届いているのかもしれない! しかし、メリーさんや、手紙じゃ臨場感が出ないよ!?


「どうしたの? リョウちゃん?」

 扉を開けたと思ったら、閉めた私にコウさんが不思議そうに尋ねてきた。


「そ、外に、メリーさんがいる……」

 私がそうぼそりと答えると、問題の扉の向うから、ドンドンとノックの音が!

 やだ、こわい!


 ビビッている私を脇において、コウお母さんが扉に手を掛けて、開けた。


「あら、この前の……! たしか、アラン君、だったね?」


 ちょっと、前半オネエ口調だったけれど、どうにか男性風に改良してコウお母さんが扉の向うの人物を確かめた。


「どうも。リョウを迎えにきました」

 アランは、偉そうにそう答えた。


 やばい、ア、アランのストーカーレベルがヤバイ。

 ついてきてたの? ずっと扉の外で待ってたの? 

 思わずストーカー界のカリスマであるメリーさんが脳裏によぎってしまった。

 なんていうか私の友達作りうんぬんより、早くこいつを何とかしなければならない。ヤバイことになりそうな気がする。

 ていうかもう既にヤバイ!




最後がホラーで怖かったので、本日中に次の話をアップします。しばしお待ちを

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ストーカーだ!!ストーカーがいる!! [一言] おまわりさーん!!!
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